中国茶辞典中国茶・台湾茶の用語とコラム

安渓(あんけい)

読み あんけい現地音 アンシー拼音 Ānxī中国語 安溪別名 安溪、安渓県、泉州市安渓県、Anxi

福建省南部、泉州市の県で、鉄観音の故郷。閩南烏龍の中心産地で、球状に巻いた烏龍茶と挿し木による茶樹の繁殖技術を生んだ。安渓鉄観音茶文化システムは2022年に世界農業遺産に認定された。

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福建省と主な産地。地図データ: Natural Earth

福建省(ふっけんしょう)南部、泉州市に属する県で、鉄観音(てっかんのん)の産地として知られます。標高数百メートルから1500メートル付近まで茶園が広がる山がちな土地で、県内の茶園面積は約60万畝(約4万ヘクタール)、年間の茶生産量は6万トン台と、単一の県としては中国有数の規模です。

鉄観音の故郷

安渓は品種としての鉄観音が発見された場所で、いまも鉄観音の母樹(ぼじゅ)が保存されています。2022年に国連食糧農業機関が安渓鉄観音茶文化システムを世界農業遺産に認定した理由は三つあり、半発酵の烏龍茶製法を生み出したこと、茶樹の短穂挿し木という繁殖技術を発明したこと、鉄観音品種の母樹を保存していることです。挿し木で品種を増やす技術は、品種の性質を保ったまま茶園を広げることを可能にし、中国の茶産業全体に広まりました。

鉄観音の製法は2008年に国家級無形文化遺産に登録されています。殺青した葉を布に包んで締め上げる包揉(ほうじゅう)を繰り返して半球状に固める閩南烏龍の製法は、台湾の烏龍茶にも受け継がれています。

品種

鉄観音のほかに、黄金桂(おうごんけい)(黄旦)、本山(ほんざん)毛蟹(もうかい)を加えて安渓の四大名種(しだいめいしゅ)と呼びます。それぞれ品種名がそのまま茶名になり、鉄観音以外を総称して「色種(しきしゅ)」と呼ぶこともあります。肉桂(にっけい)のような他産地の品種を植えて烏龍茶に仕立てる例もあります。

清香型(せいこうがた)の流行と揺り戻し

1990年代以降、台湾の製法の影響で酸化と焙煎をごく軽くした緑色の清香型が主流になり、一時は緑色を強調するため酸化で赤くなった葉縁を取り除く作り方まで広まりました。近年は焙煎した濃香型(のうこうがた)が見直され、安渓で高値がつく鉄観音は焙煎したものが中心です。

市場と値段

安渓の中心部には大きな茶葉市場(中国茶都)があり、農家が自分の茶を直接売りに来ます。値段の割に質の良い茶もありますが、鉄観音の価格は品種、標高、肥料の量、摘採時期(春が最上、次いで秋、夏は汎用品)、そして焙煎の技術で大きく変わるため、プロでも見極めが難しい茶として知られます。産地でも100グラム数万円の茶から日常茶まで幅があります。

この産地の茶葉

参考リンク