緑茶
読み りょくちゃ拼音 lǜchá中国語 绿茶 / 綠茶別名 不発酵茶、green tea、炒青緑茶、烘青緑茶、晒青緑茶、蒸青緑茶
摘んだ葉をすぐに加熱して酸化を止めた茶。国家標準は「殺青・揉捻・乾燥」で作る茶と定義し、殺青と乾燥の方法で炒青・烘青・晒青・蒸青に分ける。中国で最も生産量が多く、龍井や碧螺春が代表。
| 発酵(酸化)度 | 不発酵(酸化させない) |
|---|---|
| 特徴的な工程 | 殺青 → 揉捻 |
摘んだ葉をすぐに加熱して酵素の働きを止め、葉の緑色を保ったまま仕上げる茶です。国家標準の茶葉分類(GB/T 30766)は緑茶を「生葉を原料に、殺青・揉捻・乾燥などの工程で作られた製品」と定義しています。殺青を最初に行うため酸化が起こらず、六大茶類の中では「不発酵茶」に当たります。
中国で最も多い茶
中国の茶の生産量の半分以上は緑茶で、産地も最も広く分布しています。浙江省では茶の生産量の9割近くが緑茶です。中国十大銘茶と呼ばれるものの多くも緑茶で、龍井、碧螺春、黄山毛峰、信陽毛尖、太平猴魁などが代表です。名前に「白茶」とつく安吉白茶も、葉緑素の少ない品種で作った緑茶です。
殺青と乾燥の方法による四分類
緑茶は殺青と最終乾燥の方法で四つに分けられ、国家標準の分類にもそのまま使われています。
| 分類 | 方法 | 特徴 | 例 |
|---|---|---|---|
| 炒青 | 釜で炒って殺青し、炒って乾かす | 香ばしい。中国緑茶の主流 | 龍井、碧螺春 |
| 烘青 | 殺青のあと熱風で乾かす | 香りが穏やかで、ジャスミン茶の原料にも | 黄山毛峰、六安瓜片 |
| 晒青 | 殺青のあと天日で乾かす | 酵素がわずかに残り熟成向き。普洱茶の原料 | 雲南の晒青毛茶 |
| 蒸青 | 蒸気で殺青する | 青々とした香り。日本の煎茶と同じ方式 | 恩施玉露 |
日本の緑茶はほぼすべて蒸青ですが、中国の緑茶は炒青が中心です。釜炒りは鉄板の熱で直接殺青しているように見えて、実際には葉から出る水蒸気で蒸すことで殺青が進むため、一度に多めの葉を入れて蒸気を逃さないことが要点です。
工程
殺青のあと揉捻して形を整え、乾燥させます。龍井のように釜で炒りながら平たく押しつける茶、碧螺春のように螺旋状に巻く茶、太平猴魁のように葉を広げたまま押さえる茶など、形の作り方が銘柄の個性になっています。揉捻を強くすると味が早く出て煎が続かず、弱くすると煎が重ねられるため、高級茶ほど軽めに揉む傾向があります。
摘採時期
新芽の時期が品質を左右するため、[mingqian|明前]、雨前(穀雨より前)といった摘採時期の呼び方が重視されます。早い時期の芽ほど小さく、摘採に手間がかかるため高価です。緑茶は鮮度が命とされ、その年の春に飲み切るのが基本ですが、晒青緑茶だけは熟成させて普洱生茶になります。
淹れ方の傾向
緑茶は他の茶類より低めの湯温(80℃前後)で淹れる人が多く、沸騰した湯だと苦みや渋みが出やすいとされます。ガラスのコップに直接茶葉を入れ、注ぎ出さずに湯を足しながら飲むのが中国での定番で、芽の美しい茶ほどこの飲み方が好まれます。
この分類の茶葉
- 安吉白茶浙江省湖州市安吉県の緑茶。名前に白茶とあるが分類は緑茶で、春の低温で葉が白くなる突然変異の品種「白葉1号」から作る。アミノ酸が普通の緑茶の数倍と多く、うまみが際立つ。1980年代に一本の古木から増やされた新しい名茶。
- 恩施玉露湖北省恩施で作られる、中国で唯一伝統が残る蒸青の針形緑茶。蒸気で殺青し、焙炉の上で手で伸ばしながら乾かして松の葉のような真っ直ぐな形にする。日本の煎茶に近い清らかな香りとうまみで、製法は2014年に国家級無形文化遺産、2022年にユネスコ無形文化遺産の構成要素になった。
- 径山茶浙江省杭州市余杭区の径山で作られる緑茶。唐代に径山寺を開いた法欽が茶を植えたと伝えられ、宋代に寺で行われた径山茶宴は日本の茶道の源流とされる。陸羽が近くに隠棲して茶経を著したとも言われる茶の聖地で、現在の径山茶は細く巻いた産毛の多い烘青緑茶。径山茶宴は国家級無形文化遺産。
- 黄山毛峰安徽省黄山市周辺で作られる烘青緑茶で、中国十大銘茶のひとつ。清の光緒年間に歙県の茶商が始めたとされ、芽の根元に混じる金色の「魚葉」と象牙色の葉が上質の目印。国家標準は産地を黄山市の各区県と定めている。
- 信陽毛尖河南省信陽市の緑茶で、中国の緑茶産地の北限に近い大別山の北麓で作られる。清明前後の若い芽を細く真っ直ぐに揉み、産毛の多い姿に仕上げる炒青緑茶。1915年のパナマ万博で受賞し、十大名茶に数えられる。製法は2008年に国家級無形文化遺産に登録され、地理標志産品の国家標準がある。
- 太平猴魁安徽省黄山市黄山区の猴坑村を核心産地とする緑茶で、中国十大銘茶のひとつ。在来種の柿大茶の大きな葉を「二葉抱一芽」のまま押し花のように平たく伸ばした独特の姿と、蘭のような香り、長い余韻が特徴。1900年ごろに生まれた比較的新しい名茶。
- 竹葉青四川省峨眉山の緑茶。清明前の芽だけを摘んで平たく整え、竹の葉のような形に仕上げる。1964年に峨眉山を訪れた陳毅がその姿から名付けたとされ、四川の緑茶の中で最も知られた銘柄になった。名前は商標として一社が持つため、同型の茶は峨眉毛峰などの名でも売られる。
- 都匀毛尖貴州省黔南布依族苗族自治州都匀市の緑茶で、貴州を代表する名茶。魚の釣り針のように巻いた産毛の多い姿から魚鉤茶とも呼ばれ、茶葉・水色・葉底が緑に黄を透かす「三緑透三黄」が特徴。1956年に毛沢東が名付けたと伝えられ、2010年に地理標志産品になった。
- 碧螺春江蘇省蘇州の太湖に浮かぶ洞庭山で作られる緑茶で、龍井と並ぶ中国緑茶の代表。産毛に包まれた小さな芽を釜で炒りながら螺旋状に巻く製法が特徴で、果樹の間で育つ茶果間作の茶園と、清明節前の一番茶だけを碧螺春と呼ぶ厳しさで知られる。
- 蒙頂甘露四川省雅安市の蒙頂山(蒙山)で作られる緑茶。中国で最も早く茶が栽培された地のひとつと伝えられ、唐代から貢茶として記録がある。清明前の若い芽を揉んでよじり、産毛の多い碧螺春に似た姿に仕上げる。蒙山茶は国家標準の地理標志産品で、蒙頂黄芽と並ぶ蒙頂山の看板。
- 六安瓜片安徽省六安市(金寨・霍山)の緑茶で、中国十大銘茶のひとつ。芽と茎を取り除いた葉だけで作る世界でも珍しい片茶で、炭火の籠を担いで往復する「拉老火」という最後の火入れが独特。製法は2008年に国家級無形文化遺産に登録された。
- 廬山雲霧江西省九江市の廬山で作られる緑茶。標高800メートル以上の霧の多い山中で育ち、東晋の僧慧遠が野生茶を栽培したと伝えられる古い産地。宋代には貢茶とされ、明代から雲霧茶の名で呼ばれる。太めで産毛の多い姿と濃い味が特徴で、十大名茶に数えられ、地理標志産品の国家標準(GB/T 21003)がある。
- 龍井浙江省杭州の緑茶で、中国緑茶の代表格。釜で炒りながら平たく整える製法と炒り豆のような香りが特徴。国家標準は産地を西湖・銭塘・越州の三産区に分け、西湖産区のものが最上とされる。
よく出る用語
参考リンク
- GB/T 30766-2014 茶叶分类(国家標準) — 緑茶の定義と炒青・烘青・蒸青・晒青の区分
- GB/T 14456 绿茶(国家標準) — 緑茶の製品規格
- 浙江新闻: 2023年浙江名优茶产值比重居全国之首 — 浙江省の茶の9割近くが緑茶であること
- 消観茶論 第139回: 2021年の中国茶統計・300万トンの大台を超え、緑茶は6割切り目前に — 中国全体の茶に占める緑茶の割合
- HOJO: 釜炒りとお茶の品質の深い関係 — 釜炒り殺青の仕組み
- HOJO: 緑茶の種類って何があるの?製法や品種ごとに徹底解説! — 緑茶の種類の日本語での整理
- 『はじめての中国茶とおやつ』甘露 著(誠文堂新光社) p.8-11 — 六大分類の中での緑茶の工程