用語辞典
122 語 / 読みは音読みを主とし、現地音・拼音も併記しています。
あ
- 渥堆あくたい製法黒茶の工程。殺青・揉捻した茶葉を湿らせて積み上げ、微生物の働きで発酵させる。六大茶類の中で唯一、酵素ではなく微生物を使う工程で、普洱熟茶はこの技術で1970年代に生まれた。
- 一芽二葉いちがにょう等級・格付け茶を摘むときの基準で、先端の芽と、その下の二枚の葉をひと組で摘むこと。緑茶や紅茶、普洱茶の標準的な摘み方で、芽だけ、一芽一葉、一芽三葉と摘む位置が変わると茶の性格も変わる。烏龍茶は葉が成熟してから三〜四葉で摘む。
- 萎凋いちょう製法摘んだ葉を広げて置き、水分を抜いて萎れさせる工程。白茶・青茶・紅茶の最初の工程で、香りの土台がここで作られる。緑茶では通常行わない。
- 窨制いんせい製法茶葉と生花を混ぜて花の香りを茶葉に吸わせる、花茶の製法。茉莉花茶では夜に開く茉莉の花と茶葉を層にして一晩置き、翌朝花を取り除いて茶葉を乾かす作業を一窨と数え、高級品は数回から十回近く繰り返す。福州の茉莉花茶窨制技術は国家級無形文化遺産。
- ウンカうんかその他茶園の代表的な害虫で、体長数ミリの淡緑色の小さな虫。正確にはヨコバイの仲間の小緑葉蝉だが、日本や台湾の茶業ではウンカと呼ぶ。芽の汁を吸われた葉は成長が止まって黄変するが、茶樹の防御反応で香り成分ができ、これを烏龍茶や紅茶に仕立てると蜜香が生まれる。東方美人と蜜香紅茶はこの虫なしには作れない。
- 雲南大葉種うんなんだいようしゅ品種雲南省に分布する喬木型・小喬木型の葉の大きな茶樹品種の総称。勐庫大葉種、鳳慶大葉種、勐海大葉種などの国家級・省級良種を含み、国家標準は普洱茶の原料をこれに限定している。ポリフェノールが多く、力強い味と長い余韻を持つ。
- 栄西と喫茶養生記えいさいときっさようじょうき歴史・人物・文献鎌倉時代の禅僧(1141〜1215年)。宋に二度渡って臨済禅を学び、帰国後に茶の種と宋代の飲み方を広めたことから日本の茶祖と呼ばれる。1211年に著した『喫茶養生記』は日本最古の茶の専門書で、茶を養生の仙薬と位置づけ、宋で見た茶の効能、製法、飲み方を記す。日本茶と中国茶の歴史をつなぐ人物。
- 黄金桂おうごんけい品種福建省安渓虎邱原産の茶樹品種で、品種名は黄旦(黄棪)、茶名は黄金桂。1985年に国家級良種(華茶8号)に認定。鉄観音より芽が出るのが早く香りが高いことから「一早二香」と言われ、安渓の四大名種のひとつ。金木犀を思わせる香りの軽やかな烏龍茶になる。
- 温杯おんぱい淹れ方茶を淹れる前に、蓋碗や茶壺、茶杯に湯を通して温めること。器の温度が下がらないため抽出の温度が安定し、乾いた茶葉を温まった器に入れて香りを嗅ぐ(乾茶の香り)ことにもつながる。工夫茶の最初の所作。
か
- 回甘かいかん味・香り茶を飲み込んだあとに口の中へ甘みが戻ってくる感覚。中国の官能審査用語では「飲み終えたあと口内に甘さを感じること」と定義され、良い茶の指標として最もよく使われる。
- 掛杯香かいはいこう味・香り茶を飲み干したあとの杯や、蓋碗の蓋の裏に残る香り。茶湯そのものの香りとは別に評価され、冷めてからも残る香り(冷香)が長いほど良い茶とされる。烏龍茶や岩茶の評価でよく使われる。
- 蓋碗がいわん茶器蓋・碗・受け皿(托)の三つでひと組の茶器。茶葉を入れて湯を注ぎ、蓋で葉を押さえながら注ぎ出す。どんな茶にも使え、産地で茶を評価するときの標準的な器でもある。
- 花香・果香・火香かこう・かこう・かこう味・香り茶の香りを大まかに分ける言葉。花香は做青や萎凋で生まれる蘭や梔子のような香り、果香は酸化や熟成で生まれる桃や熟した果実の香り、火香は焙煎や炒りで生まれる香ばしさ。国家標準の審査用語にも定められ、産地や製法ごとに典型的な香りの型がある。
- カフェインかふぇいんその他茶に含まれる覚醒作用のある成分。乾燥した茶葉の2〜4パーセントを占め、若い芽ほど多く、成熟した葉や茎には少ない。茶の種類より原料の若さと淹れ方で量が決まり、洗茶で抜けるという説は根拠が薄い。眠れない、胃が荒れるなどの不調はカフェインと空腹時の濃い茶が原因のことが多い。
- 岩韻がんいん味・香り武夷岩茶に特有とされる風味と余韻。国家標準では武夷岩茶を「岩韻(岩骨花香)の品質特徴を持つ烏龍茶」と定義しており、岩茶の品質を語るときの中心にある言葉。
- 観音韻かんのんいん味・香り安渓鉄観音に固有とされる香りと余韻。安渓県茶葉協会は品種の香り・産地の香り・製法の香りが融合したものと説明し、国家標準の鉄観音の品質要求にも「音韻」の語がある。
- 奇丹きたん品種武夷山の茶樹品種で、大紅袍の母樹の一部と遺伝的に同一であることが確かめられ、2012年に福建省が「大紅袍」という名の省級品種として認定した。この品種だけで作った茶を純種大紅袍と呼ぶ。
- 金萱きんせん品種台湾の茶業改良場が育成し1981年に命名した茶樹品種、台茶12号。硬枝紅心と台農8号の交配種で、収量が多く育てやすい。ミルクや奶糖にたとえられる香りが特徴で、金萱茶の名で高山茶や凍頂烏龍の一種として広く飲まれる。名前は初代場長の祖母の名に由来する。
- 喉韻こういん味・香り茶を飲み込んだあと、喉に残る心地よい感覚と余韻。国家標準では「喉に与える快さで、爽快・清涼・甘さ・潤いなどが持続するもの」と定義される。
- 号級・印級・七子餅ごうきゅう・いんきゅう・しちしへい歴史・人物・文献普洱茶の老茶を年代で区分する呼び方。清末から1950年代までに私営の茶荘が「〜号」の名で作った茶が号級、1950〜70年代に国営の中国茶葉公司が「茶」の字を色付きで印刷した包み紙で出した茶が印級、1972年以降に雲南省茶葉公司が七枚一組で出した餅茶が七子餅茶。骨董品のように取引され、真贋の問題が絶えない。
- 貢茶こうちゃ歴史・人物・文献皇帝や朝廷に献上された茶。唐代の顧渚紫笋、宋代の建州の龍鳳団茶、明清の西湖龍井など、各時代に貢茶とされた茶があり、蒙頂茶や君山銀針も貢茶の歴史を持つ。産地が誇る肩書きだが、市場では「貢」の字が等級名や宣伝文句として広く使われるので、史実と区別して読む必要がある。
- 高冲低斟こうちゅうていしん淹れ方湯は高い位置から勢いよく注ぎ、茶は低い位置から静かに注ぐ、工夫茶の注ぎ方の原則。高く注ぐことで葉を湯の中で回して香りを立たせ、低く注ぐことで香りと温度を逃さない。潮州工夫茶の作法では、杯を巡って均等に注ぐ関公巡城と、最後の一滴まで分ける韓信点兵が続く。
- 工夫茶こうふちゃ淹れ方小さな茶壺や蓋碗に多めの茶葉を入れ、沸騰した湯で短く抽出して何煎も淹れる淹れ方。広東省潮州で体系化され、潮州工夫茶芸は2008年に中国の国家級無形文化遺産に登録された。
- 口糧茶こうりょうちゃその他主食の米のように毎日飲む、値段が手ごろで質の安定した茶のこと。中国の愛好家が、有名産地の高価な茶と区別して「自分の口糧茶はこれ」と語る言葉で、産地や等級の名前より、飽きずに飲めて財布に優しいことが基準。茶選びの現実的な物差しとして広まった。
- 古樹茶こじゅちゃ等級・格付け雲南で、樹齢の高い茶樹から作った茶。何年以上という公的な基準はなく、数十年から数百年まで売り手によって幅がある。根が深く養分を蓄えた古樹の茶は味に厚みと余韻があるとされ、台地茶より高値で取引される。喬木は樹齢ではなく仕立て方を指す別の言葉。
- 呉理真ごりしん歴史・人物・文献前漢の時代に四川の蒙頂山に茶を植えたと伝えられる人物。記録に残る最初の茶の栽培者として「植茶始祖」と呼ばれ、蒙頂山には七株の茶を植えた皇茶園と祠がある。宋代に甘露大師の名を贈られたとされるが、史料は後世のもので、伝承として語られる。
さ
- 蔡襄と茶録さいじょうとちゃろく歴史・人物・文献蔡襄は北宋の書家・政治家で、福建の転運使として北苑の貢茶を監督し、小龍団を作らせた人物。皇祐年間(1049〜1053年)に著した『茶録』は上篇で茶の色・香・味と保存、炙り方、碾き方、湯の見極め、点茶を、下篇で茶焙、茶碾、茶盞、茶匙、湯瓶などの道具を論じた、宋代の点茶の様子を伝える短い茶書。
- 晒青さいせい製法殺青と揉捻を終えた茶葉を日光で乾かすこと。緑茶を乾燥方法で分けたときの一類で、雲南の普洱茶の原料になる晒青毛茶が代表。低温で乾くため酵素や微生物が生き残り、後の熟成や渥堆の土台になる。烏龍茶や白茶では、摘んだ生葉を日に当てる日光萎凋を晒青と呼ぶこともある。
- 做青さくせい製法青茶(烏龍茶)だけにある工程。萎凋した葉を揺すって縁に傷をつけ、休ませることを繰り返して部分的に酸化させる。酸化の度合いはここで決まり、烏龍茶の性格を左右する最も重要な工程。
- 殺青さっせい製法茶葉を高温で加熱して酵素の働きを止め、酸化を止める工程。緑茶では最初の工程、青茶では酸化を途中で止める要の工程で、加熱方法によって炒青・蒸青・烘青・晒青に分かれる。
- 山韻さんいん味・香り茶の味と余韻に現れる、産地の土地の性格。鳳凰単叢では烏崠山の高い茶園の茶に出る深い余韻を山韻と呼び、台湾の高山茶では高山の冷涼感のある甘さを高山韻と言う。武夷岩茶の岩韻、鉄観音の観音韻と同じく、香りではなく飲み込んだあとの厚みと余韻で語られる、言葉にしにくい評価語。
- 山頭さんとうその他雲南の普洱茶で、茶を作った山や村を指す言葉。易武や布朗山などの茶山、老班章や氷島などの村ごとに味の性格が語られ、山頭の名前で値段が決まる。古くは易武を中心とする古六大茶山があり、いまは瀾滄江の西の新六大茶山も加えて呼ばれる。
- 色種(毛蟹・本山・梅占)しきしゅ品種安渓で、鉄観音以外の品種で作った烏龍茶をまとめて呼ぶ名前。もとは鉄観音が選抜される前の在来の茶樹の総称で、いまは本山、毛蟹、梅占、黄金桂、大葉烏龍などを混ぜて作る烏龍茶を指す。これらは1984年に国家級の茶樹良種に認定された安渓の主要品種で、鉄観音より安く、産地では最も日常的な烏龍茶。
- 四季春しきしゅん品種台湾の木柵で自然交雑から見つかった地方品種。早生で年に何回も摘め、収量が多いため南投県名間郷を中心に台湾の茶園面積の15%ほどを占める。花のような香りの軽い烏龍茶になり、大手の流通品や台湾式ドリンクスタンドの茶に広く使われる。
- 紫娟しけん品種雲南省農業科学院茶葉研究所が1985年に雲南大葉種の茶園で見つけた、芽・葉・茎がすべて紫色の茶樹から育成した品種。アントシアニンを多く含み、緑茶に仕立てると水色まで紫がかる。渋みが強く独特の風味で、健康効果を謳って生茶や緑茶が作られる。古くから雲南にある紫芽の茶樹とは別物。
- 紫砂壺しさこ茶器江蘇省宜興の陶土「紫砂」で作る、釉薬をかけない茶壺。明代から茶壺の名産地で、土が微細な気孔を持つため香りを吸って味を丸くし、使い込むほど艶が出る。烏龍茶や普洱茶に向き、製作技術は2006年に国家級無形文化遺産に登録された。
- 柿大茶しだいちゃ品種安徽省黄山市黄山区(旧太平県)の在来の茶樹品種で、太平猴魁の原料。葉が柿の葉のように大きく厚いことから名付けられ、国家標準は太平猴魁をこの品種で作るものとしている。
- 柿大茶しだいちゃ品種安徽省黄山区(旧太平県)の在来品種で、太平猴魁の原料。葉が柿の葉のように大きく厚いことから名付けられ、芽葉が肥え、節間が短く、若さが長く保たれる。この品種の大きな二葉一芽を平たく伸ばして太平猴魁の独特の姿が作られる。
- 四大茶区しだいちゃくその他中国の茶産地を気候・栽培の歴史・茶樹の型・主な茶類によって江北・江南・華南・西南の四つに分ける区分。省の境とは一致せず、同じ省でも南北で茶区が分かれることがある。
- 煮茶しゃちゃ淹れ方茶葉を湯で煮出す淹れ方。唐代の茶経に記された古い方法で、いまは黒茶や熟成した白茶(老白茶)、普洱熟茶を煮て飲む習慣が中国で広まっている。煮ると煎で出きらない成分が出て、甘くまろやかになる。2020年代には炭火で煮る「囲炉煮茶」が流行した。
- 揉捻じゅうねん製法茶葉を揉んで細胞に傷をつけ、成分が出やすくすると同時に形を整える工程。揉み方の強弱で味の出方が変わり、烏龍茶を球状にする「包揉」もその一種。
- 春茶と秋茶しゅんちゃとしゅうちゃ等級・格付け茶を摘んだ季節による区分。春茶は冬の間に養分を蓄えた芽で作られ味が厚く、緑茶や普洱茶では最上とされる。夏茶は成長が早く渋みが出やすい。秋茶は香りが高く、鉄観音や鳳凰単叢では秋香として珍重される。台湾の高山茶では春茶と冬茶が二大シーズン。
- 樟香・参香しょうこう・さんこう味・香り熟成した普洱茶の香りを表す言葉。樟香はクスノキ(樟脳)を思わせる清涼感のある木の香りで、長く寝かせた生茶に出るとされる。参香は朝鮮人参のような薬の香りで、老熟茶に出る。ほかに棗香(ナツメ)、荷香(蓮)などがあり、陳香を細かく言い分けた愛好家の語彙。科学的な定義はない。
- 条索じょうさく味・香り乾いた茶葉の形状を表す審査用語。よじれた棒状の茶葉を条索と呼び、締まっているか(緊結)、そろっているか、艶があるかで外形を評価する。烏龍茶や紅茶は条索状、閩南や台湾の烏龍茶は半球状、龍井は扁形というように、茶の形の呼び分けにも使う。
- 炒青・烘青・蒸青しょうせい・こうせい・じょうせい製法緑茶を乾燥の方法で分ける呼び方。炒青は釜で炒って乾かし、烘青は火の上で焙って乾かし、蒸青は蒸して殺青したのち乾かす。龍井や碧螺春は炒青、黄山毛峰やジャスミン茶の原料は烘青、恩施玉露と日本の煎茶は蒸青で、香りと姿が大きく変わる。
- 上投法じょうとうほう淹れ方緑茶をガラスのコップなどで淹れるときの茶葉の入れ方。先に湯を注いでから茶葉を入れるのが上投法、湯を半分注いで茶葉を入れさらに湯を足すのが中投法、茶葉を先に入れるのが下投法。明の張源『茶録』に季節ごとの使い分けが記されている。
- 神農しんのう歴史・人物・文献中国の伝説上の帝王で、農業と医薬の祖とされる。百草を嘗めて薬効を調べ、毒に当たったときに茶の葉で解毒したという伝承から、茶を最初に飲んだ人物とされる。陸羽の茶経が「茶を飲むことは神農氏に始まる」と記したことで茶祖として定着したが、史実ではなく伝承。
- 審評しんぴょう味・香り茶の品質を人の感覚で評価する官能審査。中国の国家標準(GB/T 23776)は外形・湯色・香気・滋味・葉底の五因子で採点する方法を定め、白磁の審評杯と審評碗を使って茶類ごとに決まった量・湯温・時間で淹れる。評茶員は国家資格で、産地の品評会やコンテストもこの方法で行われる。
- 翠玉すいぎょく品種台湾の茶業改良場が育成し1981年に台茶12号(金萱)と同時に命名した茶樹品種、台茶13号。硬枝紅心を母、台農80号を父とする1938年の交配後代から選抜。蘭や野生の生姜の花にたとえられる花の香りが特徴で、翠玉茶の名で球状の烏龍茶に仕立てられる。
- 水色すいしょく味・香り淹れた茶の液の色。中国語では湯色と言い、審査の五因子のひとつ。色の系統は酸化の程度で決まり、澄んでいるか(明亮)濁っているかが品質の目印になる。緑茶は黄緑、烏龍茶は金黄から橙紅、紅茶は紅、黒茶は紅褐と、茶類ごとの基準色がある。
- 水仙すいせん品種福建省建陽原産の茶樹品種。1985年に中国の国家級良種に認定され、武夷岩茶の主力品種のひとつ。品種名がそのまま茶名にもなり、樹齢の高い「老欉水仙」が珍重される。花の水仙とは関係がない。
- 正岩せいがん等級・格付け武夷岩茶の産地による格付けの最上位。武夷山の景区内、岩山の中心部で育った茶を指す。慣用的な区分で、現行の国家標準は産地を武夷山市全域とし細かい区分を設けていない。
- 清香型と濃香型せいこうがたとのうこうがた味・香り烏龍茶を焙煎と酸化の軽重で分ける呼び方。清香型は酸化を浅く焙煎を軽くして緑の葉色と花の香りを残した現代的な型、濃香型は焙煎をしっかりかけて焙煎香と甘さを出した伝統に近い型。安渓鉄観音の国家標準が定めた区分で、台湾や鳳凰単叢でも同じ言葉が使われる。
- 正山堂せいざんどう歴史・人物・文献福建省武夷山桐木で正山小種を作り続けてきた江氏の茶業会社と、その高級紅茶ブランド。2005年に金駿眉を生み出し、その製法を「駿眉製法」として標準化して、2010年以降は河南や貴州など他省の産地と組んで各地の茶葉で作る駿眉系の紅茶を展開している。
- 生津せいしん味・香り茶を飲んだあとに口の中に唾液が湧いてくる感覚。国家標準では「口腔内、両頬・舌面・舌下から唾液が分泌されること」と定義され、回甘と並ぶ評価語。
- 青心烏龍せいしんうーろん品種台湾で最も広く栽培される茶樹品種。福建安渓の矮脚烏龍に由来し、19世紀に鹿谷に植えられたのが始まりと伝えられる。晩生種で栽培は難しいが製茶品質が高く、凍頂烏龍、高山茶、文山包種の主力品種。
- 青心大冇せいしんだいむ品種台湾北部で古くから栽培される茶樹品種で、日本統治期に四大品種のひとつとされた。芽が太く産毛が多く、小緑葉蝉の吸汁を受けやすいことから、東方美人茶の主力品種になっている。
- 精製せいせい製法茶園で作った毛茶(荒茶)を、篩い分け、風選、茎や異物の除去、拼配、火入れなどで整えて製品にする工程。摘んでから乾燥までを初製、その後を精製と呼び分け、日本茶の荒茶と仕上げに当たる。祁門紅茶のように精製に十数の工程をかける茶もあり、等級や形のそろいは主に精製で決まる。
- 青味・焦味せいみ・しょうみ味・香り茶の欠点を表す言葉。青味は殺青や做青が足りず葉の青臭さが残った状態、焦味は殺青や焙煎で葉が焦げた状態。ほかに煙の匂い、酸味、薄い水っぽさ、カビ臭などがあり、審査ではこうした欠点を見つけて減点する。製茶のどの工程が失敗したかが香りで分かる。
- 政和大白茶せいわだいはくちゃ品種福建省政和県鉄山郷原産の茶樹品種で、1985年に国家級良種(華茶5号)に認定。福鼎大白茶より芽が出るのが遅い晩生種で、政和白茶の原料品種。政和は福鼎と並ぶ白茶の二大産地で、室内萎凋を長く行う伝統がある。
- 洗茶せんちゃ淹れ方茶葉に湯を注いですぐに捨てる手順。名前は「洗う」だが、実際の目的は葉を温めて開かせ、香りを立たせること。球状の烏龍茶や緊圧茶で行い、繊細な緑茶や白毫銀針では行わない。
- 煎と出湯せんとしゅっとう淹れ方蓋碗や茶壺で淹れた茶を杯や茶海に注ぎ出すことを出湯と言い、一回の抽出を一泡(日本語では一煎)と数える。工夫茶では毎回最後の一滴まで注ぎ切って葉を湯に浸けたままにせず、煎ごとに時間を変えて味の変化を楽しむ。出湯の速さと注ぎ切りが味を安定させる要で、葉を湯に置いたままにすることを坐杯と言う。
- 走水そうすい製法烏龍茶の萎凋と做青で、葉の水分が茎から葉へ、葉の内から表面へと移動して抜けていくこと。水分が均一に抜けるとともに酸化と香りの変化が進むため、「水がよく走る」ことが烏龍茶の製茶の要とされる。走水が悪いと青臭さや渋みが残る。
- 倉味そうみ味・香り普洱茶や黒茶を倉庫で熟成させたときに付く、湿った倉庫やカビを思わせる匂い。湿度の高い倉(湿倉)で速く熟成させた茶に出やすく、乾いた倉(乾倉)の茶にはほとんどない。軽い倉味は風に当てる退倉で抜けるが、強いカビ臭は保存の失敗で、味の欠点として扱われる。
た
- 大観茶論たいかんちゃろん歴史・人物・文献北宋の皇帝徽宗が大観元年(1107年)ごろに著した茶の書。皇帝自身が書いた唯一の茶書で、産地、製法、鑑別、道具、点茶の方法など20篇からなる。宋代の団茶を粉にして湯を注ぎ茶筅で泡立てる点茶の作法を詳しく記し、日本の抹茶の源流を知る史料でもある。
- 台地茶だいちちゃ等級・格付け雲南で、段々畑状に整えた茶園に密植し、低く刈り込んで管理した茶樹から作る茶。1980年代以降に広がった栽培法で、収量が多く安定するため普洱茶の大半を占める。古樹茶と対比して安価な茶の代名詞に使われるが、農薬や肥料を控えた生態茶園も増えている。
- 耐泡たいほう味・香り煎を重ねても味と香りが続くこと。何煎目まで飲めるかで表し、揉捻の強さ、葉の成熟度、成分の多さ、抽出の仕方で決まる。普洱茶や烏龍茶で重視され、煎持ちの良さは品質の目安のひとつだが、煎数だけで良し悪しは決まらない。
- 単株・老欉たんかぶ・ろうそう等級・格付け単株は一本の木だけから摘んで作った茶、老欉は樹齢の高い木から作った茶。鳳凰単叢と武夷岩茶の水仙で使う言葉で、雲南の古樹茶と同じ発想。一本ごとに製茶するため量が少なく、老欉は味の厚みと余韻(山韻・欉味)が深いとして最も高く取引される。何年から老欉かの基準はない。
- 団茶だんちゃ歴史・人物・文献蒸した茶葉を搗いて型に入れ、固めて乾かした固形の茶。唐代は餅茶、宋代は龍や鳳凰の型を押した龍鳳団茶が貢茶となり、炙って粉にして煮たり点てたりして飲んだ。明の洪武帝が1391年に団茶の献上を廃止して散茶が主流になり、固形茶は普洱茶や黒茶の緊圧茶として残った。
- 茶海ちゃかい茶器蓋碗や茶壺から注ぎ出した茶をいったん受けて濃さを均一にし、茶杯に注ぎ分けるための片口。公道杯、茶盅とも呼ぶ。1970年代に台湾の茶芸で考案されて広まった道具で、潮州の伝統的な工夫茶にはない。
- 茶外茶ちゃがいちゃその他茶樹の葉を使わない「茶」と呼ばれる飲み物の総称。菊花茶、苦丁茶、バラの玫瑰花茶、八宝茶、羅漢果茶、涼茶などがあり、中国では代用茶とも言う。六大茶類の分類には入らないが、茶館やレストランのメニューには必ず並ぶ。
- 茶気ちゃき味・香り茶を飲んだときに体に現れる感覚。体が温まる、汗ばむ、背中や手が熱くなる、気分が高揚するなどを指し、普洱茶や岩茶の評価で使われる。主観的で科学的な定義はなく、カフェインやポリフェノールの作用と結びつけて説明されることが多い。
- 茶経ちゃきょう歴史・人物・文献唐代の陸羽が760年ごろに著した、世界最古の茶の専門書。上中下三巻十章で、茶の起源と性質、道具、製法、淹れ方の道具、煮方、飲み方、歴史、産地、略式、図解を扱う。唐代の固形茶を煮る飲み方を伝え、茶を文化として体系化した本として後世の茶書の手本になった。
- 茶芸ちゃげいその他茶を淹れて楽しむ技術と作法の総称。1970年代の台湾で日本の茶道と区別する言葉として「茶藝」が広まり、中国に逆輸入されて茶芸師の国家資格や国家標準が整えられた。工夫茶の淹れ方を土台に、道具、所作、しつらえを含む。日本の茶道ほど流派や型は固定されていない。
- 茶樹ちゃじゅその他茶の原料になるツバキ科の常緑樹、学名カメリア・シネンシス。中国種(小葉種)とアッサム種(大葉種)の二つの変種があり、原産地は雲南を中心とする中国西南部とされる。六大茶類はすべてこの一種の木の葉から製法の違いで作られ、茶樹の葉を使わない飲み物は茶外茶として区別される。
- 茶城・茶館ちゃじょう・ちゃかんその他茶城は中国の大都市にある茶業者が集まる茶葉市場で、広州の芳村、北京の馬連道が代表。茶館は茶を飲ませる店で、成都の庶民的な茶館から台湾生まれの茶藝館、近年の茶カフェまで幅がある。試飲しながら茶を選ぶ茶城の買い方と、茶館で過ごす文化は、中国茶の流通と楽しみ方を知る入口。
- 茶疏ちゃそ歴史・人物・文献明の許次紓(1549〜1604年)が万暦25年(1597年)に著した茶書。団茶が廃れて散茶を釜で炒り、湯に浸して飲む時代の茶を、産地、摘採、釜炒りの製法、保存、水、湯の沸かし方、茶葉と湯の量、飲む時と場所まで三十余りの項目で記す。いまの緑茶の飲み方に最も近い古典で、陸羽の茶経を補うものと評された。
- 茶則・茶荷ちゃそく・ちゃか茶器茶葉を茶缶から取り出して量り、器に入れるための道具。茶則は竹や木の細長いさじ、茶荷は茶葉を載せて客に見せる小さな皿。茶匙、茶針、茶夾、茶漏と合わせて茶道六君子と呼ぶ台湾式の道具立てがある。乾いた茶葉を客に見せるのが中国茶の作法のひとつ。
- 茶多酚ちゃたふぇんその他茶葉に含まれるポリフェノールの総称で、主成分はカテキン類。渋みのもとであり、酸化酵素の働きでテアフラビン(茶黄素)やテアルビジン(茶紅素)に変わって烏龍茶や紅茶の色と味を作る。殺青で酵素を止めれば緑茶、酸化を進めれば紅茶になるので、六大茶類の違いは茶多酚の変化の違いと言える。
- 茶馬古道ちゃばこどう歴史・人物・文献雲南や四川の茶をチベットや東南アジアへ馬で運んだ交易路の総称。唐代からの茶馬交易(茶と馬の交換)に由来し、普洱茶の緊圧や熟成はこの長い輸送と結びついて生まれた。「茶馬古道」という名称は1990年に雲南の研究者が付けたもので、いまは文化遺産と観光の看板になっている。
- 茶盤ちゃばん茶器茶壺や蓋碗を載せて茶を淹れるための盤。洗茶の湯や壺にかけた湯を受ける排水口や受け皿があり、竹や木、石、金属で作られる。湯をかけない乾式の淹れ方では小さな壺承や茶巾で代えることも多い。
- 張天福ちょうてんぷく歴史・人物・文献福建の茶学者(1910〜2017年)。1935年に福安に福建初の茶業の学校と試験場を作り、1941年に中国初の揉捻機を作った。福建省農業科学院茶葉研究所の顧問として烏龍茶の品質向上と審評の教育に力を注ぎ、「倹・清・和・静」の中国茶礼を提唱した。108歳で没し、茶界の泰斗と呼ばれる。
- 地理標志ちりひょうしその他特定の産地に由来する品質や評判を持つ産品の名前を保護する制度。中国では龍井茶、安渓鉄観音、武夷岩茶、普洱茶など多くの茶が地理標志産品として国家標準を持ち、産地の範囲、品種、製法、等級を定めている。名前を守る仕組みだが、表示の運用は緩く、標準を読めば茶の定義が分かる資料として役立つ。
- 陳化ちんか製法茶を長い時間置いて、ゆっくりした酸化や微生物の働きで味と香りを変化させること。普洱茶や黒茶、白茶は「陳ければ陳いほど香る」とされ、製茶の酸化や渥堆とは別の変化として扱われる。温度と湿度、空気、光が変化の速さと方向を決め、保存環境が悪いとカビや雑味になる。
- 陳香ちんこう味・香り茶を適切に保存して年を経たときに生まれる好ましい熟成の香り。国家標準の審査用語は「品質のよい茶が適切に保存され、雑味やカビ臭のない熟成香を持つこと」と定義する。普洱茶や黒茶、老白茶、陳年烏龍茶の評価に使い、5年以上保存した鉄観音は陳香型として国家標準に区分がある。
- テアニンてあにんその他茶に特有のアミノ酸で、うまみと甘みのもと。根で作られて芽に運ばれ、日光を浴びるとカテキンに変わるため、若い芽、春茶、日照の少ない高山や被覆した茶園の茶に多い。緑茶のうまみ、高山茶の甘さ、安吉白茶の濃いうまみはテアニンの多さで説明され、カフェインの興奮を和らげる働きも研究されている。
- 鉄観音(品種)てっかんのん品種福建省安渓原産の茶樹品種で、茶名の鉄観音はこの品種で作ることが条件。1985年に国家級良種(華茶7号)に認定。葉が厚く芽が紫がかり、蘭の香りのもとになる成分を多く含むが、育てにくく収量が少ない。台湾では木柵で正欉鉄観音として栽培される。
- 湯感・厚みとうかん・あつみ味・香り茶を口に含んだときの液の質感。厚みがあってとろりとしているか、薄く水っぽいか、滑らかか、ざらつくかを表し、審査用語の醇厚、鮮爽、淡薄などに当たる。香りより産地の土地と樹齢を反映するとされ、有名産地の茶が高いのは主にこの厚みのため。ワインのボディに近い概念。
- 投茶法(上投・中投・下投)とうちゃほう淹れ方ガラスのコップや茶碗で緑茶を淹れるとき、茶葉と湯をどの順で入れるかの区分。湯を先に注いで茶葉を入れるのが上投法、湯を少し注いで茶葉を入れてから湯を足すのが中投法、茶葉を先に入れて湯を注ぐのが下投法。明代の張源『茶録』が季節で使い分けを説いたのが由来で、いまは茶葉の姿と湯温で使い分ける。
- 特級とっきゅう等級・格付け茶の等級表示の最上位に使われる呼び方。国家標準や地理標志標準は多くの茶で特級・一級・二級…と等級を定め、外形や芽の割合、審査点で区分する。ただし等級は見た目や原料の若さの区分で、産地や味の良し悪しを保証するものではなく、市場では「特級」の表示に規定の裏付けがないことも多い。
な
は
- 焙火ばいか製法仕上がった烏龍茶を炭火や電気で長時間加熱する工程。水分を抜いて保存性を高め、雑味を削って香りを落ち着かせる。強さによって軽火・中火・足火と呼び分け、武夷岩茶で特に重視される。
- 白葉1号はくよう・いちごう品種浙江省安吉県で見つかった突然変異の茶樹品種。春の低温で新芽の葉緑素が減って葉が白くなり、アミノ酸が多い。1980年ごろに一本の古木から挿し木で増やされ、1998年に浙江省の良種に認定。安吉白茶の品種で、いまでは栽培面積が最も広い品種のひとつ。
- 発花・金花はっか・きんか製法茯磚茶の製造で、圧したレンガを温度と湿度を保った部屋に置いて茶の中に冠突散嚢菌という麹カビの一種を育てる工程が発花で、育った黄色い粒が金花。金花が多く均一なほど良い茯磚茶とされ、甘い菌花香とまろやかな味を作る。六堡茶や普洱茶の熟成中に自然に出ることもある。
- 発酵はっこう製法中国茶で「発酵」と呼ばれるものには二種類ある。白茶・烏龍茶・紅茶の発酵は葉の酵素によるポリフェノールの酸化で微生物は関与せず、黒茶の渥堆だけが微生物による発酵。紅茶では揉捻後に葉を置いて酸化を完了させる工程の名前でもある。
- 発酵度はっこうど味・香り茶葉の酸化(中国語で発酵)がどの程度進んだかを百分率などで表す言い方。緑茶を0、紅茶を100とし、烏龍茶を15〜70パーセントのように置くが、測定に基づく数値ではなく、葉の色や水色から見当を付けた目安。六大茶類を発酵度で並べる説明は台湾発で分かりやすいが、製法の順序を反映しないという指摘もある。
- 玻璃杯はりはい茶器背の高い耐熱ガラスのコップ。緑茶や黄茶、白毫銀針などを、注ぎ出さずに湯を足しながら飲むときの定番の器で、葉が開いて沈む姿を眺められる。中国の茶館や家庭で最も日常的な淹れ方。
- 万里茶道ばんりちゃどう歴史・人物・文献17〜20世紀初めに、福建武夷山や湖南、湖北の茶を陸路でロシアへ運んだ交易路。山西商人(晋商)が茶を集め、漢口から北上して張家口、モンゴルを経て中露国境の恰克図(キャフタ)でロシア商人に売り、シベリア経由でモスクワまで届いた。全長1万3000キロに及び、2019年に中国の世界遺産暫定リストに入った。
- 福鼎大毫茶ふくていだいごうちゃ品種福建省福鼎市点頭鎮汪家洋村原産の茶樹品種で、1984年に国家級良種(華茶2号)に認定。福鼎大白茶に似るが大葉種で芽がさらに太く産毛が多く収量も多いため、現在の福鼎白茶の主力品種になっている。
- 福鼎大白茶ふくていだいはくちゃ品種福建省福鼎市点頭鎮柏柳村原産の茶樹品種。1985年に国家級良種の第1号(華茶1号)に認定された。芽が太く産毛が多く、白毫銀針・白牡丹の原料品種であり、ジャスミン茶の原料緑茶にも使われる。
- 佛手(品種)ぶっしゅ品種福建省永春を原産とする烏龍茶用の品種。葉が非常に大きく丸く、仏手柑(ブッシュカン)の実に似ることから名付けられた。これで作る烏龍茶は香櫞という柑橘を思わせる香りがあり、永春佛手の名で知られる。烏龍茶の国家標準(GB/T 30357.7)に佛手の製品規格がある。
- 拼配へいはい製法産地、季節、等級、品種の違う茶葉を混ぜ合わせて製品にすること。味を安定させ、欠点を補い、量を確保するための製茶の基本技術で、精製の最終工程。普洱茶では単一の山の茶を純料と呼んで拼配と対比するが、老舗の名品の多くは拼配で、混ぜること自体は品質の低さを意味しない。
- 辺銷茶へんしょうちゃその他チベット、モンゴル、新疆など辺境の少数民族地域へ売るために作られてきた茶の総称。茯磚茶、康磚、青磚、米磚など固く圧した黒茶が中心で、肉や乳製品の多い食生活の必需品として、国が価格と供給を管理する政策商品になっている。緊圧茶の国家標準(GB/T 9833)が規格を定める。
- 鳳凰水仙ほうおうすいせん品種広東省潮州鳳凰山の在来の茶樹品種群で、鳳凰単叢の母体。1985年に国家級良種に認定された小喬木型の大葉種で、株ごとに香りの型が違い、優れた個体を選抜して単叢の各品系(蜜蘭香、鴨屎香など)が生まれた。福建の水仙とは別系統。
- 包揉ほうじゅう製法殺青した茶葉を布に包んで固く締め、転がして揉む工程。閩南と台湾の烏龍茶が半球状や球状になるのはこのためで、締めては解いて乾かす作業を何十回も繰り返す。葉の細胞が壊れすぎないので香りが残り、固く巻いた茶は煎持ちがよい。
ま
- 蜜香みつこう味・香り蜂蜜を思わせる甘い香り。とくに台湾の東方美人や蜜香紅茶で、小緑葉蝉(ウンカ)に汁を吸われた芽葉から生まれる香りを指す。虫の吸汁に対する茶樹の防御反応で香りのもとができ、製茶で引き出される。鳳凰単叢の蜜蘭香など、虫と関係ない蜜の香りにも使う。
- 明前めいぜん等級・格付け清明節(4月5日ごろ)より前に摘んだ茶のこと。中国緑茶では摘採時期が品質と価格を決め、明前茶が最上、穀雨(4月20日ごろ)前の雨前茶がそれに続くとされる。ただし早生品種の普及で時期の意味は産地によって変わってきている。
- 名叢めいそう品種武夷山で、香りや味に特徴のある一株を選び出して名前を付け、株ごとに挿し木で増やした茶樹の系統。大紅袍、鉄羅漢、白鶏冠、水金亀を四大名叢と呼び、半天妖を加えて五大名叢とも言う。武夷山には数百の名叢があり、鳳凰山の単叢も同じ考え方で株を選んだもの。
- 悶黄もんおう製法黄茶だけにある工程。殺青した茶葉を熱と湿り気を保ったまま積むか包んで置き、葉と水色を黄色に変える。微生物ではなく、湿った熱による成分の変化。
- 聞香杯もんこうはい茶器香りを嗅ぐためだけの細長い杯。茶を注いで飲杯に移し、空になった杯の内側に残る香りを楽しむ。1970年代以降の台湾の茶芸で考案された道具で、球状の台湾烏龍茶とともに広まった。
や
- 野生茶やせいちゃ等級・格付け人が植えていない、山に自生する茶樹から摘んだ茶。雲南や広西の山には野生の大茶樹があり、栽培種とは種が違う大理茶などの茶も含む。人の手を離れて長く放置された茶園の茶を野放茶と呼んで区別することもある。香りが独特で希少だが、名前が濫用されやすい。
- 有機・農薬ゆうき・のうやくその他茶の栽培での農薬と肥料の使い方に関する言葉。中国と台湾には有機認証の制度があり、日本には残留農薬の基準があって、基準を超えた茶は輸入できない。有機表示の信頼性は制度と産地で差があり、無農薬でなければ作れない東方美人のような茶もある。自然栽培や生態茶は認証とは別の、作り手の言葉。
- 養壺ようこ茶器紫砂壺を使い込んで育てること。茶を淹れ続けることで土の気孔に茶の成分がしみ込み、表面に艶が出て、茶の味も丸くなる。一つの壺に一種類の茶だけを使い、洗剤を使わず湯で洗い、乾かして保つのが基本。新しい壺を使い始める前の下ごしらえは開壺と呼ぶ。
- 葉底ようてい味・香り淹れたあとに残った茶葉のこと。審査の五因子のひとつで、葉の色、柔らかさ、大きさのそろい、酸化の入り方を見る。烏龍茶なら縁の赤さ(緑葉紅鑲辺)、緑茶なら鮮やかな黄緑と柔らかさが良いとされ、製法や摘採時期の答え合わせになる。
ら
- 陸羽りくう歴史・人物・文献唐代(8世紀)の人で、世界最初の茶の専門書『茶経』を著した。湖北の竟陵(現在の天門)の生まれで、茶の栽培・製法・道具・淹れ方・産地を体系的にまとめ、茶を文化として位置づけた。後世に茶聖と呼ばれ、茶商が像を祀る茶神にもなった。
- 留根りゅうこん淹れ方ガラスのコップなどで注ぎ出さずに飲むとき、茶を飲み切らずに三分の一ほど残して湯を足す飲み方。残した茶が濃さをつなぎ、2杯目以降が薄くなりすぎるのを防ぐ。緑茶の日常的な飲み方。
- 冷泡れいほう淹れ方茶葉を水に浸けて冷蔵庫で数時間置く水出し。高温で出るカフェインや渋みが抑えられ、甘みと香りが前に出る。台湾では市販のペットボトルにも「冷泡茶」があるほど日常的で、清香型の烏龍茶、包種茶、白茶、紅玉紅茶などが向く。
- 六大茶類ろくだいちゃるいその他中国茶を製法によって緑茶・白茶・黄茶・青茶・紅茶・黒茶の六つに分ける分類。1979年に安徽農学院の陳椽が体系化し、2014年に国家標準、2023年に国際規格として定められた。
- 盧仝ろどう歴史・人物・文献唐代の詩人(795年ごろ〜835年)。友人から新茶を贈られて詠んだ詩『走筆謝孟諫議寄新茶』の中の、一碗目から七碗目までの茶の効きを述べた「七碗茶」の一節で知られ、陸羽の茶聖に対して茶仙と呼ばれる。茶館の掛け軸や茶の文章に最もよく引かれる詩で、日本の茶の湯でも親しまれた。
- 龍井群体種ろんじんぐんたいしゅ品種杭州西湖の龍井産地に古くからある在来の茶樹の総称。種から育った実生の集団で、株ごとに性質がばらつき芽の出方も不ぞろいだが、味の厚みと余韻で評価され、龍井43の親品種でもある。「群体種」は一般に在来の実生集団を指す言葉。
- 龍井43ろんじんよんじゅうさん品種中国農業科学院茶叶研究所が杭州の龍井群体種から一株を選び、18年かけて育成した早生の品種。1978年に完成、1987年に国家級良種に認定。在来種より7〜10日早く芽が出てそろうため、現在の龍井茶の主力品種になっている。