中国茶辞典中国茶・台湾茶の用語とコラム

茶疏(ちゃそ)

読み ちゃそ現地音 チャーシュー拼音 Cháshū別名 茶疏、許次紓、许次纾、明代の茶書、散茶の茶書

明の許次紓(1549〜1604年)が万暦25年(1597年)に著した茶書。団茶が廃れて散茶を釜で炒り、湯に浸して飲む時代の茶を、産地、摘採、釜炒りの製法、保存、水、湯の沸かし方、茶葉と湯の量、飲む時と場所まで三十余りの項目で記す。いまの緑茶の飲み方に最も近い古典で、陸羽の茶経を補うものと評された。

明の許次紓(きょじじょ)が万暦25年(1597年)に著した茶の書です。許次紓は銭塘(せんとう)(杭州(こうしゅう))の人で、字は然明(ぜんめい)、科挙には進まず茶を愛した文人でした。友人の茶人、姚紹憲(ようしょうけん)の茶園に通って製茶を学び、その知識をまとめたのが『茶疏』です。序文で、陸羽(りくう)の『茶経(ちゃきょう)』は詳しいが製法が変わって合わなくなった、と述べて自らの時代の茶を書いています。

散茶(さんちゃ)の時代の茶書

唐宋の茶書が固形の団茶(だんちゃ)を煮たり点てたりする方法を書いたのに対し、『茶疏』は明代に主流になった散茶を釜で炒り、湯に浸して飲む方法を書いた最初期の本格的な茶書です。三十余りの項目からなり、内容はいまの緑茶の作り方と飲み方にそのままつながります。

項目の例内容
産茶各地の茶の評価。長興(ちょうこう)羅岕(らかい)を最上とし、龍井、天池(てんち)、六安などに触れる
採摘穀雨前後の摘採がよく、早すぎる摘採を戒める
炒茶釜炒りの殺青の火加減、少量ずつ炒ること、炒った後に焙って乾かす手順
収蔵・置頓茶の保存。湿気と匂いを避け、焙って壺に封じる
択水・火候・烹点水の選び方、湯の沸かし方、茶葉と湯の量、注ぐ回数
飲時・宜輟・不宜用茶を飲むのにふさわしい時と場、避けるべき場面と道具
論客・茶所・童子茶を共にする客、茶室の設え、茶を淹れる童子の心得

湯の沸かし方を「蟹の目」の泡から「松風」の音で見極めること、茶壺(ちゃこ)は小さいものがよく、注いだ茶は一煎目、二煎目までが本領で三煎目は薄いこと、茶葉は湯の量に対して少なめにすることなど、工夫茶(こうふちゃ)[toucha]につながる考え方がすでに書かれています。

位置づけ

明代には『茶疏』のほか、張源の『茶録』(投茶の三法を記す)、田芸蘅(でんうんこう)の『煮泉小品(しゃせんしょうひん)』、屠隆(とりゅう)の『茶説(ちゃせつ)』など多くの茶書が書かれ、散茶の時代の茶の美学が作られました。『茶疏』はその中でも製法から飲み方、場の設えまで最も体系的で、清代の『四庫全書総目(しこぜんしょそうもく)』は陸羽を補うものと評しています。国学導航などで原文を読むことができます。

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