中国茶辞典中国茶・台湾茶の用語とコラム

茉莉花茶(まつりかちゃ)

読み まつりかちゃ現地音 モーリーホァチャ拼音 Mòlìhuāchá別名 ジャスミン茶、ジャスミンティー、茉莉龍珠、ジャスミンパール、茉莉銀針、茉莉春毫、碧潭飄雪、福州茉莉花茶、Jasmine Tea

緑茶にジャスミン(茉莉)の鮮花の香りを移した花茶で、中国の花茶の代表。夜に開くジャスミンの花と茶葉を混ぜて香りを吸わせる「窨制」を数回繰り返して作り、本来は花を取り除く。福建省福州の窨制技術は2014年に国家級無形文化遺産と世界農業遺産になり、現在は広西の横州が生産の中心。

分類花茶・再加工茶 / 花茶
産地福建省
品種福鼎大白茶(ふくていだいはくちゃ)
製法殺青(さっせい)
外観原料の緑茶の姿による。芽を丸めた茉莉龍珠、条索状の春毫など。本来は花を取り除く
水色淡い黄緑から黄色
香りジャスミンの花の香り。上質なものは香りが澄んで持続する
緑茶のうまみと甘みに、花の香りが溶けている

緑茶にジャスミン(茉莉)の花の香りを移した花茶で、中国で最も飲まれている花茶です。ジャスミンの花や葉を乾燥させた茶と思われがちですが、国家標準(GB/T 22292)は茉莉花茶を、緑茶を原料に等級ごとの茶坯(ちゃはい)を作り、茉莉の鮮花で窨制(いんせい)(香りを移す作業)したものと定義しており、白蘭(はくらん)の花を下地に使うことも認めています。あくまで「茶」で、本来の作り方では花は取り除きます。北京や成都、蘇州の茶館で日常的に飲まれる茶で、日本でも中華料理店の定番です。

窨制

窨制はジャスミンが夜に開く性質を使います。夕方、水分を落とした茶葉と開きかけの花を混ぜ、朝まで置いて香りを吸わせ、花を取り除いて茶葉を乾かします。これを一窨と数え、高級品は数回から十回近く繰り返します。窨の回数が多いほど香りは深くなりますが、回数だけで品質が決まるわけではなく、原料の緑茶の質、花の質(晴天続きの花は香りが強い)、一回あたりの花の量が同じくらい重要です。質の低い製品は一度使った花で香り付けしたり、香料を噴霧したりします。花がたくさん混じっているのは、香りの弱さを見た目で補っている場合があります。

産地の変遷

福州(ふくしゅう)は茉莉花茶の発祥地とされ、福州の窨制技術は2014年に国家級無形文化遺産に、福州の茉莉花と茶文化システムは同年に世界農業遺産に認定され、2022年のユネスコ登録の構成要素にもなりました。原料の緑茶は福鼎大白茶(ふくていだいはくちゃ)で作った産毛の多い烘青緑茶(こうせいりょくちゃ)が王道でしたが、2010年代の白茶ブームで原料が白茶に回って高騰し、雲南など他産地の緑茶も使われるようになりました。花の栽培も福建では減り、いまは広西壮族自治区の横州(おうしゅう)(旧横県)が中国の茉莉花茶生産の大半を占め、福建や雲南で作った緑茶を広西(こうせい)に運んで窨制することが多くなっています。

主な製品

名前内容
茉莉龍珠(まつりりゅうじゅ)(ジャスミンパール)芽葉を丸めた緑茶に窨制したもの。福鼎の緑茶が伝統的
茉莉銀針(まつりぎんしん)茉莉春毫(まつりしゅんごう)芽の多い緑茶を窨制した上級品
碧潭飄雪(へきたんひょうせつ)四川(しせん)の茉莉花茶。仕上げに乾燥した花を少し戻し、雪のように浮かべる
茉莉仙子(まつりせんし)など工芸茶(こうげいちゃ)茶葉と花を糸で束ね、湯の中で開くように仕立てたもの

楽しみ方

香りを楽しむ茶なので、少し冷ました湯で蓋碗で短めに淹れ、蓋の裏の香りを嗅ぐのが定番です。成都では緑茶と並んで茉莉花茶が日常の茶で、ガラスのコップや蓋碗で一日中湯を足しながら飲まれています。

茉莉花茶の淹れ方

少し冷ました湯(80〜90℃)で蓋碗かガラスのコップで淹れる人が多いです。香りを楽しむため蓋碗で短めに淹れて蓋の裏の香りを嗅ぐのが定番で、3〜5煎楽しめます。ガラスのコップで注ぎ出さずに飲むのも一般的です。洗茶はせず、沸騰した湯だと苦みが出やすいので避ける人が多いです。

淹れ方はひとつではありません。ここでは多くの人がどう淹れているかを書いています。

参考リンク