紫砂壺
読み しさこ現地音 ズーシャーフー拼音 zǐshāhú中国語 紫砂壶別名 紫砂、宜興紫砂、茶壺、急須、紫泥、朱泥、段泥、Yixing teapot
江蘇省宜興の陶土「紫砂」で作る、釉薬をかけない茶壺。明代から茶壺の名産地で、土が微細な気孔を持つため香りを吸って味を丸くし、使い込むほど艶が出る。烏龍茶や普洱茶に向き、製作技術は2006年に国家級無形文化遺産に登録された。
江蘇省宜興で採れる陶土「紫砂」で作る、釉薬をかけない茶壺です。紫砂は宜興の土の総称で、紫泥、朱泥(紅泥)、段泥(本山緑泥)などの種類があり、鉄や銅などの鉱物を含む土を酸化焼成すると、それぞれ紫褐色、赤、黄褐色に発色します。明代の中期に急須で茶を淹れる飲み方が広まるとともに宜興の茶壺作りが発展し、時大彬、陳鳴遠、顧景舟といった名工の名前が残っています。製作技術は2006年に国家級無形文化遺産に登録されました。
なぜ茶壺に向くのか
紫砂は焼いても微細な気孔が残る土で、空気を通しつつ水は漏らしません。この気孔が茶の香りや成分を吸着し、角のある渋みを和らげて味を丸くする一方、花の香りのような軽い香りも吸うため、香りを立たせたい茶には磁器の蓋碗が向きます。紫砂壺が向くのは武夷岩茶、濃香型の鉄観音、鳳凰単叢、普洱茶、黒茶など、厚みと余韻を楽しむ茶です。土が茶を吸うため、一つの壺には一種類の茶だけを淹れるのが作法とされ、使い込むほど艶が出ることを[yanghu]と言います。
種類と選び方
| 土 | 色 | 性質の目安 |
|---|---|---|
| 紫泥 | 紫褐色 | 最も一般的。気孔が多く、岩茶や普洱茶に |
| 朱泥 | 赤 | 目が細かく、香りが立ちやすい。烏龍茶に |
| 段泥 | 黄褐色 | 淡い色で茶渋が目立ちやすい。緑茶や白茶に使う人も |
工夫茶で使う茶壺は100〜200ml程度の小ぶりなものが中心です。良い土は焼き締まっていて叩くと澄んだ音がし、蓋がぴたりと合い、注ぎ口の切れがよいものが使いやすいとされます。宜興の本物の紫砂は土の採掘が制限されて価格が上がっており、他産地の土や化学顔料で色を付けた安価な「紫砂風」の壺も多く出回っています。
日本の急須との違い
日本の常滑や萬古の急須も釉薬をかけない朱泥や紫泥で、紫砂壺と同じように茶の味を変える性質があります。ただし日本で紫泥と呼ぶ萬古焼は朱泥を還元焼成して紫色にしたもので、宜興の紫泥とは土も焼き方も違います。中国茶を淹れるなら、注ぎ切れる小さな茶壺であれば日本の急須でも問題ありません。
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参考リンク
- 中国非物质文化遗产网: 宜兴紫砂陶制作技艺 — 2006年の国家級無形文化遺産登録と技法の概要
- 宜兴市人民政府: 宜兴紫砂 — 紫砂の歴史と産地
- HOJO: 日本の紫泥と宜興の紫泥、言葉は同じでも全く異なる意味 — 紫砂と紫泥の意味、土の色と鉱物の関係