中国茶辞典中国茶・台湾茶の用語とコラム

武夷肉桂(ぶいにっけい)

読み ぶいにっけい現地音 ウーイーロウグイ拼音 Wǔyí ròuguì別名 肉桂、岩茶肉桂、牛肉、馬肉、牛欄坑肉桂、馬頭岩肉桂、Wuyi Rou Gui

武夷岩茶のうち肉桂品種で作ったもの。シナモンのような辛みのある香り「桂皮香」が特徴で、水仙と並ぶ武夷岩茶の二大品種。牛欄坑産は「牛肉」、馬頭岩産は「馬肉」と略称され、正岩の岩場ごとに最も高値で取引される岩茶。

分類青茶(烏龍茶) / 武夷岩茶
産地武夷山
品種肉桂(にっけい)
製法萎凋(いちょう)做青(さくせい)殺青(さっせい)揉捻(じゅうねん)焙火(ばいか)
外観締まった条索状で、褐色に艶。砂緑や赤い点が見えるものが伝統的な仕上がり
水色橙黄色で明るい
香りシナモンを思わせる辛みのある香り(桂皮香)に、果実や蜜の香り
厚みがあり刺激的で、甘い余韻が長い。岩韻がはっきり出る

武夷山(ぶいさん)岩茶(がんちゃ)のうち、肉桂(にっけい)品種の葉で作ったものです。肉桂はシナモンの原料になる植物の名前で、この茶の香りがシナモンの樹皮(桂皮)を思わせることから名付けられました。1980年代以降に栽培が急速に広がり、いまでは水仙と並んで武夷山の栽培面積の大半を占め、岩茶の中で最も人気のある銘柄です。

桂皮香(けいひこう)

肉桂の最大の特徴は、辛みを帯びたシナモンのような香りで、これを桂皮香と呼びます。そこに焙煎で育った果実や蜜の香りが重なり、味は厚みがあって刺激的、飲み込んだあとに甘い余韻が長く続きます。「香りは肉桂、味は水仙」と対比され、香りの分かりやすさで岩茶の入門にも選ばれます。岩韻(がんいん)がはっきり出る品種とされ、正岩の肉桂は岩茶の評価の物差しのように扱われます。

牛肉・馬肉

武夷山では、正岩(せいがん)の中でも特定の岩場で作られた肉桂に場所の名前をつけて呼びます。牛欄坑(ぎゅうらんこう)の肉桂は「牛肉」、馬頭岩(ばとうがん)なら「馬肉」、九龍窠(きゅうりゅうか)なら「龍肉」という具合で、愛好家がこれらを集めて飲み比べる「全肉宴(ぜんにくえん)」まで行われています。牛欄坑の肉桂は現地でも500グラムあたり数万円を超える値がつきますが、それが本当にその岩場の茶かどうかは売り手の説明を信じるしかない、という実情もあります。

製法

武夷岩茶(ぶいがんちゃ)の伝統製法で、做青で酸化をしっかり進め、焙火(ばいか)を中火から足火(そくか)でかけるのが基本です。焙煎が軽いと青い香りが残って保存中に青臭さが戻る返青(へんせい)が起きやすく、強すぎると桂皮香が消えて焦げ臭が勝つため、焙煎の加減が肉桂の出来を大きく左右します。近年は軽い焙煎で香りを立たせた肉桂も多く、伝統的な足火の肉桂とは性格が違います。

楽しみ方

沸騰した湯で蓋碗に多めの茶葉を入れて短く淹れ、蓋の裏に残る香りを嗅ぐのが岩茶の定番の楽しみ方です。焙煎直後は火の香りが強いので、数か月置いて落ち着かせてから飲むのが普通です。

武夷肉桂の淹れ方

沸騰したての湯で、蓋碗に茶葉を多めに入れて短く淹れるのが定番です。1煎目は10秒前後、2煎目以降も短く切ってから徐々に延ばし、7〜8煎楽しめます。香りが立ちやすいので蓋の裏の香りを嗅ぐのも楽しみ方のひとつで、洗茶は好みです。足火のものは数か月置いて火の香りを落ち着かせてから飲みます。

淹れ方はひとつではありません。ここでは多くの人がどう淹れているかを書いています。

関連用語

参考リンク