中国茶辞典中国茶・台湾茶の用語とコラム

蜜香(みつこう)

読み みつこう現地音 ミーシャン拼音 mìxiāng別名 蜂蜜香、蜜のような香り、マスカテルフレーバー、着涎、著蜒

蜂蜜を思わせる甘い香り。とくに台湾の東方美人や蜜香紅茶で、小緑葉蝉(ウンカ)に汁を吸われた芽葉から生まれる香りを指す。虫の吸汁に対する茶樹の防御反応で香りのもとができ、製茶で引き出される。鳳凰単叢の蜜蘭香など、虫と関係ない蜜の香りにも使う。

蜂蜜を思わせる甘い香りのことで、茶の香りを表す言葉の中でも最もよく使われるもののひとつです。二つの使い方があります。

虫が作る蜜香

台湾の東方美人(とうほうびじん)蜜香紅茶(みつこうこうちゃ)で言う蜜香は、小緑葉蝉(しょうりょくようぜん)(ウンカの一種)に汁を吸われた芽葉から生まれる特有の香りです。5月から7月、芒種(ぼうしゅ)の前後に活発になる小緑葉蝉が芽の汁を吸うと、芽の成長が止まって黄色く変わり、茶樹は防御反応として特定の香り成分(テルペン類など)を作ります。これが萎凋と酸化を経て、蜜や熟した果実、マスカットのような香りになります。台湾ではこの現象を「著涎(ちゃくぜん)」(虫の唾がついた)と呼びます。

虫に吸われていない葉で同じ製法をとっても蜜香は出ないため、農薬は使えず、虫の付き方で出来が変わります。ダージリンのセカンドフラッシュのマスカテルフレーバーも同じ仕組みで、蜜香紅茶の香りはそれによく似ています。ウンカに吸われた葉を使えば高山茶(こうざんちゃ)や紅茶でも蜜香が出るため、蜜香高山茶、蜜香紅茶といった名前の茶が各地で作られています。

品種や製法による蜜香

虫と関係なく、蜜のような甘い香りを持つ茶にも蜜香という言葉を使います。鳳凰単叢(ほうおうたんそう)蜜蘭香(みつらんこう)は蜜と蘭の香りを持つ株の系統の名前で、岩茶(がんちゃ)や紅茶の濃香型(のうこうがた)に焙煎で育つ乾燥果実のような甘さも蜜香と形容されます。この場合は品種の性質と萎凋・酸化・焙煎の加減が香りを作っています。

感じ方

蜜香は淹れたての香りだけでなく、飲み込んだあとの回甘(かいかん)や杯の底に残る香りにも現れます。東方美人(とうほうびじん)は1年ほど置くと蜜香が増すとされ、湯温を少し下げると渋みが抑えられて甘い香りが前に出ます。

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