紅茶
読み こうちゃ拼音 hóngchá中国語 红茶別名 全発酵茶、black tea、工夫紅茶、小種紅茶、紅砕茶、正山小種、祁門紅茶、滇紅、金駿眉
葉を完全に酸化させた茶。国家標準は萎凋・揉捻・発酵・乾燥で作る茶と定義し、小種紅茶・工夫紅茶・紅砕茶に分ける。世界の紅茶の起源は福建省武夷山桐木の正山小種とされる。
| 発酵(酸化)度 | 全発酵(完全酸化) |
|---|---|
| 特徴的な工程 | 萎凋 → 揉捻 → 発酵 |
萎凋した葉を揉捻して細胞を壊し、湿った状態で置いて酸化を最後まで進めてから乾燥させた茶です。国家標準の茶葉分類(GB/T 30766)は紅茶を「萎凋・揉捻(切)・発酵・乾燥などの工程で作られた製品」と定義しています。ここでいう発酵(発酵)は葉の酵素による酸化で、微生物は関与しません。酸化によってポリフェノールが赤や褐色の色素に変わり、生葉の香りが消えて甘い香りが生まれます。
中国語の「紅茶」は水色の赤さから、英語の black tea は葉の色から来た名前です。
三つの区分
| 区分 | 製法 | 例 |
|---|---|---|
| 小種紅茶 | 武夷山桐木の伝統製法。松の薪で燻す薫香型と、燻さない型がある | 正山小種(ラプサンスーチョン)、金駿眉 |
| 工夫紅茶 | 萎凋・揉捻・発酵・乾燥に精製を加えた条索状の紅茶。中国紅茶の主流 | 祁門紅茶(安徽)、滇紅(雲南)、川紅、閩紅 |
| 紅砕茶 | 揉切して細かくした紅茶。ティーバッグ向け | 雲南・海南などの大葉種紅砕茶 |
世界の紅茶の起源
紅茶は明末の16〜17世紀に福建省武夷山の桐木(桐木関)で生まれたとされ、正山小種が世界最古の紅茶と考えられています。17世紀以降ヨーロッパへ輸出されて紅茶文化のもとになり、19世紀にはその需要の高まりから正山小種を模倣して祁門紅茶が作られました。桐木には現在も、松で燻した薫香型と、燻さず桃や熱帯果実のような香りの型の二種類の正山小種があり、伝統的な正山小種が必ずしも煙の香りだったわけではないという見方もあります。
工夫紅茶の「工夫」
工夫紅茶の「工夫」は手間をかけるという意味で、萎凋に時間をかけ、乾燥後に低温で長時間焙煎する仕上げを指すと考えられています。正山小種がその先駆けで、祁門紅茶に受け継がれました。淹れ方の工夫茶とは別の概念です。
主な中国紅茶
- 正山小種: 武夷山桐木。小種紅茶の原点。
- 金駿眉: 桐木の芽だけで作る紅茶。2005年ごろに生まれた新しい銘柄で、高価。
- 祁門紅茶: 安徽省祁門。世界三大紅茶のひとつとされ、蘭や蜜にたとえられる香り。
- 滇紅: 雲南省の大葉種で作る紅茶。1930年代末に鳳慶で始まった。金色の芽が多く、力強い味。
- 九曲紅梅: 浙江省杭州。緑茶の産地の紅茶。
淹れ方の傾向
中国紅茶は蓋碗で沸騰した湯を使い、20〜30秒ほどの短時間で何煎も淹れる人が多いです。芽だけの金駿眉は少し冷ました湯で淹れることもあります。ヨーロッパ式に一度に長く抽出する飲み方とは前提が違い、煎を重ねるうちに甘みが広がるのを楽しみます。
この分類の茶葉
- 英徳紅茶広東省清遠市英徳で作られる紅茶。1959年に雲南大葉種などを植えた英徳茶場で作られたのが始まりで、新中国の輸出紅茶として育てられた。広東省農科院茶葉研究所が選抜した品種「英紅九号」で作る紅茶は香りが高く、滇紅と並ぶ大葉種の紅茶。2006年に地理標志産品になった。
- 祁門紅茶安徽省黄山市祁門県の紅茶で、世界三大紅茶のひとつ。1875年に福建の製法を持ち込んで生まれた工夫紅茶で、蘭や蜜にたとえられる祁門香と滑らかな味が特徴。製法は2008年に国家級無形文化遺産に登録され、祁門紅茶場の等級区分が標準とされてきた。
- 九曲紅梅浙江省杭州市西湖区双浦の周辺で作られる紅茶で、西湖龍井と並んで杭州の「一紅一緑」と呼ばれる。清の同治年間に太平天国の乱で福建から移った人々が武夷山の紅茶の製法を伝えたのが起源とされ、水色が紅梅の色に似ることから名付けられた。生産量が少なく杭州でも希少。
- 金駿眉福建省武夷山桐木で2005年に生まれた、芽だけで作る紅茶。正山小種の製法をもとに、清明前後の芽を燻さずに仕上げる。500グラムに数万個の芽が要り、中国国内で高級紅茶ブームを起こした。産地の生産量に対して市場の「金駿眉」は桁違いに多い。
- 紅玉台湾の茶業改良場が台湾原生の山茶とミャンマー大葉種を交配して育成し、1999年に命名した品種「台茶18号」で作る紅茶。南投県魚池郷の日月潭周辺が主産地で、薄荷と肉桂にたとえられる独特の香りと濃い紅色の水色から紅玉と名付けられた。
- 正山小種福建省武夷山桐木で作られる、世界最古とされる紅茶。明末に生まれ、17世紀以降ヨーロッパに輸出されて紅茶文化のもとになった。松の薪で燻した薫香型が海外で知られるが、桐木には燻さず果実の香りに仕上げる型も古くからあり、金駿眉はここから2005年に生まれた。
- 坦洋工夫福建省福安市坦洋村で1851年に生まれた工夫紅茶。政和工夫、白琳工夫と並ぶ福建三大工夫紅茶の筆頭で、清末から民国期に大量にヨーロッパへ輸出された。金色の芽が混じる細い茶葉と甘くまろやかな味が特徴で、地理標志産品の国家標準(GB/T 24710)がある。製法はユネスコ無形文化遺産の構成要素。
- 滇紅雲南省の大葉種で作る紅茶。「滇」は雲南の別称で、雲南紅茶と同じ意味。1938年に鳳慶で試作されたのが始まりで、金色の芽が多く力強く甘い味が特徴。ミルクティーに向き、芽だけの金芽・金糸などの製品もある。
- 蜜香紅茶台湾で、小緑葉蝉(ウンカ)に汁を吸われた芽葉を紅茶に仕立てたもの。東方美人と同じ仕組みで蜜とマスカットのような蜜香が生まれ、新竹・苗栗のほか花蓮の瑞穂が産地として知られる。虫まかせの原料ゆえ製茶の出来にばらつきが大きい。
よく出る用語
参考リンク
- GB/T 30766-2014 茶叶分类(国家標準) — 紅茶の定義と小種・工夫・紅砕茶の区分
- GB/T 13738.2-2017 红茶 第2部分:工夫红茶(国家標準) — 工夫紅茶の定義
- HOJO: 中国紅茶によくある工夫紅茶とはどのような紅茶を意味する? — 工夫紅茶の意味、正山小種から祁門紅茶への系譜
- HOJO: 現地でも珍しい武夷山の桐木水仙紅茶を発売 — 正山小種の二つの型(薫香と果実香)と炭焙
- HOJO: 中国茶仕入れのプロによる雲南紅茶(滇紅)の【徹底解説】 — 滇紅の産地と特徴
- HOJO: 意外に知らないお茶の発酵の基礎 — 紅茶の発酵が酵素による酸化であること
- 『はじめての中国茶とおやつ』甘露 著(誠文堂新光社) p.8-11, 57, 63 — 紅茶の工程、祁門紅茶と正山小種の項