中国茶辞典中国茶・台湾茶の用語とコラム

祁門(きもん)

読み きもん現地音 チーメン拼音 Qímén中国語 祁门別名 祁門県、祁门、キームン、Keemun、祁紅、祁門紅茶、Qimen

安徽省黄山市の県で、祁門紅茶の産地。1875年に福建の製法を持ち込んで紅茶を作り始めたのが起源とされ、製法は2008年に国家級無形文化遺産になった。英語圏ではキームンの名で世界三大紅茶に数えられる。

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安徽省と主な産地。地図データ: Natural Earth

安徽省(あんきしょう)南部、黄山市の西端にある県で、祁門紅茶(きもんこうちゃ)(祁紅)の産地です。英語ではキームン(Keemun)と呼ばれ、インドのダージリン、スリランカのウバとともに世界三大紅茶に数えられます。産地は祁門県を中心に、隣接する東至、石台、黟県(いけん)などにも広がります。

1875年に始まった紅茶

祁門は元来緑茶の産地でした。清の光緒元年(1875年)に、福建で紅茶の商いを見た徽州(きしゅう)の人が福建の製法を持ち帰って紅茶を作り始めたのが起源とされ、胡元龍(こげんりゅう)余干臣(よかんしん)という二人の名前が伝えられています。当時、武夷山の正山小種(せいざんしょうしゅ)が海外で高値を呼んでいたことが背景にあり、祁門紅茶は正山小種を模倣した工夫紅茶として生まれました。19世紀末から20世紀初めにかけてヨーロッパに輸出され、国際博覧会で受賞したことで名声が定まりました。

製法と香り

製法は2008年に国家級無形文化遺産に登録されています。初製は萎凋、揉捻、発酵、乾燥の四工程で、清明前から6月まで続きます。精製は篩い分け、風選、選別、補火(ほか)拼配(へいはい)など十数工程に及び、ここに手間をかけることが工夫紅茶の「工夫」です。

祁門紅茶の香りは蘭や蜜、林檎にたとえられ、「祁門香(きもんこう)」と呼ばれます。祁門の在来種である櫧葉種(しょようしゅ)の性質と、乾燥後の低温での火入れが香りを作るとされ、作りたてより数か月から半年ほど置いたほうが香りが引き立つ、という扱いをする茶商もあります。

等級

祁門県の祁門紅茶場は1800年代から続く工場で、その等級区分が祁門紅茶の標準として扱われてきました。上から特貢、貢茶、礼茶、特茗、特級、一級、二級、三級と続き、その下にブロークンなどの等級があります。市場で見かける「礼品」「クイーン」などの呼び名は、工場の正式な等級ではありません。

名前をめぐる争い

「祁門紅茶」の地理的表示商標をめぐっては、産地範囲を祁門県だけとするか周辺県を含めるかで13年に及ぶ争いがあり、2020年代に入ってようやく決着しました。名茶の名前がそのまま知的財産として扱われる中国の現状を示す例です。

この産地の茶葉

参考リンク