中国茶辞典中国茶・台湾茶の用語とコラム

奇丹(きたん)

読み きたん現地音 チーダン拼音 qídān別名 純種大紅袍、大紅袍(品種)、北斗

武夷山の茶樹品種で、大紅袍の母樹の一部と遺伝的に同一であることが確かめられ、2012年に福建省が「大紅袍」という名の省級品種として認定した。この品種だけで作った茶を純種大紅袍と呼ぶ。

武夷山(ぶいさん)の茶樹品種で、九龍窠(きゅうりゅうか)の岩壁に残る大紅袍(だいこうほう)母樹(ぼじゅ)と同じ品種とされるものです。武夷山の岩茶(がんちゃ)は品種ごとに名前がつく「名叢(めいそう)」の文化があり、奇丹はその一つとして古くから知られていましたが、母樹との関係が科学的に確かめられたのは近年のことです。

母樹との関係

九龍窠の母樹6株は単一の品種ではなく、奇丹、雀舌(じゃくぜつ)という二つの品種と品種化されていない株の混植です。2009年に福建農林大学が6株と武夷山で栽培されている奇丹、北斗(ほくと)などの遺伝的な比較を行い、奇丹が母樹の2号株・6号株と同一(異名同種)であると確認しました。これを受けて2012年、福建省の茶樹良種審定で奇丹が「大紅袍」という名の省級品種として認定されました。つまり品種としての「大紅袍」の正体は奇丹です。

純種大紅袍

奇丹だけで作った岩茶を純種大紅袍と呼び、複数の品種をブレンドした商品大紅袍と区別します。奇丹は香りが穏やかで味に丸みがある品種とされ、単一品種の純種大紅袍と、水仙(すいせん)肉桂(にっけい)などを配合した商品大紅袍とでは性格が違います。母樹自体が複数品種の混植なので、単一品種では母樹の味を再現できない、という理由でブレンドも正当とされ、市場の大半は商品大紅袍です。

北斗との混同

1980年代に母樹から挿し木で増やしたとされる「北斗」という品種があり、これが純種大紅袍だという説も長く流布していました。遺伝的な分析の結果、母樹と同一なのは奇丹で、北斗は別の品種であることが分かっています。「純種大紅袍」と書かれた茶を見たときは、奇丹なのか北斗なのかを確かめると確実です。

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