中国茶辞典中国茶・台湾茶の用語とコラム

東方美人(とうほうびじん)

読み とうほうびじん現地音 ドンファンメイレン拼音 Dōngfāng Měirén中国語 东方美人別名 白毫烏龍、膨風茶、椪風茶、番荘烏龍、香檳烏龍、五色茶、Oriental Beauty、Bai Hao Oolong

台湾新竹・苗栗の丘陵で作られる、酸化の最も重い烏龍茶。小緑葉蝉(ウンカ)に汁を吸われた芽葉だけを夏に摘み、蜜と熟した果実のような香りに仕上げる。白毫烏龍、膨風茶とも呼ばれ、イギリスの女王が名付けたという伝承がある。

分類青茶(烏龍茶) / 台湾烏龍
産地新竹・苗栗
品種青心大冇(せいしんだいむ)
製法萎凋(いちょう)做青(さくせい)殺青(さっせい)揉捻(じゅうねん)
外観白・緑・黄・紅・褐の五色が混じり、白い産毛の芽が目立つ。条索状でやや太い
水色橙紅色で明るい
香り蜜と熟した果実、マスカットにたとえられる甘い香り(蜜香)
まろやかで甘く、渋みが少ない。味の厚みは軽め

台湾(たいわん)北西部、新竹・苗栗(しんちく・びょうりつ)の丘陵と新北市の石碇(せきてい)坪林(へいりん)で作られる烏龍茶で、台湾の烏龍茶の中で最も酸化が重く、紅茶に近い性格を持ちます。台湾農業部の分類では部分発酵茶のうちの重発酵に当たり、産毛の多い芽から白毫烏龍(はくごううーろん)、伝承から膨風茶(ぼうふうちゃ)、名前の付いた産地ごとに東方美人・椪風茶・番荘烏龍(ばんそううーろん)とも呼ばれます。

虫が作る香り

東方美人の最大の特徴は「蜜香」と呼ばれる蜜や熟した果実、マスカットのような甘い香りで、これは小緑葉蝉(しょうりょくようぜん)(ウンカの一種)がいなければ生まれません。5月から7月、芒種(ぼうしゅ)の前後に活発になる小緑葉蝉が芽の汁を吸うと、芽の成長が止まって黄色く変わり、茶樹が防御反応として特定の香り成分(テルペン類など)を作ります。この葉だけを摘んで重く酸化させると、製茶の過程で蜜香が立ちます。虫に吸われていない葉で同じ製法をとっても蜜香は出ません。このため農薬は使えず、茶園に虫がいることが前提になります。

製法

品種は[qingxindamao]が主で、一芽二葉の細かな芽葉を夏に摘みます。萎凋を長く、做青と揉捻をしっかり行い、釜炒りのあと湿らせた布で包んで蒸らしてから形を整える、という独特の工程があります。仕上がった葉は白・緑・黄・紅・褐の五色が混じって花のように見え、上等なものほど白い芽が目立ちます。夏の高温多湿は酵素の働きを活発にするため重い酸化に向き、標高の低い産地であることが理にかなっています。高山茶(こうざんちゃ)の産地で東方美人を試作する動きもありますが、原料の葉も気候も違うため簡単ではありません。

名前の伝承

日本統治期の1930年代に生まれたとされ、北埔(ほくほ)の茶農家が虫害にあった葉で作った茶が高値で売れ、村人にほら吹き(膨風)と言われたという話が名前の由来として伝わります。イギリスの女王が称賛して東方美人と名付けたという伝承もありますが、いずれも史料上の裏付けはありません。

味と楽しみ方

香りは華やかな一方で、味の厚みは軽めというのが一貫した性格で、産地の土壌によると考えられています。作りたてより1年ほど置くと蜜香と甘みが増すとされ、熟成を前提に飲む人もいます。湯温は香りを立たせるなら沸騰した湯、渋みを抑えるなら少し冷ました湯で、紅茶に近い感覚で楽しめます。台湾では冬の時期に酸化の重いこの茶を好む人が多いです。

東方美人の淹れ方

香りを立たせるために沸騰した湯を使う人と、渋みを抑えるために80〜85℃に冷ます人の両方がいます。蓋碗で1煎目は30秒から1分ほど置き、煎ごとに少し延ばして5煎ほど楽しみます。酸化が重く紅茶に近いので、紅茶と同じ感覚でポットで淹れたり、水出しにしたりする人もいます。洗茶はしないのが普通です。

淹れ方はひとつではありません。ここでは多くの人がどう淹れているかを書いています。

関連用語

参考リンク