その他
- ウンカうんか — 茶園でよく見られる代表的な害虫で、若い芽の汁を吸う淡い緑色のヨコバイの仲間の小さな虫。正確には小緑葉蝉だが日本と台湾の茶業ではこう呼び、吸われた茶樹が防御反応で作る成分が蜜香のもとになる。東方美人や蜜香紅茶はこの虫なしには作れない。
- カフェインかふぇいん — 茶に含まれる覚醒作用のある成分で、乾燥した茶葉の2〜4パーセントを占め、若い芽ほど多く成熟した葉や茎には少ない。量は茶の種類より原料の若さと淹れ方で決まり、洗茶で抜けるという説は効果が限られる。
- 叩手礼こうしゅれい — 茶を注いでもらったとき、指先で卓を軽く叩いて礼を返す、広東の飲茶や工夫茶の席から広まった作法。伝承では、乾隆帝に茶を注がれた従者が身分を隠すため指で叩頭したのが由来とされ、人差し指と中指で二、三回叩くのが最も普通。
- 黄片こうへん — 大きく育って硬くなり、揉捻しても細い条にならず、仕上げの選別で製品から外された成熟した葉。外観の規格に合わないだけで味は悪くなく、普洱茶では苦渋みが少なく甘く煎持ちがよい老黄片として好んで飲む人がいる。
- 口糧茶こうりょうちゃ — 中国の愛好家が、主食の米のように毎日飲む、値段が手ごろで質の安定した普段飲みの茶を指して使う言葉。有名産地の高価な茶と区別し、名前や等級より飽きずに飲めて財布に優しいことを基準にする、茶選びの現実的な物差し。
- 山頭さんとう — 雲南の普洱茶で、茶を作った山や村を指す言葉で、ワインの畑名のように山頭の名前で味と値段が語られる。清代からの古六大茶山と新中国以後の新六大茶山があり、人気の山頭は需要が生産量を超えるため周辺の茶が名前を借りて売られる。
- 四大茶区しだいちゃく — 中国の茶産地を気候・栽培の歴史・茶樹の型・主な茶類で江北・江南・華南・西南の四つに分けた区分。製法で分ける六大茶類に対し土地による分類で、省の境とは一致しない。同じ茶区の産地は気候や品種が似ており、知らない産地の見当をつける手がかりになる。
- 十大名茶じゅうだいめいちゃ — 中国の有名な茶を10種選んで並べた呼び名で、国や業界団体が定めた公式の一覧はない。緑茶を中心によく引かれる組み合わせはあるが、時代や媒体で顔ぶれが入れ替わる。史料で確かめられる公的な名茶の評選は1982年の全国名茶評選会が最初。
- 茶外茶ちゃがいちゃ — 茶樹の葉を使っていないのに茶と呼ばれる飲み物の総称で、中国では代用茶とも言い、日本のハーブティーや麦茶に当たる。菊花茶や苦丁茶などがあり、六大茶類には入らないが茶館のメニューには必ず並び、多くはカフェインを含まない。
- 茶芸ちゃげい — 茶を淹れて楽しむ技術と作法の総称で、工夫茶の淹れ方を土台に道具、所作、しつらえ、客への出し方までを含む。1970年代の台湾で日本の茶道と区別する言葉として広まり、中国でも茶芸師の国家資格や国家標準が整った。
- 茶樹ちゃじゅ — 茶の原料になるツバキ科の常緑樹で、六大茶類はすべてこの一種の木(カメリア・シネンシス)の葉から製法の違いで作られる。小葉の中国種と大葉のアッサム種の二つの変種があり、原産地は雲南を中心とする中国西南部とされる。
- 茶城・茶館ちゃじょう・ちゃかん — 中国茶を買う場所と飲む場所で、茶城は茶業者が何十軒も集まる大都市の茶葉卸売市場、茶館は茶を飲ませる店の総称。茶城では店に座って試飲しながら茶を選び、茶館は成都の庶民的な店から台湾生まれの茶藝館、茶カフェまで幅がある。
- 茶多酚ちゃたふぇん — 茶葉に含まれるポリフェノール類の総称で、乾燥葉の2〜3割を占め、主成分のカテキン類が渋みと収斂性のもとになる。酸化酵素の働きで別の成分に変わって紅茶の色と味を作り、この変化を止めるか進めるかで六大茶類が分かれる。
- 茶沼ちゃぬま — 茶にどっぷりハマって抜け出せなくなった状態や、そうなった人と界隈を指す日本語のネットスラング。趣味への没頭を沼にたとえる俗用から生まれ、中国茶や台湾茶の愛好家がSNSで自称・他称に使う。中国語の言葉ではなく、近いのは入坑。
- 地理標志ちりひょうし — 特定の産地に由来する品質や評判を持つ産品の名前を保護する制度で、日本の地理的表示と同じ考え方。中国では龍井茶や普洱茶など多くの茶が国家標準を持ち、産地の範囲、品種、製法、等級を定める。表示の運用は緩いが、茶の公式な定義を知る資料になる。
- テアニンてあにん — 茶に特有のアミノ酸で、うまみと甘みのもとになり、日光を浴びるとカテキンに変わる成分。若い芽や春茶、日照の少ない高山や被覆した茶園の茶に多く、緑茶を低めの湯で淹れると甘く感じるのはこのため。カフェインの興奮を和らげる働きも研究されている。
- 辺銷茶へんしょうちゃ — チベットやモンゴルなど中国辺境の少数民族地域へ売るために作られてきた茶の総称で、固く圧した黒茶が中心。肉や乳製品の多い食生活の必需品として、国が価格と供給を管理する政策商品になり、茶業不振の時代にも生産が途切れなかった。
- 有機・農薬ゆうき・のうやく — 茶の栽培で農薬と肥料をどう使うかに関する言葉で、中国茶を買うときによく聞かれる話題。中国と台湾には有機認証があり、日本は残留農薬の基準を超えた茶を輸入できない。東方美人など農薬を使えない茶もあり、自然栽培や生態茶は認証ではなく作り手の言葉。
- 六大茶類ろくだいちゃるい — 中国茶を製法の違いで緑茶・白茶・黄茶・青茶・紅茶・黒茶の六つに分ける、最も基本的な分類。分ける軸は発酵度ではなくどの工程を経るかで、1979年に陳椽が体系化し、のちに国家標準と国際規格にもなった。