工夫茶四宝
読み くふうちゃしほう現地音 ゴンフーチャースーバオ拼音 gōngfuchá sìbǎo中国語 工夫茶四寶別名 茶房四宝、烹茶四宝、潮汕四宝、玉書碨、玉书煨、玉書煨、潮汕炉、潮汕爐、紅泥炉、孟臣罐、孟臣壺、若深甌、若琛甌、若深杯、若琛杯、砂銚
広東省潮州と福建南部(閩南)の工夫茶に欠かせない四つの道具です。湯を沸かす炉と湯沸かし、茶を淹れる壺、茶を飲む杯の四つで、それぞれに固有の名前が付いています。
| 宝 | 名前 | 何か |
|---|---|---|
| 炉 | 潮汕炉(紅泥炉) | 潮汕の赤土で焼いた小さな炭炉。火力の調節がしやすい |
| 湯沸かし | 玉書碨(砂銚) | 赤土や白土の平たい湯沸かし。取っ手と注ぎ口が付く |
| 壺 | 孟臣罐 | 明末清初の宜興の名工、恵孟臣の銘のある小さな紫砂壺。転じて工夫茶用の小壺一般 |
| 杯 | 若深甌(若深杯) | 清の康熙年間に景徳鎮で焼かれた「若深珍蔵」款の白磁小杯。転じて白磁の小杯一般 |
名前の由来
孟臣は明末清初の宜興の壺作りの名工の名で、底に「孟臣」の銘を入れた小壺が工夫茶の壺の理想とされました。清代の潮州や閩南には本物の孟臣壺は行き渡らなかったので、地元の朱泥で似た形を作った壺も孟臣罐と呼び、これが潮州朱泥手拉壺につながります。若深は「若深珍蔵」の款から取った名で、康熙年間の景徳鎮の民窯の白地青花の小杯です。人名か屋号か吉祥語かは分かっていません。玉書碨は砂銚の雅称で、「玉書」は湯を沸かす音を書物を読む声に見立てたとも、作り手の名だとも言われ、確かなことは不明です。碨(煨)は「とろ火で煮る」の意味です。
台湾の連横が『茗談』で「茶は武夷、壺は孟臣、杯は若深」と書いたように、清代には武夷岩茶と孟臣壺と若深杯の三つが工夫茶の要とされ、これに炉と砂銚を足して四宝と呼ぶようになりました。潮州では茶具一式を十二件とし、そのうち上等なものが八つあれば八宝、四つあれば四宝と呼び分ける言い方もあります。
翁輝東『潮州茶経』の茶具
潮州の学者翁輝東(1885〜1965)は『潮州茶経・工夫茶』で、工夫茶の特別さは茶そのものより「茶具の配備と、ゆったりした淹れ方」にあると書き、二十種以上の道具を挙げました。壺(冲罐)、蓋碗、茶杯、茶洗、茶盤、茶墊、水瓶、水鉢、龍缸、紅泥火炉、砂銚、羽扇、銅箸、茶罐、茶巾、竹箸、茶夾、茶卓、提籃です。壺は「小さいほどよく、浅いほどよい」とされ、杯は白地に青い絵付けで底に「若深珍蔵」とあるものが最上、季節で杯の形を変えるとも書かれています。ここに茶海や聞香杯はなく、それらが台湾の茶芸で後から加わった道具だと分かります。
今の茶卓では
炭の炉と砂銚は電気ケトル(随手泡)に、孟臣罐は潮州の朱泥壺や宜興の紫砂壺、あるいは蓋碗に、若深杯は景徳鎮や潮州楓渓の白磁小杯に置き換わっています。それでも「小さな壺で濃く淹れ、小さな白い杯で熱いうちに飲む」という工夫茶の骨格は四宝のままで、高冲低斟や関公巡城といった注ぎ方の作法も、この道具立てを前提にしています。潮州工夫茶芸は2008年に中国の国家級無形文化遺産に登録され、2022年には「中国伝統製茶技芸とその関連習俗」の一部としてユネスコの無形文化遺産にも含まれました。
関連用語
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参考リンク
- 潮州市人民政府: 潮州工夫茶 — 茶具は通常十二件で「十二宝」「八宝」「四宝」と呼び分けること、八歩法
- 翁輝東『潮州茶経・工夫茶』(黄庭茶道ブログ掲載の全文) — 冲罐(孟臣)・茶杯(若深珍蔵)・砂銚・紅泥火炉ほか二十種の茶具の記述
- 維基百科: 工夫茶 — 四宝の構成と若琛甌の由来、代用品
- 澎湃新聞: 闽南功夫茶的前世今生 — 閩南での成立(明末清初)、孟臣罐・若深杯、俞蛟『夢厂雑著』の記述
- 搜狐: 「若深小盏孟臣壶」若深珍藏款识别 — 若深杯の特徴と連横『茗談』
- 中国非物质文化遗产网: 茶艺(潮州工夫茶艺) — 潮州工夫茶芸の二十一式と砂銚(関連資料)