鳳凰山
読み ほうおうざん現地音 フォンホァンシャン拼音 Fènghuángshān中国語 凤凰山別名 鳳凰鎮、烏崠山、烏崬山、烏崠村、大質山、大庵、李仔坪、獅頭脚、甜竹坑、庵角、青麻園、坪坑頭、鳳渓、鳳西、丹湖、深垭、鳳凰単叢、鳳凰単欉、凤凰单丛、単叢、老欉、単株、Fenghuang
広東省東部、潮州市潮安区の鳳凰鎮を囲む山地です。周囲の山の峰が鳳凰が羽を広げた形に見えることから名付けられ、中心の烏崠山は標高1200〜1300メートルあります。茶樹は整然と植えられているのではなく、岩を縫うように点在し、剪定をほとんどしない古木が多く残っています。
鳳凰単叢とは
鳳凰単叢は、鳳凰山の自然条件のもとで鳳凰水仙という品種の中から選び出された優良な個体と、そこから育てられた品種群・株系から作る烏龍茶で、花や果実、蜜のような多様な自然の香りを持つのが特徴です。2010年に地理標志産品に指定され、中国とEUの地理的表示協定でも保護対象になっています。潮州の単叢茶文化システムは世界農業遺産の予備リストにも入りました。
「単叢」はもともと一株ごとに摘んで別々に仕上げることから来た言葉ですが、現在は鳳凰山産の烏龍茶全体を指して使われ、茶園で作られた安価なものも単叢の名で流通します。本来の意味に近いのは次の呼び分けです。
| 呼び方 | 意味 |
|---|---|
| 単叢 | 鳳凰山の烏龍茶の総称。同じ香りの型の株をまとめて仕上げたもの |
| 老欉 | 樹齢の高い木から作ったもの。80〜100年以上を目安にする人が多いが決まりはない |
| 単株 | 一本の木だけから作ったもの。最も希少で高価 |
| 母樹 | その香型の系統の元になった原木。烏崠山李仔坪の宋種の母樹は樹齢600〜700年とされる |
山場と標高
鳳凰単叢は、どの村のどの高さで育った木か(山場)で味と値段が決まります。産地では標高で大きく分けて語ります。区切りの数値は資料によって差があり、次の表は目安です。
| 区分 | 標高の目安 | 味の傾向 |
|---|---|---|
| 田茶 | 鳳凰鎮周辺の平地 | 葉が大きく粗い。最も安い |
| 低山 | 200〜400メートル前後 | すっきりして香りの立ち上がりが早い |
| 中山 | 400〜700メートル前後 | 茶湯が滑らかで味に層がある。多くの銘柄の主産地 |
| 高山 | 600〜800メートル以上 | 濃く澄んだ味、長い余韻と煎持ち。老欉が多く最も高い |
広東省農業科学院の研究者が鳳凰鎮の茶園を比べた研究では、烏崠村と鳳西村の800〜1000メートルの茶園を高山、鳳西村と鳳渓村の500〜700メートルを中山、福北村の300〜400メートルを低山とし、高山と中山の茶は低山より水に溶ける成分やポリフェノールが多く、香気成分の構成も違うことを示しています。
商品名によく出る村や地区には次のようなものがあります。最も名高いのは烏崠山で、山頂近くの烏崠村、宋種の母樹がある李仔坪、獅頭脚、中坪、大庵などの集落があり、烏崠の名が付くだけで値段が上がります。烏崠以外の高山では大質山が知られ、山頂近くまで車が入れず、生葉を人力で運び下ろす場所もあります。中山では甜竹坑、庵角(蜜蘭香で知られる)、青麻園、坪坑頭(鴨屎香で知られる)、鳳渓、丹湖、深垭などの名がよく見られます。塌堀後のように地名がそのまま銘柄名になったものもあります。
香りの型
鳳凰単叢は香りの型で名前を付けます。1990年代に5000株余りを調査して18の香型に分けた研究があり、そこから「十大香型」として黄枝香、芝蘭香、玉蘭香、蜜蘭香、杏仁香、姜花香、肉桂香、桂花香、夜来香、茉莉香が広く知られるようになりました。ほかに鴨屎香(アヒルの糞という名の、実際は花の香りの型。2014年に銀花香と改名)、宋種(南宋の皇帝にちなむ伝説を持つ古木の系統)、八仙、大烏葉など、市場で目にする名前は数十に及びます。詳しくは鳳凰単叢と鳳凰単叢を選ぶときの六つの軸。山場・樹齢・香型・焙煎・季節・等級を参照してください。
製法と味
晒青、晾青、做青、殺青、揉捻、烘乾という烏龍茶の製法で、条索状に仕上げ、最後に炭火か電気で焙火をかけます。焙煎の浅い軽火(清香型)は花や果実の香りが強烈で、はじめて飲む人は着香茶と錯覚するほどです。焙煎を重ねた足火(濃香型)は乾燥果実のような香りに仕上がり、長く保存できます。「単叢は渋い、苦い」という印象を持つ人がいますが、それは夏摘みや肥料の多い茶園産のことが多く、春摘みで肥料の少ない茶は渋みがなく甘い、という指摘があります。
春茶は3月末から5月にかけて低山から高山へ順に摘まれ、秋の終わりには冬茶の雪片が主に低山・中山の茶園で作られます。焙煎後の選別で外された茎や大きな葉は茶頭・二米として潮州の日常茶になります。
茶器との相性
鳳凰単叢は質が上がるほど厚みと余韻が増しますが、陶器の茶壺では香りや余韻がフラットになって差が感じられなくなることがあります。潮州のプロは磁器の蓋碗を使うのが普通で、潮州産の茶壺が単叢に合うとは限らないとされます。一方、潮州の楓渓で作られる薄手の潮州朱泥手拉壺は熱を保ちやすく、短時間で淹れる単叢向きの器として使われてきました。
隣の嶺頭
鳳凰鎮の東に隣接する饒平県では、鳳凰水仙から見つかった品種で嶺頭単叢(白葉単叢)が作られています。鳳凰単叢とは別の産地として扱われ、蜜の甘い香りと余韻(蜜韻)が特徴です。
この産地の茶葉
- 鳳凰単叢広東省潮州の鳳凰山で作られる烏龍茶で、着香ではない花や果実のような強い香りから茶中香水とも呼ばれる。在来種の鳳凰水仙から香りの優れた株を選び、株ごと・香りの型ごとに仕上げるため単叢と呼び、際立って長い余韻が持ち味。
- 蜜蘭香鳳凰山の烏龍茶、鳳凰単叢の香型のひとつで、蜜の甘さと蘭の花の香りを合わせ持ち、最も生産量が多い。若木から老欉まで品質と値段の幅が最も広く、単叢の入門に勧められる一方で老欉は愛好家が探す茶。
- 宋種鳳凰山の烏龍茶、鳳凰単叢のうち最も古いとされる茶樹の系統で、宋代から続く木という伝承が名前の由来。母樹から挿し木で増やした木の茶が宋種として売られ、老木のものは味の厚みと余韻の深さで評価され、単叢で最も高い値がつく。
- 鴨屎香鳳凰山の烏龍茶、鳳凰単叢の香型のひとつで、2010年代に中国で爆発的に人気になった系統。名前は鴨の糞の意味だが、実際は金銀花や梔子にたとえられる鋭い花の香りで、伝承では苗を盗まれないよう悪い名を付けたとされる。
- 芝蘭香鳳凰山の烏龍茶、鳳凰単叢の香型のひとつで、蘭の花のような細く鋭い香りを持ち、香りの高さで評価される。味は鮮やかで甘く軽やかな、香りで飲ませる単叢で、焙煎を重ねると果実の香りと甘さが増す。八仙はこの系統を代表する名前。
この産地が出てくるコラム
参考リンク
- 中国茶叶学会(澎湃 茶科普): 名茶系列——凤凰单丛(一) — 鳳凰単叢の定義(鳳凰水仙からの選抜)と産地
- 中華人民共和国駐EU使節団: 凤凰单丛茶:中欧地理标志协定产品推介 — 地理標志産品としての鳳凰単叢
- 潮州市人民政府: 从一隅之香到"茗"扬天下——解密潮州单丛茶文化系统入选全球重要农业文化遗产预备名单 — 単叢茶文化システムの世界農業遺産予備リスト入り、歴史、宋種
- 捜狐(潮匠人): 单丛茶的低、中、高山茶区别是什么?为什么最好都出自高山呢? — 田茶・低山・中山・高山の標高区分と味の特徴
- 唐颢ほか: 凤凰单丛茶品质地域性差异的生化基础(『食品科学』2015年20期) — 烏崠・鳳西・鳳渓・福北の茶園の標高と成分差
- 界面新聞: 这9条凤凰单丛冷知识 70%的潮汕人可能都不知道 — 宋種の複数の名前と母樹、塌堀後などの地名由来の銘柄
- 茶樓雨香: 鳳凰単叢 雪片の買付で気をつけるべきこと — 大質山の高山域の様子(車が入れず人力で運ぶ)
- HOJO: 鳳凰単叢烏龍茶の産地、潮州市鳳凰鎮を訪問(2024) — 近年の産地の様子