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大紅袍(だいこうほう)

読み だいこうほう現地音 ダーホンパオ拼音 Dàhóngpáo中国語 大红袍別名 Da Hong Pao、Big Red Robe、純種大紅袍、商品大紅袍、母樹大紅袍、奇丹

武夷岩茶を代表する銘柄。九龍窠の岩壁に残る母樹の伝説で知られ、現在流通するものは母樹由来の品種を単一で仕上げた「純種」か、複数品種をブレンドした「商品大紅袍」で、市場の大半は後者。

分類青茶(烏龍茶) / 武夷岩茶
産地武夷山
品種奇丹(きたん)水仙(すいせん)肉桂(にっけい)
製法萎凋(いちょう)做青(さくせい)殺青(さっせい)揉捻(じゅうねん)焙火(ばいか)
外観条索状(よじれた棒状)で太く、褐色から黒褐色に艶がある
水色橙黄色から橙紅色
香り焙煎の甘い香りの奥に花や熟した果実の香り
厚みがあり、焙火の甘さと岩韻と呼ばれる長い余韻

武夷山(ぶいさん)岩茶(がんちゃ)の中で最も名の知れた銘柄で、武夷岩茶全体の看板でもあります。景区の九龍窠(きゅうりゅうか)という岩壁に生える母樹(ぼじゅ)から名前が始まり、「皇帝(または科挙の受験生)の病を治した礼に赤い袍をかけた」という伝説が名前の由来として語られます。史料上の裏付けはなく、伝承として受け取るのがよいです。

母樹

九龍窠の岩壁には現在6株の母樹があり、樹齢は350年ほどとされます。もともとは3株で、1980年に福建省の茶葉研究所(ちゃようけんきゅうじょ)が挿し木で増やした株を加えて6株になりました。保護のため2006年5月以降は摘採されておらず、2005年の最後の摘採で採れた茶はわずか915グラムだったと記録されています。つまり母樹の茶が市場に出回ることはありません。

6株の内訳は単一の品種ではなく、奇丹(きたん)雀舌(じゃくぜつ)という二つの品種と、品種化されていない株の混植です。2009年の遺伝学的な分析で奇丹が母樹の一部と同一であることが確かめられ、2012年に福建省が奇丹を「大紅袍」という名の省級品種として認定しました。

純種(じゅんしゅ)と商品

このため、現在「大紅袍」として売られている茶は二種類あります。

呼び方中身
純種大紅袍奇丹(=大紅袍品種)だけで作った茶
商品大紅袍(拼配大紅袍)水仙(すいせん)肉桂(にっけい)などを組み合わせて大紅袍らしい味に仕上げたブレンド

母樹自体が複数品種の混植なので、単一品種では母樹の味を再現できない、という理由でブレンドも正当な作り方とされています。市場に出回る大紅袍の大半はブレンドで、各メーカーの配合によって味が違うため「大紅袍とはこういう味」と一概に言えないのが実情です。生産量の確保という点でもブレンドが主流です。

製法と味

伝統的な武夷岩茶(ぶいがんちゃ)の製法は2006年に中国の第一批国家級無形文化遺産に登録されており、摘採から做青、炒青(しょうせい)、揉捻、初焙(しょばい)復焙(ふくばい)炖火(とんか)まで20近い工程を経ます。做青(さくせい)で酸化をしっかり進め、焙火(ばいか)を何度も重ねる作り方で、焙煎の甘さの奥から花や果実の香りが立ち、岩韻(がんいん)と呼ばれる厚みと長い余韻が出ます。

ただし近年は軽い焙煎で仕上げる岩茶が増えており、伝統的な足火(そくか)の大紅袍とは性格が違います。焙煎直後は火の香りが強いため、数か月置いてから飲むのが一般的です。

選ぶときの目安

  • 「純種」「奇丹」と書かれていれば単一品種、書かれていなければブレンドと考えて差し支えありません。
  • 正岩(せいがん)の表示は価格を大きく左右しますが、慣用的な区分で検証は難しいため、表示より味で判断するほうが現実的です。
  • 焙煎の強さ(軽火(けいか)・中火・足火)で香りの方向が変わるので、好みの焙煎を覚えておくと選びやすくなります。

大紅袍の淹れ方

沸騰したての湯で淹れる人がほとんどです。蓋碗か小さめの茶壺に茶葉を多めに入れ、1煎目は短く(10秒前後)注ぎ出し、煎を重ねるごとに少しずつ長くしていきます。6〜8煎は楽しめます。焙火の強いものは1煎目を捨てる洗茶をする人もいますが、香りを逃したくないので洗茶しないという人も多いです。買ってすぐは火の香りが立つので、数か月置いてから飲むのがよいとされます。

淹れ方はひとつではありません。ここでは多くの人がどう淹れているかを書いています。

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