中国茶辞典中国茶・台湾茶の用語とコラム

坪林(へいりん)

読み へいりん現地音 ピンリン拼音 Pínglín別名 坪林区、坪林區、文山、文山茶区、文山包種、文山包種茶、新北市、石碇、深坑、Pinglin、Wenshan

台北の南、新北市坪林区を中心とする文山茶区で、酸化の軽い条形の烏龍茶「文山包種茶」の産地。翡翠ダムの集水域にあたる標高600〜800メートルの丘陵で、台湾で最初に烏龍品種が植えられた地域とされる。

安徽省北京市重慶市福建省広東省甘粛省広西チワン族自治区貴州省河南省湖北省河北省海南省黒竜江省湖南省吉林省江蘇省江西省遼寧省内モンゴル自治区寧夏回族自治区青海省四川省山東省上海市陝西省山西省天津市新疆ウイグル自治区チベット自治区雲南省浙江省台湾阿里山阿里山新竹・苗栗新竹・苗栗木柵木柵南投南投坪林坪林
台湾と主な産地。地図データ: Natural Earth

台北市の南に接する新北市の南部山地で、坪林区を中心に石碇(せきてい)深坑(しんこう)平渓(へいけい)汐止(せきし)新店(しんてん)三峡(さんきょう)の各区と、台北市の南港(なんこう)木柵(もくさく)にまたがる一帯を文山茶区と呼びます。坪林は翡翠(ひすい)ダムの集水域にあたる丘陵地で、標高は600〜800メートル、台北から車で1時間ほどの距離にあり、文山包種茶の最大の産地です。

文山包種茶

文山包種茶は台湾の烏龍茶の中で最も酸化の軽い茶で、台湾農業部の分類では「清香型条形包種茶」に当たります。球状に丸めず、葉を自然に巻いた条索状に仕上げるのが特徴で、乾いた葉は墨緑色に艶があり、水色は蜜黄から碧緑、花のような清らかな香りを何より重んじます。台湾では「香・濃・醇・韻・美」の五つで包種茶(ほうしゅちゃ)の良さを表します。品種は青心烏龍(せいしんうーろん)が主で、台茶12号(金萱(きんせん))も使われます。

「包種」という名前は、茶を四角い紙で包んで売った包装方法に由来し、もとは福建の安渓や福州(ふくしゅう)で使われていた呼び名です。文山茶区は台湾で最初に烏龍品種の茶樹が植えられた地域とされ、1881年ごろに始まった包種茶の製法が、1912年ごろの南港・内湖・深坑での改良を経て、現在の花を使わずに花の香りを出す条形包種茶になりました。

製法の難しさ

酸化が軽いぶん製法は簡単そうに見えますが、実際は逆です。摘採や運搬で葉に傷がつくと意図しない酸化が始まり、狙った香りが出ません。日光萎凋は晴天なら10〜20分、曇天なら30〜40分と短く、葉の温度を30〜35℃に保ちます。室内萎凋は23〜25℃、湿度70〜80%の環境で竹のござに広げ、手で穏やかに攪拌して葉の縁にだけ微細な傷をつけます。殺青はドラムで140〜160℃、揉捻は軽い圧力で、乾燥は100℃前後で水分5%ほどまで、というのが標準的な流れです。

近年の傾向

本来の文山包種茶は花や柑橘のような香りが持ち味ですが、近年は産地でも青海苔のような香りのものが増えている、という指摘があります。酸化の見極めがわずかに足りないと出る香りで、包種茶の難しさを示しています。文山茶区の石碇や坪林は東方美人茶の産地でもあり、夏には小緑葉蝉(しょうりょくようぜん)に噛ませた葉で東方美人(とうほうびじん)を作る農家もあります。

訪れる人へ

坪林には茶業博物館があり、茶畑を眺めながら包種茶を飲める店が並びます。台北から日帰りで行ける産地として、木柵の猫空(まおこん)と並んで訪れやすい場所です。

この産地の茶葉

参考リンク