淹れ方
- 温杯おんぱい — 茶を淹れる前に蓋碗や茶壺、茶海、茶杯に湯を通して温めることで、工夫茶の最初の所作。器の温度が下がらないので抽出の温度が安定し、温まった蓋碗に乾いた茶葉を入れて香りを嗅ぐ所作にもつながる。壺なら温壺、まとめて温杯燙壺とも言う。
- 乾泡と湿泡かんほうとしっぽう — 茶を淹れるときの卓の作り方の二通りで、湯を流せる茶盤の上で淹れる湿泡と、茶盤を使わず卓を乾いたまま保つ乾泡。湿泡は潮州工夫茶以来の形で壺の温度を保ちやすく、乾泡は1980年代の台湾で広まり、茶席を布や花で整える流れを生んだ。
- 高冲低斟こうちゅうていしん — 湯は高い位置から勢いよく注ぎ、茶は低い位置から静かに杯へ注ぐという、潮州に由来する工夫茶の注ぎ方の原則。高く注ぐと葉が回って香りが立ち、低く注ぐと香りと温度が逃げない。均等に注ぐ関公巡城と最後の一滴を分ける韓信点兵の所作が続く。
- 工夫茶こうふちゃ — 広東省潮州で体系化された、小さな茶壺や蓋碗に茶葉を多めに入れ、沸騰した湯で短く抽出して何煎も飲む淹れ方。器と葉をよく温めて高温で淹れるのが核心で、製法の名前である工夫紅茶とは別の概念。
- 煮茶しゃちゃ — 茶葉を湯で煮出して飲む淹れ方で、唐代の陸羽が『茶経』に記した中国茶で最も古い飲み方。いまは黒茶や数年寝かせた白茶、普洱熟茶を煮る習慣が広まり、短い抽出では出ない多糖類が溶けて甘くとろりとする。渋い緑茶や清香型の烏龍茶は向かない。
- 上投法じょうとうほう — 緑茶をガラスのコップなどで淹れるとき、湯を先に注いでから茶葉を入れる方法で、産毛の多い繊細な芽の茶に向く。湯を半分注いで葉を入れる中投法、葉を先に入れる下投法と使い分け、明代の『茶録』に季節ごとの使い分けが記されている。
- 洗茶せんちゃ — 茶葉に湯を注いで数秒から十数秒ですぐに捨てる手順で、中国語では潤茶や醒茶とも呼ぶ。名前は洗うだが目的は汚れ落としではなく、葉を温めて開かせ1煎目から香りを出すこと。球状の烏龍茶や緊圧茶で行い、緑茶や芽だけの茶では行わない。
- 煎と出湯せんとしゅっとう — 蓋碗や茶壺で淹れた茶を杯や茶海に注ぎ出すことを出湯と言い、一回の抽出を一泡、日本語では一煎と数える。工夫茶では最後の一滴まで注ぎ切って葉を湯に残さず、煎ごとに時間を変えて味の変化を楽しむ。わざと葉を浸けたまま濃く出すことは坐杯と言う。
- 投茶法(上投・中投・下投)とうちゃほう — ガラスのコップや茶碗で緑茶を淹れるとき、茶葉と湯をどの順で入れるかを上投・中投・下投に分けた区分。湯を先に注ぐ上投は産毛の多い繊細な芽の茶、茶葉を先に入れる下投は大きく硬い葉に向き、中投はその中間で最も汎用的。明代の『茶録』に由来。
- 留根りゅうこん — ガラスのコップなどで注ぎ出さずに飲むとき、茶を飲み切らずに三分の一ほど残して湯を足す飲み方。残した茶が次の湯と混ざって濃さをつなぎ、次の杯が急に薄くなるのを防ぐ。杭州や成都の茶館で緑茶を一日中飲むときの日常的な作法。
- 冷泡れいほう — 茶葉を常温か冷たい水に浸け、冷蔵庫で数時間かけて抽出する淹れ方で、日本語の水出しに当たる。低温では渋み成分が出にくく甘みと香りが前に出るため、清香型の烏龍茶や白茶、紅玉紅茶などに向き、台湾ではペットボトルにもなるほど日常的。