中国茶辞典中国茶・台湾茶の用語とコラム

蔡襄と茶録(さいじょうとちゃろく)

読み さいじょうとちゃろく現地音 ツァイシャン・チャールー拼音 Cài Xiāng / Chálù中国語 蔡襄 / 茶录 / 蔡襄 / 茶錄別名 蔡襄、茶録、茶录、茶錄、小龍団、北苑貢茶、点茶

蔡襄は北宋の書家・政治家で、福建の転運使として北苑の貢茶を監督し、小龍団を作らせた人物。皇祐年間(1049〜1053年)に著した『茶録』は上篇で茶の色・香・味と保存、炙り方、碾き方、湯の見極め、点茶を、下篇で茶焙、茶碾、茶盞、茶匙、湯瓶などの道具を論じた、宋代の点茶の様子を伝える短い茶書。

蔡襄(1012〜1067年)は北宋の政治家で、書の名手として蘇軾(そしょく)黄庭堅(こうていけん)米芾(べいふつ)と並ぶ宋の四大家に数えられます。福建の出身で、福建路の転運使(てんうんし)として建州北苑の[gongcha]を監督し、それまでの大龍団(だいりゅうだん)より小さく精巧な小龍団(しょうりゅうだん)を作らせて仁宗(じんそう)に献上したことで、茶の歴史に名を残しました。

『茶録』

皇祐年間(1049〜1053年)に著した『茶録』は、仁宗が北苑(ほくえん)の茶に関心を示したのに応えて書かれた短い書で、上下二篇からなります。

内容
上篇 論茶茶の色、香、味、保存(藏茶(ぞうちゃ))、炙り方(炙茶(しゃちゃ))、碾き方(碾茶(てんちゃ))、篩い方(羅茶(らちゃ))、湯の見極め(候湯(こうとう))、碗を温めること(熁盞(きょうさん))、点茶(てんちゃ)の十項
下篇 論茶器茶焙(ちゃばい)茶籠(ちゃろう)砧椎(ちんつい)茶鈐(ちゃけん)茶碾(ちゃてん)茶羅(ちゃら)茶盞(ちゃさん)茶匙(ちゃし)湯瓶(とうへい)の九項

上篇では、茶の色は白を貴び、香りは龍脳などの香料を混ぜないほうがよく、味は甘く滑らかなものがよい、と述べます。湯の沸き加減を見極めることが最も難しいこと、碗を先に温めること、粉茶に湯を注いで茶筅(ちゃせん)で点てるときの湯の量、といった点茶の要点が簡潔に記されています。下篇では、泡の白さを引き立てる黒い建盞(けんさん)を勧め、茶匙は重いものがよいと述べています。

位置づけ

唐の『茶経(ちゃきょう)』が団茶を煮る時代の書、徽宗(きそう)の『大観茶論(たいかんちゃろん)』が北宋末の点茶の書だとすると、『茶録』はその間、北宋中期の点茶が確立していく時期の記録です。分量は短いものの、蔡襄自身が貢茶の現場にいた人物であるため信頼度が高く、宋代の茶を知る基本の史料として『大観茶論』とともに読まれます。中国哲学書電子化計画で原文を読むことができます。蔡襄はまた、『荔枝譜(れいしふ)』というライチの書も残しています。

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