中国茶辞典中国茶・台湾茶の用語とコラム

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山場(さんじょう)

読み さんじょう現地音 シャンチャン拼音 shānchǎng中国語 山场別名 山场、山場味、山場気息、高山茶、中山茶、低山茶、田茶、産地の村、微気候、terroir

茶樹が育った具体的な場所のことです。地図上の産地(省や県)よりずっと細かく、山のどの斜面か、谷か尾根か、標高はどれくらいか、土は何か、霧はかかるか、といった土壌と微気候をまとめて指します。ワインで言う畑(はたけ)に近い概念で、中国の高級な烏龍茶はこの山場の名前で取引されます。同じ品種を同じ茶師が同じように作っても、山場が違えば別の茶になる、というのが産地の共通した認識です。

武夷岩茶の山場

武夷岩茶(ぶいがんちゃ)では、景区の岩山の中心部を正岩(せいがん)、周辺を半岩(はんがん)、渓流沿いの平地を洲茶(しゅうちゃ)と呼び分け、正岩の中でもさらに三坑両澗(さんこうりょうかん)のような坑(谷)、澗(沢)、窠(か)(くぼ地)、洞、岩、峰ごとに評価が分かれます。岩の間の礫が多く水はけのよい土、崖と林の日陰、岩から染み出す水がもたらす湿度、という条件が岩韻(がんいん)を生むとされ、「山場の味」「山場の気息」という言い方で語られます。

鳳凰単叢の山場

鳳凰単叢(ほうおうたんそう)では、山場は村の名前と標高で語られます。商品名に烏崠(うとう)、大庵(だいあん)、李仔坪(りしへい)、甜竹坑(てんちくこう)、庵角(あんかく)、青麻園(せいまえん)、坪坑頭(へいこうとう)といった村や地区の名が付き、同じ蜜蘭香(みつらんこう)でもどの村のものかで値段が違います。産地では標高で大きく三つに分けます。区切りの数値は資料によって差があります。

区分標高の目安味の傾向
田茶(でんちゃ)(平地の茶)鳳凰鎮周辺の平地葉が大きく条索が粗い。回甘が弱く最も安い
低山茶200〜400メートル前後山の麓や谷。すっきりして香りの立ち上がりが早い。回甘はある
中山茶400〜700メートル前後山腹。茶湯が滑らかで水色が澄み、味に層があり、喉の甘さが出る
高山茶600〜800メートル以上濃く澄んだ味、喉を潤す甘さ、厚みのある口当たり。余韻と煎持ちが際立つ。老欉が多い

広東省農業科学院の研究者が鳳凰鎮の茶園を標高別に比べた研究では、高山と中山の茶は低山の茶より水に溶け出す成分、ポリフェノール、カフェイン、カテキンなどが有意に多く、香気成分の構成も違うことが確かめられています。産地では、高山は気圧が低く葉の蒸散が盛んで香気成分が作られやすいこと、雲霧が日照を和らげること、昼夜の温度差が糖と香気の蓄積を促すことが理由として説明されます。ただし高山で老欉であれば必ず美味しいわけではなく、同じ高山の老欉でも茶によって出来は大きく違います。

山場の違いを体で覚えるには、香型、樹齢、茶師、火入れをそろえて、低山・中山・高山の同じ香型を並べて飲み比べるのが近道です。逆に、山場の名前は付加価値として値段に乗るので、有名な山場の名前が先に立って中身が伴わない茶もあります。名前を確かめつつ、最後は飲んだ印象で選ぶのが確実です。

台湾・雲南でも

台湾の高山茶が梨山(りざん)や阿里山(ありさん)といった山の名前で売られ、雲南の普洱茶(ぷーあるちゃ)が易武(いぶ)や班章(はんしょう)といった山や村の名前で売られるのも、同じ山場の考え方です。山韻(さんいん)や古樹茶(こじゅちゃ)の項も参考にしてください。

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