中国茶辞典中国茶・台湾茶の用語とコラム

茯磚茶(ふくせんちゃ)

読み ふくせんちゃ現地音 フージュアンチャ拼音 Fúzhuānchá中国語 茯砖茶別名 茯茶、茯磚、安化茯磚茶、涇陽茯茶、金花茶、Fu Brick Tea

湖南省安化の黒茶をレンガ状に固め、「発花」という工程で冠突散嚢菌(金花)を茶の中に育てた黒茶。もとは陝西の涇陽で安化の茶を加工したもので、モンゴルや西北へ運ばれた辺銷茶。製法は2008年に国家級無形文化遺産、2022年にユネスコ無形文化遺産の構成要素になった。

分類黒茶 / 湖南黒茶
産地安化
製法殺青(さっせい)揉捻(じゅうねん)渥堆(あくたい)
外観レンガ状に固めた黒褐色の茶で、割ると中に黄色い粒(金花)が点々と見える
水色橙黄色から琥珀色で澄む
香り松の薪の香りと、金花に由来する菌の甘い香り(菌花香)
あっさりとまろやかで甘く、渋みはない

湖南省(こなんしょう)安化(あんか)で作られる黒茶をレンガ状に固めたもので、黒茶(こくちゃ)の中でも「金花(きんか)」を育てる独特の工程で知られます。名前は伏(夏の土用)の時期に作ったから、あるいは茯苓(ぶくりょう)のような効能があるからと諸説あります。かつては安化(あんか)の黒毛茶を陝西省の涇陽(けいよう)まで運んでそこで茯磚茶に加工していましたが、新中国成立後は安化と益陽(えきよう)でも作られるようになりました。製法は千両茶(せんりょうちゃ)とともに2008年に国家級無形文化遺産に登録され、2022年のユネスコ登録の構成要素にもなっています。

製法と金花

安化の黒毛茶を篩い分け・拼配(へいはい)し、渥堆(あくたい)を経て蒸してレンガ状に圧し、そのあと「発花(はっか)」という工程で温度と湿度を保った部屋に置きます。すると茶の中に冠突散嚢菌(かんとつさんのうきん)という麹カビの一種が育ち、割ると黄色い粒が点々と見えます。これが金花で、金花の多さが茯磚茶の品質の目安とされ、菌が作る甘い香り(菌花香(きんかこう))とまろやかな味の理由になっています。乾燥に松の薪を使うため、松の香りが乗るのも安化の黒茶の特徴です。

辺銷茶(へんしょうちゃ)

茯磚茶はモンゴル、青海、新疆などの遊牧地域へ運ばれた辺銷茶の代表で、肉や乳製品の多い食生活を補う日常の飲み物として、煮出してミルクや塩を加えて飲まれてきました。いまも西北ではこの飲み方が続いています。中国国内で黒茶が見直された2000年代以降は、金花の健康効果を謳って都市部でも飲まれるようになりました。

楽しみ方

本来はレンガから崩してやかんで煮出す茶ですが、蓋碗や茶壺(ちゃこ)で沸騰した湯を使って煎を重ねる飲み方でも楽しめます。あっさりして渋みがなく、松の香りと甘さがあるため、黒茶をはじめて飲む人にも取っつきやすい茶です。安化には茯磚茶のほか、竹籠に詰めた千両茶、黒磚茶(こくせんちゃ)花磚茶(かせんちゃ)散茶(さんちゃ)天尖(てんせん)などがあります。

茯磚茶の淹れ方

レンガから茶を崩し、やかんで煮出して飲むのが本来の飲み方で、モンゴルや西北ではミルクや塩を加えます。蓋碗や茶壺で淹れる場合は沸騰した湯で、1煎目を短く注ぎ出してから煎を重ね、10煎ほど楽しめます。金花の香りを引き出すには高温が向くとされます。

淹れ方はひとつではありません。ここでは多くの人がどう淹れているかを書いています。

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