杯托(茶托・盞托)
読み はいたく(ちゃたく・さんたく)現地音 ベイトゥオ / チャートゥオ拼音 bēituō / chátuō中国語 杯托 / 茶托別名 杯托、茶托、盏托、盞托、茶托子、托子、茶碟、杯墊、杯垫、受け皿、saucer、cup stand
茶杯を載せる小さな受け皿です。熱い茶が入った品茗杯は指で持つと熱いので、杯托ごと持ち上げれば楽に口へ運べます。客に杯を出すときも、杯托に載せて差し出せば杯の口や胴に手が触れず、卓に置いたときに茶の輪染みも付きません。磁器、竹、木、錫、銅などで作られ、杯の高台がはまる輪や窪みのあるものと、平らな小皿の形があります。台湾の茶芸では杯托、大陸では茶托や杯墊と呼ぶことが多く、古い茶書では盞托や茶托子と書かれます。
崔寧の娘の話と出土品
唐の李匡乂の『資暇集』に、茶托の始まりについての話があります。建中年間(780年代)、蜀の長官だった崔寧の娘が、茶杯が熱くて指が焼けるのを嫌って小皿で受けたところ、杯が皿の上で滑って傾いた。そこで皿の中央に蝋で輪を作って杯を固定し、のちに職人に漆の輪で作らせた。父がこれを客に見せて広まった、というものです。
ただし、考古学の出土品を見るとこの話はあとから付けられたもので、長沙の東晋の墓からすでに盞托が出ていて、南朝の墓から多く見つかっています。南方で茶を飲む習慣が広まるのと並行して、熱い碗を受ける台が使われていたわけです。唐代に喫茶が流行して盞托が広く使われるようになり、宋代には茶盞と托が対の道具として定着しました。托の輪が高くなって杯をしっかり受ける形になり、漆器の托が最上とされました。日本に伝わった天目台はこの流れの茶托です。
蓋碗の托
蓋碗の受け皿も同じ盞托の系統です。蓋・碗・托の三つで一組の蓋碗は、托を持って碗を口に運ぶ飲み方のための道具で、清代の四川や北方で茶碗として広まりました。蓋碗を急須代わりに使うときも、托は熱い碗の底を受けて手を守ります。
使い方の目安
- 客に茶を出すときは杯托に載せ、両手か右手で客の手前に置きます。杯托を持って渡すと熱い杯に触れずに済みます
- 飲むときは杯托ごと持ち上げてもよく、杯だけを取ってもかまいません。工夫茶の小さな杯なら杯だけを取る人が多いです
- 飲み終わった杯は杯托に戻します。杯托が空のままだと、注ぎ手が「まだ飲んでいる」と分かりません
- 竹や木の杯托は軽くて割れませんが、濡れたままにするとカビます。磁器や錫は手入れが楽です
関連用語
この用語が出てくるページ
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- 品茗杯(茶杯)用語
参考リンク
- 雅昌芸術網: 孫機「唐宋時期的茶具与酒具」 — 盞托の出土例(東晋、南朝)と『資暇集』の伝説への疑問、宋代の茶托の定着
- 中国新聞網: 传盖碗茶起源于唐代 由当时成都府尹千金发明 — 『資暇集』「茶托子」の原文と崔寧の娘の話
- 河南博物院: 汝窯天青釉盞托 — 宋代の盞托の実物(関連資料)