中国茶辞典中国茶・台湾茶の用語とコラム

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品茗杯(茶杯)(ひんめいはい)

読み ひんめいはい現地音 ピンミンベイ拼音 pǐnmíngbēi中国語 品茗杯別名 茶杯、茶盃、品杯、飲杯、若深杯、若琛杯、若深甌、圧手杯、鶏缸杯、斗笠杯、鈴鐺杯、馬蹄杯、羅漢杯、折腰杯、撇口杯、直筒杯、束口杯、蓮弁杯、六方杯、将軍杯、老板杯、tea cup、tasting cup

中国茶を飲むための小さな杯です。「茗(めい)を品(ひん)する杯」という名のとおり、量を飲むためではなく味と香りを確かめるための器で、ひと口から三口で飲み切れる大きさしかありません。工夫茶(こうふちゃ)では熱い茶を熱いうちに飲み、飲み切ったらまた注いでもらうので、杯は小さいほど都合がよいのです。茶杯、飲杯、品杯とも呼び、聞香杯(もんこうはい)と対にして使う台湾式では聞香杯と区別して品茗杯と呼びます。

白い内側と薄い口

どんな形でも、内側が白いものが基本です。水色(すいしょく)がそのまま見え、茶の濃さや透明感を杯ごとに確かめられます。口は薄いほど唇に当たる感触が軽く、香りが立ちやすいとされます。厚手の陶器や建盞(けんさん)のような黒い杯は、手触りや景色を楽しむ杯として、主に自分用の主人杯(しゅじんはい)に使われます。

若深杯(じゃくしんはい)

潮州(ちょうしゅう)の工夫茶で最上とされてきた杯が若深杯です。清の康熙年間に景徳鎮(けいとくちん)で焼かれた、底に「若深珍蔵」の款のある白地に青い絵付けの小杯で、「小さく、浅く、薄く、白い」の四つが理想とされました。容量はわずか十数mlで、ひと啜りで空になります。台湾の連横は『茗談』で「茶は武夷、壺は孟臣(もうしん)、杯は若深」と書き、この三つが工夫茶の要とされました。「若琛」と書かれることも多いのですが、伝世品の款は「若深」です。「若深」が人名なのか屋号なのか吉祥語なのかは分かっていません。現在は景徳鎮や潮州楓渓(ふうけい)の白磁の小杯が代わりに使われています。工夫茶四宝(くふうちゃしほう)も参照してください。

杯の形と名前

品茗杯は形ごとに名前があり、形そのものや、似ている物、絵柄、故事にちなんで付けられています。よく見かけるものを挙げます。

名前形由来・時代
撇口杯(へつこうはい)口縁が外に反る最も一般的な形。飲みやすく香りが広がる
直筒杯(ちょくとうはい)筒型で口が真っ直ぐ香りをためやすい。深めのものは聞香杯に近い
束口杯(そくこうはい)口の下がわずかにくびれる宋代の建盞に見られる形。茶をこぼしにくい
圧手杯(あっしゅはい)口が平らに広がり、下に向かって胎が厚くなる明の永楽年間に景徳鎮の御窯で作られた形。持つと口縁が手の虎口に収まり、重みが手に「圧す」ことから
斗笠杯(とりゅうはい)口が大きく底が小さい逆円錐農夫の笠(斗笠)の形から。宋代の茶盞に多い
鈴鐺杯(れいとうはい)口が反り、腹が深く、伏せると釣鐘(鈴鐺)に見える明清に流行
馬蹄杯(ばていはい)口が開いて腹が斜めに削がれ、伏せると馬の蹄に見える明清に流行
折腰杯(せつようはい)胴の途中で折れ曲がる陶淵明の「五斗米のために腰を折らず」の故事から
鶏缸杯(けいこうはい)浅く口が広い小杯に、雌鶏と雛の絵明の成化年間の闘彩(とうさい)が有名。缸は口の広い甕(かめ)
羅漢杯(らかんはい)胴が張って口がやや締まる羅漢の姿や、羅漢を描いた絵柄から
蓮弁杯(れんべんはい)口縁や胴に蓮の花弁清らかさの象徴
六方杯(ろっぽうはい)六角形清代に流行
高足杯(こうそくはい)高い脚が付く元・明の器形。竹節形の脚もある
円融杯(えんゆうはい)胴が丸く膨らみ口がすぼまる香りと味がこもりやすい現代の形

このほか、蓋の付いた大ぶりの杯を「将軍杯」「老板杯」などと呼んで売る店がありますが、これは近年の商品名で、古い器形の名ではありません。杯の名前は窯や店によっても揺れるので、名前より「口が開いているか閉じているか」「深いか浅いか」「厚いか薄いか」で見ると、飲み口と香りの出方がだいたい分かります。口が開いた浅い杯は香りが早く広がって冷めやすく、口がすぼまった深い杯は香りがこもり、温かさが続きます。

飲むときの作法

杯は親指と人差し指で口の下を持ち、中指を底に添えると安定します。茶芸ではこの持ち方を「三龍護鼎(さんりゅうごてい)」と呼びます。一杯を三口に分けて飲むのが作法とされ、「品」の字が「口」を三つ重ねた字であることに結び付けて説明されます。『説文解字』では「品」は「衆庶なり、三口に从う」、つまり多くの人を表す字とされていて、茶を三口で飲むこととの関係は後付けの語呂合わせですが、一口目で舌を潤し、二口目で味を確かめ、三口目で余韻を味わうという飲み方の教えとしては理にかなっています。飲み切った杯は元の位置に戻し、注いでもらったら指で卓を軽く叩いて礼を返します(叩手礼(こうしゅれい))。詳しくは中国茶をいただくときの作法にまとめました。

選ぶときの目安

  • 容量: 蓋碗や茶壺の容量を人数で割った量より少し大きいものを選びます。100mlの蓋碗で4人なら30ml前後が使いやすい大きさです
  • 材質: 白磁が基本。ガラスは水色がよく見え、紫砂や陶器は手触りを楽しむ用途に向きます
  • 口の薄さ: 薄い杯は熱が伝わりやすい反面、飲み口が軽やかです。熱さが苦手なら口縁が反ったものが持ちやすいです
  • 杯托: 客に出すときは杯托(茶托・盞托)(はいたく(ちゃたく・さんたく))に載せると、熱い杯を持ちやすく、卓も汚れません

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