中国茶辞典中国茶・台湾茶の用語とコラム

恩施玉露(おんしぎょくろ)

読み おんしぎょくろ現地音 エンシーユールー拼音 Ēnshī Yùlù別名 玉露、恩施玉露茶、蒸青玉露、Enshi Yulu

湖北省恩施で作られる、中国で唯一伝統が残る蒸青の針形緑茶。蒸気で殺青し、焙炉の上で手で伸ばしながら乾かして松の葉のような真っ直ぐな形にする。日本の煎茶に近い清らかな香りとうまみで、製法は2014年に国家級無形文化遺産、2022年にユネスコ無形文化遺産の構成要素になった。

分類緑茶 / 蒸青緑茶
産地湖北省
製法殺青(さっせい)揉捻(じゅうねん)
外観松の葉のように細く真っ直ぐで、鮮やかな深緑。産毛が見える
水色澄んだ緑がかった黄
香り青海苔や新緑を思わせる清らかな香り。釜炒りの香ばしさはない
うまみが濃く、まろやかで甘い。日本の煎茶に近い

湖北省(こほくしょう)の恩施土家族苗族自治州で作られる緑茶で、中国で唯一、伝統的な製法が残る蒸青(じょうせい)の針形緑茶です。中国の緑茶は明代以降ほとんどが釜炒りになりましたが、恩施(おんし)では唐代以来の蒸す殺青が続き、日本の煎茶や玉露と同じ系統の茶が作られています。「玉露」の名は清代に恩施の茶商が付けたもので、日本の玉露とは製法も姿も別物ですが、蒸青という共通点があります。製法は2014年に国家級無形文化遺産に登録され、2022年のユネスコ登録の構成要素にもなりました。恩施の茶文化システムは中国重要農業文化遺産でもあります。

製法

一芽一葉から一芽二葉の若い葉を摘み、蒸青竈(じょうせいそう)で蒸して殺青します。蒸した葉を扇いで冷まし、振ってほぐし、揉んで、焙炉(ばいろ)(炭火で温めた台)の上で手のひらで転がしながら細く伸ばし、松の葉のように真っ直ぐに整えて乾かします。蒸、搧、抖、揉、鏟、整の六つの工程と、搂、端、搓、扎の四つの手法が伝統とされ、熟練の手作業で仕上がります。蒸すため釜炒りの香ばしさはなく、青海苔や新緑を思わせる清らかな香りと濃いうまみが出ます。

味の性格

日本の煎茶を知る人には親しみやすい味で、中国の釜炒り緑茶とは方向が違います。緑色が鮮やかで、水色も緑がかり、審査では「三緑」(茶葉、水色、葉底がすべて緑)が特徴とされます。渋みが出やすいので湯温を下げて淹れます。

産地

恩施は湖北省の西南端、武陵山地(ぶりょうさんち)の中にあり、セレンを多く含む土壌の「世界セレンの都」を名乗っています。芭蕉侗族郷(ばしょうとうぞくきょう)五峰山(ごほうざん)の一帯が核心産地です。生産量は少なく、日本ではまだ珍しい茶ですが、蒸青緑茶(じょうせいりょくちゃ)の源流として中国茶専門店で置かれることが増えています。

恩施玉露の淹れ方

少し冷ました湯(75〜80℃)でガラスのコップか蓋碗に淹れる人が多いです。蒸青の茶は釜炒りより渋みが出やすいので湯温を下げ、1煎目は1分前後置き、注ぎ出さずに湯を足しながら3煎ほど飲みます。洗茶はしません。

淹れ方はひとつではありません。ここでは多くの人がどう淹れているかを書いています。

関連用語

参考リンク