品種
- 雲南大葉種うんなんだいようしゅ — 雲南省の茶区に分布する喬木型・小喬木型で葉の大きな茶樹品種の総称で、普洱茶の原料。単一の品種ではなく国家級良種と各地の在来集団を含む呼び名で、国家標準が普洱茶の原料と定める。ポリフェノールが多く、力強い味と長い余韻が熟成や渥堆に向く。
- 黄金桂おうごんけい — 福建省安渓の虎邱鎮原産の茶樹品種で、品種名は黄旦、この品種で作った烏龍茶の名が黄金桂。鉄観音より芽が早く香りが高い早生種で、金木犀を思わせる華やかな香りの軽やかな烏龍茶になる。
- 奇丹きたん — 武夷山の茶樹品種で、大紅袍の母樹の一部と遺伝的に同一であることが近年確かめられ、品種名「大紅袍」として認定された。この品種だけで作った岩茶を純種大紅袍と呼び、複数の品種を配合した商品大紅袍と区別する。
- 金萱きんせん — 台湾の茶業改良場が育成し1981年に命名した茶樹品種で、正式名は台茶12号、収量が多く育てやすい中生種。ミルクや奶糖にたとえられる品種由来の乳香が特徴で、金萱茶の名で高山茶や凍頂烏龍の一種として広く飲まれる。
- 色種(毛蟹・本山・梅占)しきしゅ — 安渓で、鉄観音以外の品種で作った烏龍茶をまとめて呼ぶ名前で、いまは複数の在来品種を混ぜて作る安渓の烏龍茶を指す。鉄観音より安く作れるため産地では最も日常的な烏龍茶で、日本でも焙煎したものが普段飲みの烏龍茶として売られる。
- 四季春しきしゅん — 台湾の木柵の茶園で自然交雑の実生から偶然見つかった、早生で年に何度も摘める茶樹品種。収量が多いため南投県名間郷を中心に広まり、花のような香りの軽い烏龍茶になる。流通品やドリンクスタンドの茶に広く使われる日常茶。
- 紫娟しけん — 雲南省農業科学院茶葉研究所が雲南大葉種の茶園で見つけた紫色の一株から育成した茶樹品種。芽・葉・茎がすべて紫でアントシアニンを多く含み、緑茶や生茶に仕立てると水色まで紫がかる。渋みが強く珍しさで知られ、雲南に古くからある在来の紫芽とは別物。
- 柿大茶しだいちゃ — 安徽省黄山区の新明一帯に伝わる在来の茶樹品種で、葉が柿の葉のように大きく厚く、緑茶の太平猴魁の原料。摘んでから硬くなるまでが長いので、大きな一芽二葉を平たく伸ばす猴魁の姿が作れ、他の品種では葉が小さく硬くなる。
- 翠玉すいぎょく — 台湾の茶業改良場が育成した灌木型小葉種の茶樹品種で、正式名は台茶13号、金萱と同時に命名された。蘭や野生の生姜の花にたとえられる花の香りが特徴で、清香型の球状烏龍茶や包種茶に仕立てて翠玉茶の名で売られる。
- 水仙すいせん — 福建省北部の建陽が原産とされる小喬木型の晩生の茶樹品種で、武夷岩茶の主力品種のひとつ。品種名がそのまま烏龍茶の名にもなり、産地と焙煎の程度で性格が大きく違う。味に厚みがあり、樹齢の高い木から作る老欉水仙が高く評価される。
- 青心烏龍せいしんうーろん — 台湾で最も広く栽培される茶樹品種で、福建の矮脚烏龍に由来し、単に青心や種仔とも呼ばれる。芽の出る遅い晩生種で栽培は難しいが製茶の品質が高く、凍頂烏龍茶をはじめ台湾の主要な烏龍茶の主力品種。
- 青心大冇せいしんだいむ — 台湾北部で古くから栽培される茶樹品種で、日本統治期に四大品種のひとつとして普及した。芽が太く産毛が多く、夏にウンカの吸汁を受けた芽葉で作る東方美人茶の主力品種で、白い芽が残る白毫烏龍の名の由来にもなる。
- 政和大白茶せいわだいはくちゃ — 福建省北部、政和県の鉄山郷が原産の茶樹品種で、政和白茶の主な原料になる国家級良種。福鼎大白茶より芽が出るのが遅い晩生種で、小喬木型の大葉種。室内萎凋を長く行う政和の伝統もあって、福鼎産の白茶よりやや濃く落ち着いた性格になると言われる。
- 鉄観音(品種)てっかんのん — 福建省安渓原産の茶樹品種で、茶名の鉄観音はこの品種の葉を鉄観音の製法で仕上げたものだけを指す。葉が厚く新芽が紫がかり、蘭の香りのもとになる成分を多く含むが、育てにくく収量が少ない。台湾では正欉鉄観音の名で他品種の茶と区別する。
- 肉桂にっけい — 武夷山原産の茶樹品種で、桂皮香と呼ぶシナモンを思わせる辛みのある香りが特徴で、水仙と並ぶ武夷岩茶の二大品種。焙煎の加減が出来を左右し、特定の岩場の名前で呼び分けて牛肉・馬肉のような略称で高値がつく。
- 白葉1号はくよう・いちごう — 安吉白茶の原料になる茶樹品種で、春の低温で新芽の葉緑素が減って白くなる温度に敏感な白化品種。葉緑素が少ないぶんアミノ酸が多くうまみが強く、浙江省安吉県で見つかった一本の古木から挿し木で増やされた。
- 福鼎大毫茶ふくていだいごうちゃ — 福鼎の点頭鎮汪家洋村が原産の茶樹品種で、1980年代半ばに国家級良種に認定され華茶2号の番号を持つ。福鼎大白茶に似るが大葉種で芽がさらに太く産毛が多く収量も多いため、いまの福鼎の白茶園では割合が高く、市場の白毫銀針の多くを占める。
- 福鼎大白茶ふくていだいはくちゃ — 福鼎の点頭鎮が原産の茶樹品種で、1980年代半ばに最初に認定された国家級良種の第1号、華茶1号。芽が太く白い産毛が非常に多く、白毫銀針や白牡丹の原料品種で、ジャスミン茶の原料緑茶にも使われる。
- 佛手(品種)ぶっしゅ — 福建省永春県を原産とする烏龍茶用の茶樹品種で、大きく丸い葉が仏手柑の実に似ることから名付けられた。これで作る烏龍茶は柑橘の香櫞を思わせる香りと厚い味が特徴で、永春佛手の名で知られる。葉が大きく焙煎に耐えるので濃香型に向く。
- 鳳凰水仙ほうおうすいせん — 広東の鳳凰山に古くからある在来の茶樹品種群で、小喬木型の大葉種、鳳凰単叢の母体になった。実生の集団で株ごとに香りが違い、優れた株を選んで別々に仕上げたのが単叢で、挿し木で増やして香型ごとの品系になった。福建の水仙とは別系統。
- 名叢めいそう — 武夷山で、実生の茶樹から香りや味に特徴のある一株を選んで名前を付け、挿し木で増やした茶樹の系統。大紅袍など四大名叢が知られ、歴史的に数百の系統があるが、名前が同じでも株の由来が確かとは限らない。
- 龍井群体種ろんじんぐんたいしゅ — 杭州西湖の龍井産地に古くからある、種から育った実生の茶樹の集団をまとめて呼ぶ在来種の総称。株ごとに性質がばらつき芽の出方も不ぞろいだが、味の厚みと余韻で評価され、主力品種の龍井43はここから選抜された。
- 龍井43ろんじんよんじゅうさん — 中国農業科学院茶叶研究所が在来の龍井群体種から一株を選んで育成した、龍井茶の主力の早生品種。在来種より7〜10日早くそろって芽が出るため明前茶の主力になり、平たく滑らかで形のそろった扁形の緑茶に向く。