花茶・再加工茶
読み かちゃ拼音 huāchá中国語 花茶別名 茉莉花茶、ジャスミン茶、再加工茶、緊圧茶、工芸茶、窨制、scented tea、reprocessed tea
できあがった茶に花の香りを移したり、形を整えたりした茶。国家標準は六大茶類を原料とする花茶・緊圧茶・袋泡茶などを「再加工茶」として別立てにする。茉莉花茶(ジャスミン茶)が代表で、六大茶類には含まれない。
| 発酵(酸化)度 | 元の茶による |
|---|
六大茶類のどれかを原料にして、さらに手を加えた茶です。国家標準の茶葉分類(GB/T 30766)は、緑茶・紅茶・黄茶・白茶・烏龍茶・黒茶の六つを基本茶類とし、それらを原料にした花茶、緊圧茶、袋泡茶(ティーバッグ)、粉茶などを「再加工茶」として別に立てています。このサイトでは花茶を中心に、工芸茶や小青柑のような加工品もここで扱います。
茉莉花茶(ジャスミン茶)
代表は茉莉花茶です。ジャスミンの花や葉を乾燥した茶と思われがちですが、実際は緑茶にジャスミンの花の香りを移した「茶」です。国家標準(GB/T 22292)は、緑茶を原料に等級ごとの茶坯を作り、茉莉の鮮花で窨制(香りを移す作業)したものと定義しており、白蘭の花を下地に使うことも認めています。
窨制の工程は、夜に開くジャスミンの性質を使います。夕方に水分を落とした茶葉と開きかけの花を混ぜ合わせ、朝まで置いて香りを吸わせ、花を取り除いて茶葉を乾かします。これを一窨と数え、高級品は数回から十回近く繰り返します。本来の作り方では花は取り除くため、花が多く混じっているのは香りの弱さを見た目で補っている場合があります。質の低い製品では一度使った花や香料で香りを付けることもあります。
原料の緑茶は烘青緑茶が主で、かつては福建省の福鼎大白茶で作った緑茶が王道でしたが、白茶の値上がりで原料が高騰し、雲南など他産地の緑茶も使われるようになりました。花の産地は広西壮族自治区の横県(現・横州)が中国の花茶生産の大半を占め、福建で作った緑茶を広西に運んで窨制することが多くなっています。福州の茉莉花茶の窨制技術は無形文化遺産にもなっています。
主な花茶と加工茶
| 名前 | 内容 |
|---|---|
| 茉莉龍珠(ジャスミンパール) | 芽葉を丸めた緑茶にジャスミンを窨制したもの |
| 碧潭飄雪 | 四川の茉莉花茶。仕上げに花を少し戻して雪のように浮かべる |
| 工芸茶(龍鳳吉祥、富貴牡丹など) | 茶葉と花を糸で束ね、湯の中で開くように仕立てたもの |
| 小青柑 | 小さな青いミカンの中身をくり抜き、普洱熟茶を詰めて乾燥させたもの。広東省新会の陳皮と組み合わせる |
| 緊圧茶(餅茶・沱茶・磚茶) | 茶葉を蒸して固めたもの。普洱茶や白茶に多い |
分類上の位置
花茶は原料が緑茶であれば緑茶、烏龍茶であれば烏龍茶の性格を持ちますが、窨制という工程が加わるため六大茶類には含めません。緊圧茶も、普洱茶のように黒茶の一種として扱われるものと、形状の加工として再加工茶に含めるものがあり、文脈で使い分けられています。
淹れ方の傾向
茉莉花茶は緑茶と同じく少し冷ました湯でガラスのコップや蓋碗で淹れる人が多く、香りを楽しむため蓋碗の蓋の香りを嗅ぐ飲み方も定番です。工芸茶はガラスの器で開く様子を眺めながら飲みます。
この分類の茶葉
- 菊花茶乾燥した菊の花を湯に浮かべて飲む茶外茶。茶樹の葉を使わないので分類上は茶ではないが、中国の茶館やレストランで最も身近な飲み物のひとつ。浙江桐郷の杭白菊と安徽黄山の黄山貢菊が二大産地で、目によいとされ、クコと合わせた杞菊茶や普洱と合わせた菊普も定番。
- 苦丁茶モチノキ科の大葉冬青(または木犀科の粗壮女貞)の葉を茶のように仕立てた茶外茶。強い苦みのあとに甘みが戻り、体の熱を冷ますとされて中国南部で古くから飲まれる。海南・広西の大葉苦丁と、四川・貴州の小葉苦丁があり、茶樹の葉ではないのでカフェインを含まない。
- 桂花烏龍烏龍茶に金木犀(桂花)の花の香りを移した花茶。緑茶や紅茶を使った桂花茶もあり、中国の行業標準は桂花の鮮花で窨制した茶と定義する。焙煎した烏龍茶と金木犀の甘い香りの相性がよく、東京の中国茶カフェでも定番のメニューになっている。
- 工芸茶芽の多い緑茶を糸で束ね、中に菊や千日紅、茉莉などの乾燥した花を仕込んで、湯の中で花が開くように仕立てた茶。1980〜90年代に安徽省黄山で緑牡丹などが作られたのが始まりとされ、福建省で茉莉の香りを付けた製品が大量生産されて世界に広まった。見た目を楽しむ茶。
- 陳皮みかんの皮を干して寝かせたもので、広東省江門市新会の茶枝柑の皮を三年以上陳化させた新会陳皮が最も有名。漢方薬であり食材でもあり、湯に浸して飲んだり、普洱熟茶や白茶と合わせて淹れたりする。年を置くほど価値が上がるとされ、小青柑や柑普茶はこの陳皮と普洱茶の組み合わせから生まれた。
- 八宝茶中国西北の回族の家庭や茶館で飲まれる、蓋碗に茶葉と氷砂糖、ナツメ、クコ、竜眼、干しブドウ、ゴマ、花などを合わせて淹れる甘い茶。「八宝」は多くのよい材料という意味で決まった配合はなく、寧夏や甘粛、青海では三炮台とも呼ぶ蓋碗で飲む。茶葉が入らない場合は茶外茶に当たる。
- 碧潭飄雪四川省の茉莉花茶で、峨眉山周辺の明前の芽茶に広西横州のジャスミンで窨制し、仕上げに乾燥した花を戻して雪のように散らしたもの。1980年代に新津の徐金華が創製し、徐公茶とも呼ばれる。緑の茶湯に白い花が浮かぶ姿から名付けられ、成都の茶館で蓋碗で飲む茶として定着した。
- 玫瑰花茶乾燥したバラ(玫瑰、ハマナス)の蕾を湯に浮かべて飲む花茶。茶葉を含まない茶外茶だが、中国の茶館や女性向けの飲み物として定番で、紅茶や普洱茶に加えて飲むことも多い。山東省平陰と甘粛省苦水が二大産地で、大きく開いた花冠を使う玫瑰花冠茶もある。
- 茉莉花茶緑茶にジャスミン(茉莉)の鮮花の香りを移した花茶で、中国の花茶の代表。夜に開くジャスミンの花と茶葉を混ぜて香りを吸わせる「窨制」を数回繰り返して作り、本来は花を取り除く。福建省福州の窨制技術は2014年に国家級無形文化遺産と世界農業遺産になり、現在は広西の横州が生産の中心。
- 茉莉龍珠若い芽葉を一つずつ丸めて真珠のような玉にした緑茶に、ジャスミンの香りを移した花茶。茉莉花茶の中で最も手間のかかる高級品で、福鼎大白茶の産毛の多い芽を使ったものが伝統的。玉がゆっくり開く姿と澄んだ香りで、日本ではジャスミンパールの名で親しまれる。
- 茘枝紅茶広東省の工夫紅茶にライチの香りを移した再加工茶。伝統的にはライチを乾燥させる工程で紅茶を一緒に燻して香りを吸わせるが、ライチの果汁や香料で着香した製品も多い。広東で古くから作られ、香港や日本の中華料理店でライチ紅茶として親しまれている。
よく出る用語
参考リンク
- GB/T 30766-2014 茶叶分类(国家標準) — 再加工茶の区分(花茶・緊圧茶・袋泡茶・粉茶)
- GB/T 22292-2017 茉莉花茶(国家標準) — 茉莉花茶の定義(緑茶を茶坯にして茉莉の鮮花で窨制)
- HOJO: 高級ジャスミン茶の作り方。ジャスミン茶の選び方 — 窨制の工程、原料緑茶と花の産地の変遷
- HOJO: 高級ジャスミン茶はここがちがう。おすすめのジャスミン茶の選び方 — ジャスミン茶の品質の見方
- HOJO: 美味しいジャスミン茶に使われる高品質なジャスミンの花とは? — 花の品質
- 『はじめての中国茶とおやつ』甘露 著(誠文堂新光社) p.64, 74 — 龍珠花茶、碧潭飄雪などの項