茶葉一覧
78 種
緑茶
- 安吉白茶あんきつはくちゃ烘青緑茶 / 浙江省 — 浙江省湖州市安吉県の緑茶。名前に白茶とあるが分類は緑茶で、春の低温で葉が白くなる突然変異の品種「白葉1号」から作る。アミノ酸が普通の緑茶の数倍と多く、うまみが際立つ。1980年代に一本の古木から増やされた新しい名茶。
- 恩施玉露おんしぎょくろ蒸青緑茶 / 湖北省 — 湖北省恩施で作られる、中国で唯一伝統が残る蒸青の針形緑茶。蒸気で殺青し、焙炉の上で手で伸ばしながら乾かして松の葉のような真っ直ぐな形にする。日本の煎茶に近い清らかな香りとうまみで、製法は2014年に国家級無形文化遺産、2022年にユネスコ無形文化遺産の構成要素になった。
- 径山茶けいざんちゃ烘青緑茶 / 浙江省 — 浙江省杭州市余杭区の径山で作られる緑茶。唐代に径山寺を開いた法欽が茶を植えたと伝えられ、宋代に寺で行われた径山茶宴は日本の茶道の源流とされる。陸羽が近くに隠棲して茶経を著したとも言われる茶の聖地で、現在の径山茶は細く巻いた産毛の多い烘青緑茶。径山茶宴は国家級無形文化遺産。
- 黄山毛峰こうざんもうほう烘青緑茶 / 黄山 — 安徽省黄山市周辺で作られる烘青緑茶で、中国十大銘茶のひとつ。清の光緒年間に歙県の茶商が始めたとされ、芽の根元に混じる金色の「魚葉」と象牙色の葉が上質の目印。国家標準は産地を黄山市の各区県と定めている。
- 信陽毛尖しんようもうせん炒青緑茶 / 河南省 — 河南省信陽市の緑茶で、中国の緑茶産地の北限に近い大別山の北麓で作られる。清明前後の若い芽を細く真っ直ぐに揉み、産毛の多い姿に仕上げる炒青緑茶。1915年のパナマ万博で受賞し、十大名茶に数えられる。製法は2008年に国家級無形文化遺産に登録され、地理標志産品の国家標準がある。
- 太平猴魁たいへいこうかい烘青緑茶 / 黄山 — 安徽省黄山市黄山区の猴坑村を核心産地とする緑茶で、中国十大銘茶のひとつ。在来種の柿大茶の大きな葉を「二葉抱一芽」のまま押し花のように平たく伸ばした独特の姿と、蘭のような香り、長い余韻が特徴。1900年ごろに生まれた比較的新しい名茶。
- 竹葉青ちくようせい炒青緑茶 / 四川省 — 四川省峨眉山の緑茶。清明前の芽だけを摘んで平たく整え、竹の葉のような形に仕上げる。1964年に峨眉山を訪れた陳毅がその姿から名付けたとされ、四川の緑茶の中で最も知られた銘柄になった。名前は商標として一社が持つため、同型の茶は峨眉毛峰などの名でも売られる。
- 都匀毛尖とうきんもうせん炒青緑茶 / 貴州省 — 貴州省黔南布依族苗族自治州都匀市の緑茶で、貴州を代表する名茶。魚の釣り針のように巻いた産毛の多い姿から魚鉤茶とも呼ばれ、茶葉・水色・葉底が緑に黄を透かす「三緑透三黄」が特徴。1956年に毛沢東が名付けたと伝えられ、2010年に地理標志産品になった。
- 碧螺春へきらしゅん炒青緑茶 / 洞庭山 — 江蘇省蘇州の太湖に浮かぶ洞庭山で作られる緑茶で、龍井と並ぶ中国緑茶の代表。産毛に包まれた小さな芽を釜で炒りながら螺旋状に巻く製法が特徴で、果樹の間で育つ茶果間作の茶園と、清明節前の一番茶だけを碧螺春と呼ぶ厳しさで知られる。
- 蒙頂甘露もうちょうかんろ炒青緑茶 / 雅安 — 四川省雅安市の蒙頂山(蒙山)で作られる緑茶。中国で最も早く茶が栽培された地のひとつと伝えられ、唐代から貢茶として記録がある。清明前の若い芽を揉んでよじり、産毛の多い碧螺春に似た姿に仕上げる。蒙山茶は国家標準の地理標志産品で、蒙頂黄芽と並ぶ蒙頂山の看板。
- 六安瓜片ろくあんかへん烘青緑茶 / 安徽省 — 安徽省六安市(金寨・霍山)の緑茶で、中国十大銘茶のひとつ。芽と茎を取り除いた葉だけで作る世界でも珍しい片茶で、炭火の籠を担いで往復する「拉老火」という最後の火入れが独特。製法は2008年に国家級無形文化遺産に登録された。
- 廬山雲霧ろざんうんむ炒青緑茶 / 江西省 — 江西省九江市の廬山で作られる緑茶。標高800メートル以上の霧の多い山中で育ち、東晋の僧慧遠が野生茶を栽培したと伝えられる古い産地。宋代には貢茶とされ、明代から雲霧茶の名で呼ばれる。太めで産毛の多い姿と濃い味が特徴で、十大名茶に数えられ、地理標志産品の国家標準(GB/T 21003)がある。
- 龍井ろんじん浙江省 — 浙江省杭州の緑茶で、中国緑茶の代表格。釜で炒りながら平たく整える製法と炒り豆のような香りが特徴。国家標準は産地を西湖・銭塘・越州の三産区に分け、西湖産区のものが最上とされる。
白茶
- 月光白げっこうはく普洱 — 雲南省の大葉種の芽葉を萎凋と乾燥で仕上げた白茶。景谷などが主産地で、葉の表が黒く裏が白い姿から名付けられた。長く名称が混乱していたが、2021年に雲南省の団体標準が雲白毫・月光白・雲寿の区分を定め、福建の白茶と区別されるようになった。
- 寿眉じゅび福鼎 — 福建省の白茶のうち、芽が少なく成熟した葉の多いもの。白毫銀針・白牡丹を摘んだあとの葉で作り、価格は手頃だが味がしっかりして熟成向きとされ、餅茶に固めた寿眉は老白茶として人気がある。国家標準は在来種の芽葉で作る貢眉と区別する。
- 白毫銀針はくごうぎんしん福鼎 — 福建省福鼎・政和の白茶で、白茶の最上級。春先の芽だけを摘み、萎凋と乾燥のみで仕上げる。国家標準は大白茶か水仙品種の単芽で作るものと定義し、芽の産毛が銀の針のように見えることが名前の由来。
- 白牡丹はくぼたん福鼎 — 福建省福鼎・政和の白茶で、一芽一葉から一芽二葉を萎凋と乾燥だけで仕上げる。芽だけの白毫銀針より味がしっかりし、葉の多い寿眉より繊細で、白茶の中で最も飲まれる中心的な茶。国家標準は大白茶か水仙品種の一芽一、二葉と定める。
- 老白茶ろうはくちゃ緊圧白茶 / 福鼎 — 数年以上寝かせた白茶の総称で、寿眉や貢眉を蒸して円盤状に固めた白茶餅が中心。「一年は茶、三年は薬、七年は宝」の言葉とともに2010年代の白茶ブームで広まり、緊圧白茶の国家標準(GB/T 31751)が2015年にできた。ナツメのような甘い香りとまろやかな味で、煮出して飲む習慣がある。年份の表示は目安。
黄茶
- 霍山黄芽かくざんこうが黄芽茶 / 安徽省 — 安徽省六安市霍山県の黄茶。一芽一葉から一芽二葉を摘み、緑茶と同じ殺青のあと悶黄を経る黄芽茶で、君山銀針・蒙頂黄芽と並ぶ黄茶の代表。唐代の貢茶の記録があり、安徽省の地方標準で地理標志産品として定義されている。
- 君山銀針くんざんぎんしん黄芽茶 / 君山 — 湖南省岳陽市、洞庭湖に浮かぶ君山島の芽だけで作る黄茶で、黄茶の代表。殺青のあと紙に包んで二度の悶黄を経る製法は2021年に国家級無形文化遺産に登録された。流通する君山銀針の多くは悶黄を経ない緑茶タイプで、本来の黄茶タイプは希少。
- 蒙頂黄芽もうちょうこうが黄芽茶 / 雅安 — 四川省雅安市の蒙頂山で作られる芽だけの黄茶。殺青と悶黄を交互に繰り返す「三炒三悶」の製法で、唐代からの貢茶である蒙頂山茶の中でも最も手間がかかり、作り手が減っている希少な茶。
青茶(烏龍茶)
- 阿里山高山茶ありさんこうざんちゃ台湾烏龍 / 阿里山 — 台湾嘉義県阿里山一帯の標高1000メートル以上の茶園で作られる、酸化の軽い球状の烏龍茶。台湾の公式定義では海抜1000メートル以上の茶を高山茶と呼び、阿里山は梨山・杉林渓と並ぶ三大高山茶区で生産量が最も多い。青心烏龍が主で金萱も栽培される。
- 黄金桂おうごんけい閩南烏龍茶 / 安渓 — 福建省安渓の烏龍茶で、黄旦(黄棪)という品種で作る。金木犀のような高く鋭い香りと金黄色の水色から黄金桂と名付けられ、香りが天を突くという意味の「透天香」の異名を持つ。芽が早く出るため安渓で最も早い新茶で、鉄観音より軽やか。烏龍茶の国家標準(GB/T 30357.3)に規格がある。
- 鴨屎香おうしこう鳳凰単叢 / 鳳凰山 — 鳳凰単叢の香型のひとつで、2010年代に中国で爆発的に人気になった系統。名前は「鴨の糞の香り」だが、実際は金銀花や梔子のような鋭い花の香りで、名前の由来は農家が木を盗まれないよう悪い名前を付けたという伝承。正式には銀花香と呼ばれ、香型の分類では黄枝香に近い。
- 金萱茶きんけんちゃ台湾烏龍茶 / 阿里山 — 台湾の茶業改良場が育成した品種「台茶12号」(金萱)で作る烏龍茶。ミルクやバターのような甘い香りが特徴で、清香型に仕上げた低〜中標高の茶で最も香りが出る。阿里山や南投で広く栽培され、飲みやすさから台湾茶の入門として人気。香料でミルクの香りを付けた「ミルク烏龍」とは別物。
- 紅烏龍こううーろん台湾烏龍茶 / 台湾 — 台湾東部、台東県鹿野で2008年に茶業改良場台東分場が開発した烏龍茶。烏龍茶の製法で酸化を紅茶に近いところまで進め、焙煎をかけて仕上げる。烏龍茶の中で最も酸化度が高く、水色は紅茶のように橙紅色。夏秋の茶葉を活かすために生まれ、冷茶にも向く新しい台湾茶。
- 杉林渓さんりんけい台湾高山茶 / 南投 — 台湾南投県竹山鎮の杉林渓一帯、標高1500〜1900メートルで作られる高山烏龍茶。杉の森と渓谷に囲まれた茶園で、清涼感のある香りと澄んだ甘さが特徴。龍鳳峡、羊仔湾など茶区ごとの名前でも売られ、梨山、阿里山と並ぶ台湾高山茶の代表的な産地。
- 四季春しきしゅん台湾烏龍茶 / 南投 — 台湾で、1980年代に台北の木柵の農家が見つけた品種「四季春」で作る烏龍茶。年に何度も摘めて香りが濃いことから名付けられ、南投県名間郷の松柏嶺で大量に栽培される。梔子のような花の香りと軽い甘みで、手ごろな値段の日常の茶であり、タピオカミルクティーなど台湾の飲料茶の主要な原料でもある。
- 漳平水仙しょうへいすいせん閩南烏龍茶 / 福建省 — 福建省龍岩市漳平で作られる、烏龍茶で唯一の緊圧茶。水仙品種の葉を烏龍茶の製法で仕上げたあと木型で四角く押し固め、紙に包んで焙煎する。清末に双洋で生まれ、紙に包んで運びやすくした独特の姿で知られる。花の香りとまろやかな味で、製法は無形文化遺産に登録されている。
- 芝蘭香しらんこう鳳凰単叢 / 鳳凰山 — 鳳凰単叢の香型のひとつで、蘭の花のような細く鋭い香りを持つ系統。十大香型の中でも香りの高さと鮮やかさで知られ、甘い香りと果実の香りが重なる。烏崠山の八仙(八仙過海)は芝蘭香の系統の代表的な名前で、鴨屎香や黄枝香と並んで香りで飲ませる単叢。
- 翠玉茶すいぎょくちゃ台湾烏龍茶 / 南投 — 台湾の茶業改良場が育成した品種「台茶13号」(翠玉)で作る烏龍茶。金萱(台茶12号)と同じ1981年に発表された姉妹品種で、野の花や玉蘭にたとえられる華やかな香りが特徴。金萱ほど広まらなかったが、南投などで包種茶や球形烏龍茶に仕立てられ、金萱・四季春と並ぶ台湾の主要品種のひとつ。
- 水金亀すいきんき武夷岩茶 / 武夷山 — 武夷岩茶の四大名叢のひとつ。葉が厚く艶があって亀の甲のように見え、清末に大雨で茶樹が牛欄坑に流れ着いたという由来話がある。梅の花のような香りと滑らかな甘さが特徴で、四大名叢の中で最も飲みやすいとされる。
- 宋種そうしゅ鳳凰単叢 / 鳳凰山 — 鳳凰山で最も古いとされる茶樹の系統で、宋代から続く木という伝承から宋種と呼ばれる。烏崠山の宋種の母樹は樹齢数百年とされ、そこから挿し木で増やした木の茶が宋種として売られる。黄枝香や東方紅などの系統があり、老欉の宋種は単叢の最高峰として取引される。
- 大禹嶺だいうれい台湾高山茶 / 台湾 — 台湾中部、花蓮県・台中市・南投県の境にある大禹嶺の茶園で作られた高山烏龍茶。標高2300〜2600メートルで台湾最高の茶産地とされ、梨山茶区に属する。生産量はごくわずかで、2015年に主要な茶園が伐採されたあとも大禹嶺の名で売られる茶は多く、産地名の扱いに最も注意が要る茶。
- 大紅袍だいこうほう武夷岩茶 / 武夷山 — 武夷岩茶を代表する銘柄。九龍窠の岩壁に残る母樹の伝説で知られ、現在流通するものは母樹由来の品種を単一で仕上げた「純種」か、複数品種をブレンドした「商品大紅袍」で、市場の大半は後者。
- 陳年烏龍ちんねんうーろん陳年茶 / 福建省 — 焙煎した烏龍茶を数年から数十年寝かせた茶の総称。福建や台湾では昔から胃を整える民間の薬のように飲まれ、安渓では2016年に国家標準が「五年以上貯蔵した陳香型鉄観音」を定義した。梅や乾燥果実のような熟成の香りと、酸味を伴うまろやかな甘さが持ち味。年份の表示は目安にすぎず、保存中に焙煎をかけ直すことが多い。
- 鉄観音てっかんのん閩南烏龍 / 安渓 — 福建省安渓の烏龍茶で、茶樹の品種名でもある。蘭の花のような香りで知られ、酸化の軽い清香型、焙煎した濃香型、長期保存した陳香型に分かれる。安渓の茶文化は2022年に世界農業遺産に認定された。
- 鉄羅漢てつらかん武夷岩茶 / 武夷山 — 武夷岩茶の四大名叢のひとつで、最も古い名叢とされる。慧苑坑の鬼洞が原産地と伝えられ、宋代から名があるという説明もある。薬草のような香りと力強い味が特徴で、四大名叢の中で最も重厚な茶とされる。
- 凍頂烏龍とうちょううーろん台湾烏龍 / 南投 — 台湾南投県鹿谷郷の烏龍茶で、台湾茶の代名詞。青心烏龍種を半球状に巻き、中程度の酸化と焙煎で仕上げる。台湾の公式分類では「焙香型球形烏龍茶」。名前が広く使われるため、産地・品種・焙煎の異なる茶が同じ名で流通している。
- 東方美人とうほうびじん台湾烏龍 / 新竹・苗栗 — 台湾新竹・苗栗の丘陵で作られる、酸化の最も重い烏龍茶。小緑葉蝉(ウンカ)に汁を吸われた芽葉だけを夏に摘み、蜜と熟した果実のような香りに仕上げる。白毫烏龍、膨風茶とも呼ばれ、イギリスの女王が名付けたという伝承がある。
- 白鶏冠はっけいかん武夷岩茶 / 武夷山 — 武夷岩茶の四大名叢のひとつ。新芽が黄白色で葉の縁が波打ち、鶏のとさかに見えることから名付けられた。慧苑の火焔峰の下が原産と伝えられ、明代の記録があるとされる。焙煎を軽めにして淡く軽やかな香味に仕上げることが多く、重厚な鉄羅漢と対照的な茶。
- 武夷水仙ぶいすいせん武夷岩茶 / 武夷山 — 武夷岩茶のうち水仙品種で作ったもの。肉桂と並ぶ武夷岩茶の二大品種で、味の厚みと丸さが持ち味。樹齢の高い木から作る老欉水仙は木や苔のような香りが珍重され、大紅袍のブレンドの主要な原料でもある。
- 武夷肉桂ぶいにっけい武夷岩茶 / 武夷山 — 武夷岩茶のうち肉桂品種で作ったもの。シナモンのような辛みのある香り「桂皮香」が特徴で、水仙と並ぶ武夷岩茶の二大品種。牛欄坑産は「牛肉」、馬頭岩産は「馬肉」と略称され、正岩の岩場ごとに最も高値で取引される岩茶。
- 佛手ぶっしゅ閩南烏龍茶 / 福建省 — 福建省永春を主産地とする烏龍茶で、葉が仏手柑の実のように大きい品種「佛手」で作る。柑橘の皮を思わせる香櫞香とまろやかな味が特徴で、永春佛手の名で地理標志産品になっている。焙煎に耐え、年を置いた老茶は胃によいとして飲まれる。台湾でも少量作られる。
- 文山包種ぶんざんほうしゅ台湾烏龍 / 坪林 — 台北の南、新北市坪林を中心とする文山茶区の烏龍茶で、台湾の烏龍茶の中で最も酸化が軽い。球状に丸めず条索状に仕上げ、花のような清らかな香りを重んじる。「包種」は茶を紙で包んで売った包装に由来し、台湾で最初に烏龍品種が植えられた地域の茶とされる。
- 鳳凰単叢ほうおうたんそう広東烏龍 / 鳳凰山 — 広東省潮州の鳳凰山で作られる烏龍茶。在来種の鳳凰水仙から香りの優れた株を選び、株ごと・香りの型ごとに仕上げるため「単叢」と呼ぶ。蜜蘭香、鴨屎香、宋種など数十の銘柄があり、花や果実のような香りと際立って長い余韻が特徴。潮州工夫茶の核心の茶で、地理標志産品。
- 蜜蘭香みつらんこう鳳凰単叢 / 鳳凰山 — 鳳凰単叢の香型のひとつで、最も広く飲まれている系統。蜜のような甘さと蘭の花の香りを合わせ持つことから名付けられ、生産量が多く値段の幅も広い。芽が黄白色で白葉単叢とも呼ばれ、嶺頭単叢のもとにもなった系統。単叢の入門として勧められることが多い。
- 木柵鉄観音もくさくてっかんのん台湾烏龍茶 / 木柵 — 台北市文山区木柵で作られる鉄観音。清の光緒年間に安渓から鉄観音の苗と製法が持ち込まれ、いまも酸化と焙煎をしっかりかける伝統製法を守っている。安渓の清香型が主流になったいま、昔ながらの重焙煎の鉄観音が飲める産地として知られ、鉄観音品種で作ったものは正欉鉄観音と呼ばれる。
- 梨山茶りざんちゃ台湾高山茶 / 台湾 — 台湾中部、台中市和平区の梨山一帯で作られる高山烏龍茶。標高1800〜2600メートルの茶園は台湾で最も高く、福寿山、華崗、大禹嶺などの茶区を含む。青心烏龍を清香型に仕上げ、林檎や桃にたとえられる香りと厚い甘みで、台湾高山茶の最上位に置かれる。生産量が少なく、名前を借りた茶も多い。
- 嶺頭単叢れいとうたんそう広東烏龍茶 / 広東省 — 広東省潮州市饒平県坪渓鎮嶺頭村で生まれた単叢。1961年、鳳凰水仙の茶園で芽が早く葉が黄緑の一株が見つかり、選抜された品種で作る。葉が光に透けて白く見えることから白葉単叢とも呼ぶ。蜜と花の甘い香り(蜜韻)と滑らかな味が特徴で、鳳凰単叢より渋みが少なく飲みやすい。
紅茶
- 英徳紅茶えいとくこうちゃ工夫紅茶 / 広東省 — 広東省清遠市英徳で作られる紅茶。1959年に雲南大葉種などを植えた英徳茶場で作られたのが始まりで、新中国の輸出紅茶として育てられた。広東省農科院茶葉研究所が選抜した品種「英紅九号」で作る紅茶は香りが高く、滇紅と並ぶ大葉種の紅茶。2006年に地理標志産品になった。
- 祁門紅茶きもんこうちゃ工夫紅茶 / 祁門 — 安徽省黄山市祁門県の紅茶で、世界三大紅茶のひとつ。1875年に福建の製法を持ち込んで生まれた工夫紅茶で、蘭や蜜にたとえられる祁門香と滑らかな味が特徴。製法は2008年に国家級無形文化遺産に登録され、祁門紅茶場の等級区分が標準とされてきた。
- 九曲紅梅きゅうきょくこうばい工夫紅茶 / 浙江省 — 浙江省杭州市西湖区双浦の周辺で作られる紅茶で、西湖龍井と並んで杭州の「一紅一緑」と呼ばれる。清の同治年間に太平天国の乱で福建から移った人々が武夷山の紅茶の製法を伝えたのが起源とされ、水色が紅梅の色に似ることから名付けられた。生産量が少なく杭州でも希少。
- 金駿眉きんしゅんび小種紅茶 / 武夷山 — 福建省武夷山桐木で2005年に生まれた、芽だけで作る紅茶。正山小種の製法をもとに、清明前後の芽を燻さずに仕上げる。500グラムに数万個の芽が要り、中国国内で高級紅茶ブームを起こした。産地の生産量に対して市場の「金駿眉」は桁違いに多い。
- 紅玉こうぎょく台湾紅茶 / 南投 — 台湾の茶業改良場が台湾原生の山茶とミャンマー大葉種を交配して育成し、1999年に命名した品種「台茶18号」で作る紅茶。南投県魚池郷の日月潭周辺が主産地で、薄荷と肉桂にたとえられる独特の香りと濃い紅色の水色から紅玉と名付けられた。
- 正山小種せいざんしょうしゅ小種紅茶 / 武夷山 — 福建省武夷山桐木で作られる、世界最古とされる紅茶。明末に生まれ、17世紀以降ヨーロッパに輸出されて紅茶文化のもとになった。松の薪で燻した薫香型が海外で知られるが、桐木には燻さず果実の香りに仕上げる型も古くからあり、金駿眉はここから2005年に生まれた。
- 坦洋工夫たんようこうふ工夫紅茶 / 福建省 — 福建省福安市坦洋村で1851年に生まれた工夫紅茶。政和工夫、白琳工夫と並ぶ福建三大工夫紅茶の筆頭で、清末から民国期に大量にヨーロッパへ輸出された。金色の芽が混じる細い茶葉と甘くまろやかな味が特徴で、地理標志産品の国家標準(GB/T 24710)がある。製法はユネスコ無形文化遺産の構成要素。
- 滇紅てんこう工夫紅茶 / 臨滄 — 雲南省の大葉種で作る紅茶。「滇」は雲南の別称で、雲南紅茶と同じ意味。1938年に鳳慶で試作されたのが始まりで、金色の芽が多く力強く甘い味が特徴。ミルクティーに向き、芽だけの金芽・金糸などの製品もある。
- 蜜香紅茶みつこうこうちゃ台湾紅茶 / 新竹・苗栗 — 台湾で、小緑葉蝉(ウンカ)に汁を吸われた芽葉を紅茶に仕立てたもの。東方美人と同じ仕組みで蜜とマスカットのような蜜香が生まれ、新竹・苗栗のほか花蓮の瑞穂が産地として知られる。虫まかせの原料ゆえ製茶の出来にばらつきが大きい。
黒茶
- 小青柑しょうせいかん再加工茶 / 広東省 — 広東省新会の小さな青いみかんの中身をくり抜き、雲南の普洱熟茶を詰めて乾燥させた茶。新会の陳皮と普洱を合わせる柑普茶の一種で、2015年前後に中国で爆発的に流行した。一個ずつ淹れる手軽さと柑橘の香りで、普洱茶の入門としても人気。
- 青磚茶せいせんちゃ湖北黒茶 / 湖北省 — 湖北省赤壁市の羊楼洞と趙李橋で作られる黒茶。成熟した葉を殺青・揉捻・日干しして老青茶を作り、渥堆で発酵させて蒸してレンガ状に圧す。清代に山西商人が万里茶道でモンゴル・ロシアへ運んだ辺銷茶で、表面の「川」の字が信用の印だった。製法は国家級無形文化遺産、2022年ユネスコ登録の構成要素。
- 千両茶せんりょうちゃ湖南黒茶 / 安化 — 湖南省安化の黒茶を竹の籠に詰め、数人がかりで踏み固めて円柱状にした巨大な茶。重さが清代の秤で千両(約36キロ)あることから名付けられ、花巻茶とも言う。清の道光年間に生まれ、製法は2008年に国家級無形文化遺産、2022年にユネスコ無形文化遺産の構成要素になった。小型の百両茶、十両茶もある。
- 蔵茶ぞうちゃ四川黒茶 / 雅安 — 四川省雅安で作られ、チベットへ運ばれてきた黒茶。唐代以来の茶馬交易の主役で、南路辺茶とも呼ばれる。成熟した葉と茎を殺青・揉捻したあと渥堆で発酵させ、康磚や金尖の名でレンガ状に固める。チベットではバター茶の原料として日常の必需品で、製法は国家級無形文化遺産。
- 普洱熟茶ぷーあるじゅくちゃ普洱茶 / 雲南省 — 普洱生茶の晒青毛茶を湿らせて積み上げ、微生物で発酵させた渥堆を経た茶。1973年から1975年にかけて昆明茶廠で製法が確立された新しい茶で、数十年かかる熟成の丸みを数十日で作る。日本で流通する普洱茶の多くはこの熟茶。
- 普洱生茶ぷーあるしょうちゃ普洱茶 / 雲南省 — 雲南大葉種の葉を殺青・揉捻し天日で乾かした晒青毛茶を、そのまま、または蒸して餅茶などに固め、自然に熟成させる茶。渥堆を経ないため製法上は黒茶の定義に当てはまらず、若いうちは緑茶に近く、年を経るごとに変化する「越陳越香」が愛好家に珍重される。
- 茯磚茶ふくせんちゃ湖南黒茶 / 安化 — 湖南省安化の黒茶をレンガ状に固め、「発花」という工程で冠突散嚢菌(金花)を茶の中に育てた黒茶。もとは陝西の涇陽で安化の茶を加工したもので、モンゴルや西北へ運ばれた辺銷茶。製法は2008年に国家級無形文化遺産、2022年にユネスコ無形文化遺産の構成要素になった。
- 六堡茶ろっぽちゃ広西黒茶 / 広東省 — 広西壮族自治区梧州市の黒茶。殺青・揉捻・堆悶した毛茶を渥堆して仕上げ、竹籠に詰めて熟成させる。檳榔の香りと形容される独特の香りで知られ、清代から東南アジアの華人社会に輸出されてきた。製法は2014年に国家級無形文化遺産に登録。
花茶・再加工茶
- 菊花茶きくかちゃ茶外茶 / 浙江省 — 乾燥した菊の花を湯に浮かべて飲む茶外茶。茶樹の葉を使わないので分類上は茶ではないが、中国の茶館やレストランで最も身近な飲み物のひとつ。浙江桐郷の杭白菊と安徽黄山の黄山貢菊が二大産地で、目によいとされ、クコと合わせた杞菊茶や普洱と合わせた菊普も定番。
- 苦丁茶くていちゃ茶外茶 — モチノキ科の大葉冬青(または木犀科の粗壮女貞)の葉を茶のように仕立てた茶外茶。強い苦みのあとに甘みが戻り、体の熱を冷ますとされて中国南部で古くから飲まれる。海南・広西の大葉苦丁と、四川・貴州の小葉苦丁があり、茶樹の葉ではないのでカフェインを含まない。
- 桂花烏龍けいかうーろん花茶 / 福建省 — 烏龍茶に金木犀(桂花)の花の香りを移した花茶。緑茶や紅茶を使った桂花茶もあり、中国の行業標準は桂花の鮮花で窨制した茶と定義する。焙煎した烏龍茶と金木犀の甘い香りの相性がよく、東京の中国茶カフェでも定番のメニューになっている。
- 工芸茶こうげいちゃ花茶 / 福建省 — 芽の多い緑茶を糸で束ね、中に菊や千日紅、茉莉などの乾燥した花を仕込んで、湯の中で花が開くように仕立てた茶。1980〜90年代に安徽省黄山で緑牡丹などが作られたのが始まりとされ、福建省で茉莉の香りを付けた製品が大量生産されて世界に広まった。見た目を楽しむ茶。
- 陳皮ちんぴ茶外茶 / 広東省 — みかんの皮を干して寝かせたもので、広東省江門市新会の茶枝柑の皮を三年以上陳化させた新会陳皮が最も有名。漢方薬であり食材でもあり、湯に浸して飲んだり、普洱熟茶や白茶と合わせて淹れたりする。年を置くほど価値が上がるとされ、小青柑や柑普茶はこの陳皮と普洱茶の組み合わせから生まれた。
- 八宝茶はっぽうちゃ茶外茶 — 中国西北の回族の家庭や茶館で飲まれる、蓋碗に茶葉と氷砂糖、ナツメ、クコ、竜眼、干しブドウ、ゴマ、花などを合わせて淹れる甘い茶。「八宝」は多くのよい材料という意味で決まった配合はなく、寧夏や甘粛、青海では三炮台とも呼ぶ蓋碗で飲む。茶葉が入らない場合は茶外茶に当たる。
- 碧潭飄雪へきたんひょうせつ花茶 / 四川省 — 四川省の茉莉花茶で、峨眉山周辺の明前の芽茶に広西横州のジャスミンで窨制し、仕上げに乾燥した花を戻して雪のように散らしたもの。1980年代に新津の徐金華が創製し、徐公茶とも呼ばれる。緑の茶湯に白い花が浮かぶ姿から名付けられ、成都の茶館で蓋碗で飲む茶として定着した。
- 玫瑰花茶まいかいかちゃ茶外茶 — 乾燥したバラ(玫瑰、ハマナス)の蕾を湯に浮かべて飲む花茶。茶葉を含まない茶外茶だが、中国の茶館や女性向けの飲み物として定番で、紅茶や普洱茶に加えて飲むことも多い。山東省平陰と甘粛省苦水が二大産地で、大きく開いた花冠を使う玫瑰花冠茶もある。
- 茉莉花茶まつりかちゃ花茶 / 福建省 — 緑茶にジャスミン(茉莉)の鮮花の香りを移した花茶で、中国の花茶の代表。夜に開くジャスミンの花と茶葉を混ぜて香りを吸わせる「窨制」を数回繰り返して作り、本来は花を取り除く。福建省福州の窨制技術は2014年に国家級無形文化遺産と世界農業遺産になり、現在は広西の横州が生産の中心。
- 茉莉龍珠まつりりゅうじゅ花茶 / 福鼎 — 若い芽葉を一つずつ丸めて真珠のような玉にした緑茶に、ジャスミンの香りを移した花茶。茉莉花茶の中で最も手間のかかる高級品で、福鼎大白茶の産毛の多い芽を使ったものが伝統的。玉がゆっくり開く姿と澄んだ香りで、日本ではジャスミンパールの名で親しまれる。
- 茘枝紅茶れいしこうちゃ果茶 / 広東省 — 広東省の工夫紅茶にライチの香りを移した再加工茶。伝統的にはライチを乾燥させる工程で紅茶を一緒に燻して香りを吸わせるが、ライチの果汁や香料で着香した製品も多い。広東で古くから作られ、香港や日本の中華料理店でライチ紅茶として親しまれている。