中国茶辞典中国茶・台湾茶の用語とコラム

陳香(ちんこう)

読み ちんこう現地音 チェンシャン拼音 chénxiāng中国語 陈香別名 陈香、陳香型、陳味、陳化、老茶、越陳越香、棗香、樟香、参香、薬香

茶を適切に保存して年を経たときに生まれる好ましい熟成の香り。国家標準の審査用語は「品質のよい茶が適切に保存され、雑味やカビ臭のない熟成香を持つこと」と定義する。普洱茶や黒茶、老白茶、陳年烏龍茶の評価に使い、5年以上保存した鉄観音は陳香型として国家標準に区分がある。

「陳」は古い、年を経たという意味で、陳香は茶を保存して年を経たときに生まれる熟成の香りを指します。国家標準の官能審査用語(GB/T 14487)は、品質のよい茶が適切に保存され、熟成を経て、雑味やカビ臭のない好ましい香りを持つこと、と定義しています。単に古ければよいのではなく、「よい茶を、よい環境で」が前提です。

どの茶で使うか

  • 普洱茶(ぷーあるちゃ)・黒茶: 陳香が最も重視される茶です。生茶(しょうちゃ)は年を経ると花や蜜の香りから乾燥果実、樟脳や木、漢方薬のような香りへ移り、これを「越陳越香(えつちんえつこう)」(古いほど香りが良い)と言います。熟茶(じゅくちゃ)では乾燥ナツメのような棗香が上質とされ、樟脳のような樟香、朝鮮人参のような参香、薬香(やっこう)といった呼び分けがあります。
  • 老白茶(ろうはくちゃ): 数年から十年以上寝かせた白茶は蜜や果実の香りが出て、長期のものはブランデーにたとえられます。
  • 陳年烏龍茶: 台湾の老茶や、5年以上保存した鉄観音は国家標準で「陳香型(ちんこうがた)」として清香型(せいこうがた)濃香型(のうこうがた)と並ぶ区分になっています。焙煎を重ねながら保存した烏龍茶は梅や薬のような香りになります。
  • 老陳皮: 茶ではありませんが、柑橘の皮を年数寝かせた陳皮(ちんぴ)も同じ言葉で評価されます。

陳香と倉味

熟成の香りと、保存の失敗による臭いは別物です。湿った倉庫で保存された茶にはカビや土のような臭いが出て、これを倉味(湿倉味)と呼び、陳香とは区別されます。普洱茶の世界では、湿度の高い環境で急速に熟成させた湿倉と、乾いた環境でゆっくり熟成させた乾倉を分け、乾倉の陳香を上とするのが現在の主流です。カビ臭いと言われる熟茶の香りの正体は、実はカビではなく煙臭い原料が発酵で変化したものだ、という指摘もあります。

陳化の条件

熟成は温度、湿度、通気、光、匂いの影響を受けます。密封せず紙で包み、風通しがあり、湿気と匂いのない暗い場所に置くのが基本で、餅茶(へいちゃ)は竹の皮の包み(筒)のまま置くのが伝統です。年数だけが価値を決めるわけではなく、もとの茶の質と保存環境がそろってはじめて陳香が生まれます。

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