広東省
読み かんとんしょう現地音 グァンドン拼音 Guǎngdōng中国語 广东省 / 廣東省別名 広東、粤、潮州、潮汕、Guangdong
中国南部の省。潮州の鳳凰単叢と、潮州工夫茶の作法が生まれた土地。烏龍茶のほか英徳紅茶、黄茶の広東大葉青、陳皮と普洱を組み合わせた小青柑などがある。
中国南部、南シナ海に面した省で、珠江デルタの広州・深圳を中心に中国で最も経済活動の盛んな地域のひとつです。茶の産地としては省の東部、福建省と接する潮州が中心で、鳳凰山の鳳凰単叢と、潮州工夫茶の作法を生んだ土地として知られます。
潮州と工夫茶
潮州は烏龍茶の発祥地のひとつとされ、潮州で生まれた製法が武夷山に伝わったという説もあります。小さな茶壺と三つの杯で濃く淹れる工夫茶は潮州で体系化され、潮州工夫茶芸は2008年に国家級無形文化遺産に、2022年にはユネスコの無形文化遺産「中国伝統制茶技芸とその関連習俗」の構成要素になりました。潮州の人にとって工夫茶は儀式ではなく日常で、家でも店先でも鳳凰単叢を淹れて客に勧める風景が続いています。
潮州は美食の街としても知られ、屋台の麺や粥、牛肉団子などの食文化は東南アジアの華人社会にも広がっています。職人気質で伝統を重んじる土地柄が、単叢の一株ごとの管理や工夫茶の作法にも表れていると言われます。
主な茶
| 茶 | 産地 | 内容 |
|---|---|---|
| 鳳凰単叢 | 潮州市鳳凰鎮 | 一株ごとに性格の違う烏龍茶。蜜蘭香、鴨屎香など香りの型で呼ぶ |
| 嶺頭単叢(白葉単叢) | 潮州市饒平県嶺頭村 | 鳳凰水仙から見つかった品種で作る単叢 |
| 英徳紅茶 | 清遠市英徳 | 大葉種の紅茶。1950年代に始まった比較的新しい産地 |
| 広東大葉青 | 韶関・肇慶など | 黄大茶に分類される黄茶 |
| 小青柑 | 江門市新会 | 新会の柑橘(陳皮の原料)に普洱熟茶を詰めた再加工茶 |
茶器
潮州は朱泥の小さな茶壺(潮州手拉壺)の産地でもあります。ただし鳳凰単叢を淹れる茶器としては、現地のプロは香りを吸わない磁器や白磁の蓋碗を使うことが多く、潮州の茶壺だから単叢に合うとは限らない、という指摘があります。
下位の産地
この産地の茶葉
- 陳皮みかんの皮を干して寝かせたもので、広東省江門市新会の茶枝柑の皮を三年以上陳化させた新会陳皮が最も有名。漢方薬であり食材でもあり、湯に浸して飲んだり、普洱熟茶や白茶と合わせて淹れたりする。年を置くほど価値が上がるとされ、小青柑や柑普茶はこの陳皮と普洱茶の組み合わせから生まれた。
- 鳳凰単叢広東省潮州の鳳凰山で作られる烏龍茶。在来種の鳳凰水仙から香りの優れた株を選び、株ごと・香りの型ごとに仕上げるため「単叢」と呼ぶ。蜜蘭香、鴨屎香、宋種など数十の銘柄があり、花や果実のような香りと際立って長い余韻が特徴。潮州工夫茶の核心の茶で、地理標志産品。
- 嶺頭単叢広東省潮州市饒平県坪渓鎮嶺頭村で生まれた単叢。1961年、鳳凰水仙の茶園で芽が早く葉が黄緑の一株が見つかり、選抜された品種で作る。葉が光に透けて白く見えることから白葉単叢とも呼ぶ。蜜と花の甘い香り(蜜韻)と滑らかな味が特徴で、鳳凰単叢より渋みが少なく飲みやすい。
- 六堡茶広西壮族自治区梧州市の黒茶。殺青・揉捻・堆悶した毛茶を渥堆して仕上げ、竹籠に詰めて熟成させる。檳榔の香りと形容される独特の香りで知られ、清代から東南アジアの華人社会に輸出されてきた。製法は2014年に国家級無形文化遺産に登録。
- 茘枝紅茶広東省の工夫紅茶にライチの香りを移した再加工茶。伝統的にはライチを乾燥させる工程で紅茶を一緒に燻して香りを吸わせるが、ライチの果汁や香料で着香した製品も多い。広東で古くから作られ、香港や日本の中華料理店でライチ紅茶として親しまれている。
- 蜜蘭香鳳凰単叢の香型のひとつで、最も広く飲まれている系統。蜜のような甘さと蘭の花の香りを合わせ持つことから名付けられ、生産量が多く値段の幅も広い。芽が黄白色で白葉単叢とも呼ばれ、嶺頭単叢のもとにもなった系統。単叢の入門として勧められることが多い。
- 宋種鳳凰山で最も古いとされる茶樹の系統で、宋代から続く木という伝承から宋種と呼ばれる。烏崠山の宋種の母樹は樹齢数百年とされ、そこから挿し木で増やした木の茶が宋種として売られる。黄枝香や東方紅などの系統があり、老欉の宋種は単叢の最高峰として取引される。
- 小青柑広東省新会の小さな青いみかんの中身をくり抜き、雲南の普洱熟茶を詰めて乾燥させた茶。新会の陳皮と普洱を合わせる柑普茶の一種で、2015年前後に中国で爆発的に流行した。一個ずつ淹れる手軽さと柑橘の香りで、普洱茶の入門としても人気。
- 鴨屎香鳳凰単叢の香型のひとつで、2010年代に中国で爆発的に人気になった系統。名前は「鴨の糞の香り」だが、実際は金銀花や梔子のような鋭い花の香りで、名前の由来は農家が木を盗まれないよう悪い名前を付けたという伝承。正式には銀花香と呼ばれ、香型の分類では黄枝香に近い。
- 英徳紅茶広東省清遠市英徳で作られる紅茶。1959年に雲南大葉種などを植えた英徳茶場で作られたのが始まりで、新中国の輸出紅茶として育てられた。広東省農科院茶葉研究所が選抜した品種「英紅九号」で作る紅茶は香りが高く、滇紅と並ぶ大葉種の紅茶。2006年に地理標志産品になった。
- 芝蘭香鳳凰単叢の香型のひとつで、蘭の花のような細く鋭い香りを持つ系統。十大香型の中でも香りの高さと鮮やかさで知られ、甘い香りと果実の香りが重なる。烏崠山の八仙(八仙過海)は芝蘭香の系統の代表的な名前で、鴨屎香や黄枝香と並んで香りで飲ませる単叢。
参考リンク
- 中国非物质文化遗产网: 茶艺(潮州工夫茶艺) — 潮州工夫茶芸の国家級無形文化遺産登録(2008年)
- 広東省文化和旅游庁: "中国传统制茶技艺及其相关习俗"申遗成功,广东潮州工夫茶艺参与联合申报 — ユネスコ登録の構成要素としての潮州工夫茶芸
- 潮州市人民政府: 潮州凤凰单丛茶:"一杯好茶"下了"十足工夫" — 潮州の単叢茶産業の概要
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