中国茶辞典中国茶・台湾茶の用語とコラム

洗茶(せんちゃ)

読み せんちゃ現地音 シーチャ拼音 xǐchá別名 潤茶、润茶、温潤泡、醒茶、rinse

茶葉に湯を注いですぐに捨てる手順。名前は「洗う」だが、実際の目的は葉を温めて開かせ、香りを立たせること。球状の烏龍茶や緊圧茶で行い、繊細な緑茶や白毫銀針では行わない。

茶葉に湯を注いで、数秒から十数秒ですぐに捨てる手順です。中国語では洗茶のほか潤茶(じゅんちゃ)温潤泡(おんじゅんほう)醒茶(せいちゃ)などとも呼ばれ、日本語では「茶葉を洗う」と説明されることが多いですが、汚れを落とすことが本来の目的ではありません。

何のためにするのか

洗茶の目的は主に三つです。

  1. 葉を開かせる鉄観音(てっかんのん)や台湾の高山烏龍茶のように固く丸めた茶、餅茶(へいちゃ)磚茶(せんちゃ)のように固めた茶は、湯を一度通すことで葉がほぐれ、1煎目から味が出やすくなります。
  2. 葉の温度を上げる。沸騰した湯でも、器や茶葉に触れると温度が大きく下がります。あらかじめ葉を温めておくと、1煎目を高温で淹れられ、香りが立ちます。
  3. 短時間の抽出に備える工夫茶(こうふちゃ)のように高温で短く何煎も淹れる方法では、洗茶がその下準備になります。

「洗う」という字から、農薬やほこりを落とすためだと説明されることがありますが、農薬の残留は葉の内部にあるため湯を通しても落ちません。この点は中国の茶業関係者も繰り返し否定しています。

呼び分け

中国では、目的によって言葉を使い分ける傾向があります。

呼び方ニュアンス
洗茶昔からの言い方。「洗う」の語感が誤解を招くとして避ける人もいる
潤茶・温潤泡葉を湿らせて開かせる、という本来の目的に即した言い方
醒茶長く保存した茶を「目覚めさせる」。淹れる前に袋から出して空気に触れさせることも含む

する茶、しない茶

洗茶をすることが多い洗茶をしないのが普通
球状の烏龍茶(鉄観音、凍頂烏龍、高山茶(こうざんちゃ))緑茶全般(龍井、碧螺春(へきらしゅん)など)
緊圧茶(きんあつちゃ)(普洱(ぷーある)の餅茶・沱茶(だちゃ)、磚茶)芽だけの茶(白毫銀針、金駿眉(きんしゅんび))
焙煎の強い岩茶(がんちゃ)、老茶香りの繊細な清香型(せいこうがた)を香りを逃したくないとき

細かく柔らかい葉の茶は成分が早く出るため、洗茶をすると最も美味しい1煎目を捨てることになります。逆に固く締まった茶や古い茶では、洗茶をしないと1煎目が薄くなります。

白茶での応用

白茶は加熱工程がなく酵素が生きているため、淹れ方で香りが変わります。沸騰した湯で短く2回ほど洗茶すると酵素が止まり、柑橘や花のような香りになる、という観察があります。洗茶を「するかしないか」だけでなく、味を設計する手段として使う例です。

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