中国茶辞典中国茶・台湾茶の用語とコラム

明前(めいぜん)

読み めいぜん現地音 ミンチェン拼音 míngqián別名 明前茶、雨前、雨前茶、明後、頭春、清明、穀雨、春茶

清明節(4月5日ごろ)より前に摘んだ茶のこと。中国緑茶では摘採時期が品質と価格を決め、明前茶が最上、穀雨(4月20日ごろ)前の雨前茶がそれに続くとされる。ただし早生品種の普及で時期の意味は産地によって変わってきている。

二十四節気の清明(4月5日ごろ)より前に摘んだ茶を明前茶、その次の穀雨(こくう)(4月20日ごろ)より前に摘んだ茶を雨前茶と呼びます。中国の緑茶、とくに江南の名茶では、いつ摘んだかが品質と価格を決める最も大きな要素で、「早ければ宝、遅ければ草」「一日ごとに値段が違う」と言われるほどです。

なぜ早い芽が良いのか

春先の芽は冬の間に蓄えた養分を持ち、小さく柔らかく、産毛が多く、うまみのもとになるアミノ酸が豊富です。気温が上がって芽が伸びると葉は大きく硬くなり、渋みが増して香りの繊細さが失われます。龍井なら気温が25℃を超えると芽が伸びすぎて高級品にならないとされ、碧螺春(へきらしゅん)では産毛に包まれた姿になるのは清明前の一番茶だけです。同じ茶園でも、数日の差で出来が変わります。

摘採が早いほど芽は小さく、摘み手の手間がかかるため、明前茶の価格は高くなります。洞庭碧螺春では、穀雨を過ぎた二番茶は碧螺春を名乗れず、普段飲みの釜炒り緑茶として明前茶の10分の1以下で売られます。

産地による違い

明前・雨前(うぜん)の区分は江南の緑茶産地で意味を持ちます。雲南や海南では2月から茶摘みが始まり、四川(しせん)や浙江南部は2月下旬から3月上旬、西湖龍井や洞庭碧螺春、安吉白茶(あんきつはくちゃ)は3月中旬から下旬に始まって清明に向けて盛りを迎えます。一方、安徽(あんき)太平猴魁(たいへいこうかい)六安瓜片(ろくあんかへん)は穀雨のころが本番で、明前という基準は当てはまりません。烏龍茶や普洱茶(ぷーあるちゃ)では春茶・秋茶という区分のほうが使われます。

変わってきた意味

杭州(こうしゅう)では近年、雨前という言葉はほとんど使われなくなり、清明を過ぎた茶は「明後」と呼ばれます。穀雨は製茶の終わりの時期という位置づけで、雨前をありがたがる人はいません。背景には、龍井43や烏牛早のような早生品種の普及があります。在来種の茶摘みが3月末に始まるのに対し、早生品種は1週間から10日早く、明前茶の多くは早生品種の茶になりました。清明前でも、暖かい年には芽が伸びきった茶が明前として売られることもあり、時期の名前だけで品質を判断するのは難しくなっています。

目安として

明前は「良い茶の条件のひとつ」であって保証ではありません。品種、産地、天候、そして実際の芽の大きさと味を見ることが大切です。

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