等級・格付け
- 一芽二葉いちがにょう — 茶を摘むときの基準で、枝の先端の芽とその下の二枚の葉をひと組で摘むことを言い、一芯二葉とも書く。緑茶・紅茶・普洱茶の標準的な摘み方で、芽だけや一芽三葉など摘む位置で茶の性格が変わり、烏龍茶は葉が成熟してから三〜四葉で摘む。
- 古樹茶こじゅちゃ — 雲南で、樹齢の高い茶樹から作った茶の呼び名で、普洱茶や白茶・紅茶の名前によく付く。何年以上という公的な基準はなく、根が深く味に厚みと余韻があるとして台地茶より高値で取引されるが、名前だけでは信じられない。
- 山場さんじょう — 茶樹が育った具体的な場所と、その土壌や微気候をまとめて指す言葉で、ワインの畑に近い概念。武夷岩茶では岩場の名で、鳳凰単叢では村の名と低山・中山・高山の標高区分で語られ、同じ品種・同じ製法でも山場が違えば別の茶として値段が変わる。
- 春茶と秋茶しゅんちゃとしゅうちゃ — 茶を摘んだ季節による区分で、春茶、夏茶、秋茶、冬茶と呼び分け、芽の成分と気候の違いで性格と値段が変わる。冬に養分を蓄えた春茶は味が厚く緑茶や普洱茶で最上とされ、夏茶は渋く、秋茶は香りが高い。台湾の高山茶では春と冬が二大シーズン。
- 正岩せいがん — 武夷岩茶を産地で格付けする慣用の呼び方の最上位で、武夷山の景区内の岩山の中心部で育った茶。礫の多い土壌が岩韻を生むとされ、半岩、洲茶、外山と下位が続く。現行の国家標準は区分を設けず公式な等級ではないため、表示は売り手の説明に頼る。
- 雪片せっぺん — 鳳凰単叢の冬茶で、立冬前後の秋の終わりから初冬に摘む、産地で一年の最後の一季と言われる茶。寒さの中でゆっくり育つため一年で最も香りが高く渋みが少ないが、春茶より軽く煎持ちも及ばない。手ごろなことが多く、鳳凰単叢の入口になりやすい。
- 台地茶だいちちゃ — 雲南で、山の斜面を段々畑状に整えた茶園に密植し、低く刈り込んだ茶樹から作る茶の呼び名。1980年代以降に広がり、収量が多く雲南の茶の大半を占める。古樹茶と対比して安価な茶の代名詞にされるが、熟茶の原料や名品のブレンドも多くは台地茶。
- 単株・老欉たんかぶ・ろうそう — 一本の木だけから摘んで作った茶が単株、樹齢の高い木から作った茶が老欉で、鳳凰単叢と武夷岩茶の水仙で使う言葉。木の個性と樹齢が味を決めるという考えで、量が少なく余韻が深いとして高く取引されるが、何年から老欉かの基準はない。
- 茶頭・二米ちゃとう・にべい — 鳳凰単叢の仕上げの選別で製品から外された茶で、茎や割れた葉の混ざる茶頭と、機械で弾かれた大きな葉が主体の二米がある。安いので潮州の食堂や家庭の日常茶として大量に飲まれ、茎が甘く長く蒸らしても渋みが出にくいため冷茶にも向く。
- 特級とっきゅう — 中国茶の等級表示で最上位によく使われる呼び方で、国家標準は多くの茶で特級・一級・二級と等級を定める。等級は原料の若さと見た目の区分で、産地や味の良し悪しを保証しない。市場の特級表示には規定の裏付けがないことも多い。
- 年份ねんふん — 茶が作られた年のことで、ワインのヴィンテージに当たり、普洱茶や黒茶、白茶では何年ものかが値段と味の第一の目安。証明する手段は包装と売り手の言葉しかなく実際より古く表示された茶が多い。緑茶や清香型の烏龍茶では逆に新しいほどよい。
- 明前めいぜん — 二十四節気の清明より前に摘んだ茶で、江南の緑茶ではいつ摘んだかが品質と価格を決める最も大きな要素。早い芽ほど小さく柔らかくアミノ酸が多いとされるが、早生品種の普及で時期の意味は変わり、明前は保証ではなく条件のひとつ。
- 野生茶やせいちゃ — 人が植えたのではなく、雲南などの山に自生する大茶樹から摘んだ茶で、栽培種と種が違うものも含む。肥料なしでゆっくり育ち、味は軽やかで甘く独特の香りがある。放棄された茶園の茶を野放茶と呼んで区別することもあり、野生の名は濫用されやすい。