中国茶辞典中国茶・台湾茶の用語とコラム

岩韻(がんいん)

読み がんいん現地音 イェンユン拼音 yányùn中国語 岩韵別名 岩韵、岩骨花香、岩の余韻

武夷岩茶に特有とされる風味と余韻。国家標準では武夷岩茶を「岩韻(岩骨花香)の品質特徴を持つ烏龍茶」と定義しており、岩茶の品質を語るときの中心にある言葉。

武夷山(ぶいさん)岩茶(がんちゃ)を評価するときに必ず出てくる言葉で、「岩骨花香(がんこつかこう)」(岩の骨格と花の香り)とも言い換えられます。国家標準の武夷岩茶(ぶいがんちゃ)の定義(GB/T 18745)は、武夷山市の自然環境で適した品種を栽培し、伝統的な製法で作られ、岩韻の品質特徴を持つ烏龍茶、というもので、岩韻はいわば岩茶の定義の一部になっています。

何を指しているのか

何を岩韻と呼ぶかは人によって説明が異なります。武夷山国家公園の解説では、独特の自然生態環境、適した品種、栽培技術、伝統的な製法が総合的に生み出す香りと味、とされています。具体的には次のような要素がまとめて語られます。

  • 口に含んだときのミネラル感や厚み。「岩骨」はこの骨格のことです
  • 花のような香りが焙煎の香りの奥から立ち上がること。「花香」の部分です
  • 飲み込んだあと喉に長く残る喉韻(こういん)と、戻ってくる回甘(かいかん)

つまり岩韻は単一の味ではなく、岩茶らしさの総体を指す言葉と考えたほうが実態に近いです。

岩と土壌

武夷山は丹霞地形と呼ばれる赤い岩山で、茶樹は岩が風化してできた礫の多い土壌に根を張っています。唐の陸羽(りくう)が『茶経(ちゃきょう)』で茶の育つ最上の土を「爛石(らんせき)」(風化した岩)と書いたことが、岩韻の説明でよく引かれます。風化しつつある岩から新しいミネラルが供給され続けることが岩茶の厚みにつながる、という説明です。

格付けとの結びつき

岩韻は産地の格付けと強く結びついています。景区内の岩山の中心部で育った正岩(せいがん)の茶ほど岩韻が強いとされ、その中でも牛欄坑(ぎゅうらんこう)馬頭岩(ばとうがん)のような特定の岩場の肉桂(にっけい)は「牛肉」「馬肉」と呼ばれて高値で取引されます。ただし、それが本当にその場所の茶かどうかは売り手の説明を信じるしかない、という実情もあります。

製法との関係

岩韻は土地だけで決まるものではなく、做青(さくせい)で酸化をしっかり進め、焙火(ばいか)を丁寧に重ねる伝統的な製法があってはじめて現れる、とされます。焙煎を軽く仕上げた近年の岩茶では岩韻が出にくい、という指摘もあります。

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