中国茶辞典中国茶・台湾茶の用語とコラム

肉桂(にっけい)

読み にっけい現地音 ロウグイ拼音 ròuguì別名 武夷肉桂、玉桂、桂皮香、牛肉、馬肉、安渓肉桂

武夷山原産の茶樹品種。1985年に福建省の省級良種に認定され、シナモン(肉桂)を思わせる辛みのある香り「桂皮香」が特徴。水仙と並ぶ武夷岩茶の二大品種で、牛欄坑産は「牛肉」と略称されて高値がつく。

武夷山(ぶいさん)原産の茶樹品種で、原産地は馬枕峰(ばちんほう)とも慧苑坑(けいえんこう)(慧苑岩)とも言われます。栽培の歴史は100年余りとされ、1985年に福建省の農作物品種審定委員会が省級良種に認定しました。1980年代以降、武夷山で急速に栽培が広がり、いまでは水仙(すいせん)と並んで武夷岩茶(ぶいがんちゃ)の栽培面積の大半を占める品種になっています。

名前と香り

肉桂はシナモンやニッキの原料になるクスノキ科の植物の名前で、この品種で作った茶に桂皮(シナモンの樹皮)のような辛みのある香りがすることから名付けられました。この香りを桂皮香(けいひこう)と呼び、肉桂の品種特徴として国家標準の烏龍茶の製品区分(GB/T 30357)にも品種名で立てられています。

「香りは肉桂、味は水仙」と対比されるように、肉桂は香りが立ちやすく華やかな品種です。芽が出るのが他の品種より遅く、成長が遅いぶん後味が濃く余韻が長い、という観察もあります。

牛肉・馬肉

武夷山では、正岩(せいがん)の中でも特定の岩場で作られた肉桂に、場所の名前をつけて呼ぶ習慣があります。牛欄坑(ぎゅうらんこう)の肉桂は「牛肉」、馬頭岩(ばとうがん)なら「馬肉」、九龍窠(きゅうりゅうか)なら「龍肉」という具合で、愛好家がこれらを集めて飲み比べる「全肉宴(ぜんにくえん)」まで行われています。牛欄坑の肉桂は現地でも500gあたり数万円を超える値がつきますが、それが本当にその場所の茶かどうかは売り手の説明を信じるしかない、という実情もあります。

製法との関係

肉桂は做青で酸化をしっかり進め、焙火(ばいか)を中火から足火(そくか)でかける伝統的な作り方で、桂皮香に果実や蜜の香りが重なります。焙煎が軽いと青い香りが残りやすく、強すぎると品種の個性が消えるため、焙煎の加減が肉桂の出来を大きく左右します。

武夷山以外の肉桂

品種としての肉桂は福建省内外に移植されており、安渓では鉄観音の産地でありながら肉桂を烏龍茶に仕立てる例もあります。武夷山の岩茶(がんちゃ)とは土壌も製法も違うため、同じ品種でも岩韻はなく、別の性格の茶になります。

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